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中国恒大集団の上場廃止と不動産不況

2025年8月25日、中国の恒大集団(エバーグランデ)が香港取引所で上場廃止になりました。
総負債額はおよそ3,000億ドル(約50兆円)とされ、世界最大級の不動産会社の経営破綻となりました。
恒大集団が中国各地に設立した地方子会社の清算手続きも始まっています。

恒大集団は、2024年1月に香港高等法院によって清算命令を受けており、
上場廃止は想定されたことではありますが、そのインパクトは大きいです。

恒大集団は2009年の上場以降、中国経済の急成長を背景に拡大し、全国に住宅開発を展開しました。
しかし、販売不振や、政府による資金調達の制限を受けて資金繰りが悪化。
2021年には海外債務のデフォルトに陥り、清算命令を受けました。
2025年8月時点で清算人が回収できた資産は2.55億ドルにすぎず、
総負債額のうち清算対象となった債権総額450億ドルのごく一部でしかありません。

恒大集団の上場廃止は、中国の不動産不況をめぐる構造的な問題の深刻さを示しています。

住宅市場の信頼の崩壊

中国では住宅の販売が先売り(先払い)制度であり、
購入者は住宅の完成前に代金を支払う慣習となっています。

しかし、恒大集団や碧桂園(カントリー・ガーデン)といった
デベロッパーが資金繰りに行き詰まり、多数の未完成住宅が
建設途中で放置され、住宅購入者に住宅が引き渡されないという事態に陥りました。
こうして住宅市場の信頼が根本から崩れ、住宅需要が縮小しました。

(なお、経営再建中の碧桂園が2025年8月29日に発表した
 2025年1〜6月期の連結決算は、最終損益が190億元(約3,900億円)の
 赤字(前年同期は128億元の赤字)であり、業績悪化が拡大しています。)

政府は、購入者への住宅の引渡しを確実にするために、
政策銀行を通じた特別融資や国有企業による建設継続を進めていますが、
未完成物件の件数が膨大であるため、短期間での解消は困難です。

不動産の過剰在庫

中国では住宅需要が縮小して、住宅は過剰在庫に陥っています。
2025年6月末時点で、完成済み未販売住宅は4億800万平米に達しました。
建設中の住宅を含めると29億平米規模にのぼるとの推計もあります。

過剰在庫は価格低迷をもたらします。
2025年通年では、新築住宅価格が前年比4.8%下落、
住宅投資は8%減、販売面積は5%減と見込まれています。

このように、過剰在庫による価格下落や不動産投資の縮小が長期間続くと見込まれています。

不動産不況の金融機関や地方財政への影響

中国の不動産不況は中国の金融機関の収益にも悪影響を与えています。
大手銀行の利益率は過去最低水準となり、不良債権リスクの高まりが懸念されています。

地方財政の悪化も深刻です。
中国の地方政府の収益源の1つである土地使用権の販売収入は、
2024年には前年比16%減少しました。
地方政府の財政が厳しくなると、インフラ投資や住宅購入補助といった
住宅需要を喚起する政策の予算を縮小せざるを得なくなり、住宅市場が悪循環に陥っています。

政府の対応策と今後の見通し

中国政府は不動産市場安定化に向け、次のような政策を打ち出しています。
・住宅ローンの規制緩和、頭金比率の引き下げ、ローン金利下限の撤廃
・地方政府や国有企業に住宅の買い取りによる公営住宅として活用の促進
・政策銀行による住宅完成保証のための特別融資制度を拡充

しかしながら、これらの政策も一時しのぎでしかなく、問題の根本的な解決にはつながりません。

中国の住宅価格は、2026年にかけて小幅の下落から横ばいで推移すると見られています。
地方都市では在庫消化に何年もの時間が必要とされ、
当面は不動産投資や住宅の新規着工は低水準にとどまると予想されます。

市場の予想以上に住宅の在庫処分が滞るようなら、住宅価格の下落が加速する恐れがあります。
そうすると、金融機関の不良債権問題が深刻化して、金融不安につながる可能性もあります。

日本の不動産市場に与える影響

中国の富裕層や企業は、中国国内の不動産への投資を敬遠し、資金を海外に逃避させつつあります。
日本は、円安、政治的安定性、日中関係の良好さ、地理的な近さ、
といった条件から、資金の逃避先の1つとして選ばれています。

中国の逃避資金は、日本国内の大都市やリゾート地の
マンション、別荘、ホテル、商業施設などに流入しており、
近年の不動産市場の好況を支える要因となってきました。
当面、この動きは続くと見込まれます。

一方、中国経済の不況が長引けば、日本を訪れる観光客が減少して、
観光産業などのインバウンド観光需要が減退する可能性があります。
また、様々な要因が重なることで、中国の不況が世界的な不況の引き金を引くことも懸念されます。

さて、今回は、恒大集団の上場廃止と不動産不況について解説しました。
恒大集団の上場廃止が、今後、中国の不動産市場や金融システムに
どのような影響を与えるのか、注視する必要があります。

【参考】

・2025年8月13日 ロイター日本語版「中国恒大の資産2.55億ドルを売却、25日に香港上場廃止=清算人」 https://x.gd/LgGww
・2025年8月25日 テレ東BIZ「中国恒大集団が上場廃止 負債総額約50兆円」
https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/txn/news_txn/post_324529
・2025年8月13日 時事通信「中国恒大、25日上場廃止=香港取引所が決定」https://www.jiji.com/jc/article?k=2025081300132&g=int
・2025年8月29日 東洋経済オンライン「中国不動産『恒大集団』の破綻処理が最終局面へ」https://toyokeizai.net/articles/-/901236?display=b
・2025年7月15日 ロイター日本語版「中国新築住宅価格、6月は前月比-0.3%」https://x.gd/65U8O
・2025年7月1日 ロイター日本語版「中国中古住宅価格、6月は下落幅拡大」https://x.gd/KLV5x
・2025年8月29日 日本経済新聞「中国碧桂園の最終赤字3900億円 1〜6月、不動産不況で悪化続く」https://x.gd/uSDNB
・2024年10月17日 ブルームバーグ日本語版「中国、未完成住宅への与信をほぼ倍増-84兆円相当に拡大へ」https://x.gd/6x4jc
・2024年5月27日 みずほリサーチ&テクノロジーズ「中国が住宅在庫の買い取り策を発表」https://x.gd/XmL6G
・2024年5月31日 伊藤忠総研「中国経済:不動産市場の低迷続き、2024年の成長率は4%台後半にとどまる」https://x.gd/0kOse