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令和7年の基準地価(全国編)

2025年9月16日に、国土交通省が2025年7月1日時点の
令和7年の都道府県地価(基準地価)を発表しました。
基準地価は土地売買の目安として使われます。

今回と次回の2回にわたり、令和7年の基準地価について、
商業地と住宅地の動向を中心に解説します。
今回は「令和7年の基準地価(全国編)」を解説し、
次回は「令和7年の基準地価(東海三県編)」を解説します。

 

全国的な動向

全国では、全国的に上昇基調が続いており、三大都市圏や地方圏でも上昇が続いています。
全体的には、近年の地価や建築費の上昇の影響を受けて、
都市の中心部ではなく、割安感のある郊外へと、
価格上昇の中心がシフトしていることが、今回の特徴です。

全用途では1.5%上昇(前年は1.4%上昇)。
(以下( )は前年のデータを表します。
 「%」だけの場合は上昇%を表し、「%下落」は下落した%を表します。)
商業地は2.8%(2.4%)、住宅地は1.0%(0.9%)と前年より上昇幅が拡大しました。

全国と各都市圏・地方圏の平均は次の通りです。

全国平均  商業地 2.8%(2.4%)、住宅地 1.0%(0.9%)
三大都市圏 商業地 7.2%(6.2%)、住宅地 3.2%(3.0%)
東京圏   商業地 8.7%(7.0%)、住宅地 3.9%(3.6%)
大阪圏   商業地 6.4%(6.0%)、住宅地 2.2%(1.7%)
名古屋圏  商業地 2.8%(3.8%)、住宅地 1.7%(2.5%)
地方4市  商業地 7.3%(8.7%)、住宅地 4.1%(5.6%)
地方圏   商業地 1.0%(0.9%)、住宅地 0.1%(0.1%)

以下に各都市圏・地方圏について解説します。

 

東京圏

<商業地>

東京圏の商業地は 8.7%(7.0%)と13年連続で上昇しました。

東京都23区全体は13.2%(9.7%)と上昇幅が拡大し、
全ての区で上昇幅が拡大しました。
マンション利用が可能な地点や、都心に近くオフィス需要が堅調な地域を
中心に上昇幅が拡大しました。
上昇率上位の区は次の通りです。
台東区18.2%(12.5%)、中央区16.7%(10.0%)、文京区16.4%(11.7%)、
千代田区16.2%(11.3%)、杉並区16.1%(10.9%)。

多摩地区は5.4%(4.5%)と上昇幅が拡大。
多摩地区の上昇率上位の市は次の通りです。
立川市10.8%(7.8%)、府中市8.8%上昇(7.3%)、国分寺市8.8%(7.3%)。

埼玉県では、さいたま市は4.9%(4.5%)。
再開発等によりさらなる発展が期待される大宮区など7区で上昇幅が拡大。
周辺部の岩槻区、見沼区では上昇幅が縮小しました。

JR京浜東北線および埼京線沿線で都心へのアクセスに優れる、
川口市、蕨市、戸田市ではマンション用地需要との競合もあり
地価上昇が続いています。

千葉県では、千葉市は7.5%(6.7%)。全6区中5区で上昇幅が拡大。
東京都に近接する浦安市、市川市、船橋市、習志野市、松戸市、柏市、
我孫子市では、店舗需要が堅調ですが、
近年の地価や建築費の上昇を受けて、上昇幅が縮小しました。

神奈川県では、横浜市は8.1%(7.4%)。
全18区のうち15区で上昇幅が拡大しましたが、西区など3区では縮小。
中区は11.7%(9.7%)で、関内駅周辺の再開発事業による期待感から
上昇幅が拡大しました。
川崎市は9.2%(8.4%)。全7区で上昇幅が拡大。
相模原市は6.4%(5.7%)。全3区で上昇幅が拡大。
鎌倉市は11.2%(9.3%)で観光客の増加による店舗需要が堅調なため
上昇幅が拡大しました。

 

<住宅地>

東京圏全体の住宅地は3.9%(3.6%)。
東京23区全体は8.3%(6.7%)で全区で上昇率が拡大。
都心や、都心に隣接する利便性・住環境がよい区では、
マンション・戸建てともに需要が旺盛で、上昇幅が拡大しました。

上昇率上位の区は次の通りです。
目黒区13.7%(9.6%)、台東区13.4%(7.2%)、中央区13.3%(12.4%)、
品川区12.9%(9.1%)、新宿区12.7%(8.7%)。
23区のうち周辺部の葛飾区、江戸川区、練馬区、足立区は
上昇幅が5~6%台で、都心区の上昇に伴い上昇幅が拡大しました。

東京都多摩地区は3.5%(3.0%)と上昇幅が拡大。
多摩地区の上昇率上位の市は次の通りです。
国立市8.0%(6.2%)、立川市6.8%(4.0%)、調布市6.4%(5.6%)。

埼玉県では、さいたま市は2.2%(2.3%)、全10区のうち4区で上昇幅が拡大、
3区で同率、3区で縮小しました。
近年の地価や建築費の上昇を受けて、取引に対する慎重さが見られます。
都心へのアクセスがよい戸田市、蕨市、川口市では住宅需要は堅調です。

千葉県では、千葉市は5.4%(4.2%)、全6区で上昇幅が拡大。
中央区は6.4%(5.2%)、千葉駅周辺の住宅地は再開発の進展や
千葉公園の再整備による居住環境の向上により上昇幅が拡大しました。
東京都に隣接する浦安市、市川市、船橋市、柏市、我孫子市では
地価や建築費の上昇に伴い、売れ行き鈍化傾向が見られ、上昇幅が縮小。
習志野市、松戸市、流山市、八千代市、鎌ケ谷市では引き続き需要が堅調で、
周辺部へも需要が波及し、上昇幅が拡大しました。

神奈川県では、駅徒歩圏の利便性に優れた地域を中心に
住宅需要が堅調で、地価上昇が継続しています。
横浜市は3.4%(3.4%)で全18区のうち9区で上昇幅が拡大、
川崎市は4.4%(4.4%)で全7区のうち4区で上昇幅が拡大。
相模原市は3.3%(3.2%)で全3区のうち1区で上昇幅が拡大。
湘南地域は、茅ヶ崎市は5.6%(5.5%)、藤沢市は5.5%(5.5%)、
大和市は5.4%(5.6%)。なお、神奈川県の上昇率上位3地点も、
茅ケ崎市、藤沢市、大和市にある地点でした。

 

大阪圏

<商業地>

大阪圏の商業地は6.4%(6.0%)。

大阪府では、大阪市は11.1%(10.6%)。
人流・消費等が拡大し、ビジネス地区のオフィス賃料は上昇基調です。
観光客の増加によりマンション・ホテル用地の需要が増加し、
北区14.2%(12.6%)、西区16.3%(18.3%)、福島区15.1%(15.0%)
と大幅に上昇しました。
ミナミのインバウンド需要が大きい商業街・飲食街では
店舗・ホテル・特区民泊の用地需要が高まっており、
浪速区15.8%(14.1%)、中央区14.5%(13.4%)と上昇幅が拡大しました。
西成区12.0%(-)、東成区10.0%(8.3%)は二桁の上昇。
それ以外の区は7%~9%台の上昇となりました。

堺市は4.3%(3.5%)。
その他上昇率が大きい市は次の通りです。
吹田市11.2%(8.5%)、高槻市6.1%(5.3%)、守口市8.5%(7.6%)。

京都府では、京都市は8.7%(8.9%)。
5区で上昇幅が拡大、1区で同率、5区で縮小しました。
東山区は14.0%(15.4%)、インバウンドの増加によるホテル・店舗需要と
マンション需要との競合が見られます。
南区は12.9%(11.6%)、下京区は9.7%(10.1%)。
京都駅周辺で大学移転や外資系ホテル進出などによる期待があります。

兵庫県では、神戸市は6.3%(5.4%)。5区で上昇幅が拡大、4区で縮小。
三宮地区でインバウンドを含む人流の回復が顕著で、
JR三ノ宮駅南、中央区役所跡地、神戸市役所本庁舎跡地、新港突堤エリア
における再開発の期待感から地価の上昇傾向が強まっています。
芦屋市は10.5%(9.9%)、西宮市は7.3%(6.6%)と上昇幅が拡大しました。

奈良県では、奈良市は5.2%(4.9%)。
近鉄奈良駅、JR奈良駅周辺では観光客が大幅に増加し、
店舗・ホテル用地需要が高まり上昇幅が拡大しました。

 

<住宅地>

大阪圏の住宅地は2.2%(1.7%)。

大阪府では、大阪市は6.1%(4.5%)。
中央区では上昇幅が縮小しましたが、他の23区で上昇幅が拡大しました。
上昇率上位の区は次の通りです。
浪速区9.9%(5.7%)、東淀川区8.3%(5.9%)淀川区8.0%(6.5%)、
鶴見区8.0%(6.5%)、福島区7.8%(7.6%)。

北摂エリアでは鉄道沿線の生活利便性の良好な地域の需要は堅調で、
吹田市4.5%(3.8%)、茨木市4.1%(2.6%)、豊中市4.0%(3.4%)、
高槻市3.6%(1.9%)、箕面市3.5%(2.6%)と上昇幅が拡大しました。

東大阪地域は、守口市5.1%(5.1%)、四条畷市3.0%(3.6%)、
門真市2.7%(3.5%)、枚方市2.3%(2.6%)と全体的に上昇幅が縮小しました。

南大阪地域は、堺市2.6%(2.3%)、高石市3.9%(3.1%)、和泉市1.3%(0.8%)
と上昇幅が拡大しました。

京都府では、京都市は2.9%(2.6%)と全11区中10区で上昇幅が拡大。
京都駅周辺は店舗・ホテル・マンション用地の需要が旺盛で、
下京区は7.0%(6.0%)、南区は6.0%(5.9%)。
観光客の増加の影響をうけて東山区は6.5%(5.5%)、
住宅地としての人気が高い上京区は5.5%(5.3%)と
それぞれ上昇幅が拡大しました。

兵庫県では、神戸市は3.5%(3.2%)で5区で上昇幅が拡大。
神戸市や大阪市などへの通勤圏である
芦屋市、川西市、西宮市、伊丹市、尼崎市、宝塚市は
それぞれ2%台~4%台の上昇となり、上昇幅が拡大しました。

奈良県では、奈良市は1.4%(1.1%)と上昇幅が拡大しました。

 

名古屋圏

名古屋圏の商業地は2.8%(3.8%)。名古屋圏の住宅地は1.7%(2.5%)。
東海三県の詳細については、次回のメルマガで解説します。

 

地方圏

商業地は1.0%(0.9%)と上昇幅が拡大しました。
住宅地は0.1%(0.1%)と上昇が継続しました。

 

地方4市

地方の政令指定都市4市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)は、
これまで大幅な上昇を続けてきましたが、
全体的に商業地・住宅地とも需要が落ち着く傾向が見られます。

札幌市 商業地:5.5%(7.6%)、住宅地:1.4%(3.6%)
仙台市 商業地:7.6%(7.9%)、 住宅地:5.1%(6.3%)
広島市 商業地:4.2%(3.8%)、 住宅地:1.8%(1.7%)
福岡市 商業地:10.2%(13.2%)、住宅地:7.2%(9.5%)

 

全国の上昇率上位の地点

全国の上昇率上位の5地点は次の通りです。

<全国の商業地 上昇率上位5地点>

1位 北海道千歳市末広2丁目122番2外内 31.4%
2位 北海道千歳市北栄2丁目1345番27 29.9%
3位 北海道千歳市東雲1丁目6番4 29.6%
4位 長野県北安曇郡白馬村大字北城字新田3020番837外 29.3%
5位 岐阜県高山市上三之町51番 28.1%

1位~3位の北海道千歳市は、半導体企業ラピダスをはじめ
関連企業の進出を受けて、住宅、ホテル、事務所、工場の需要が旺盛です。
4位の長野県北安曇郡白馬村は外国人の別荘用地の需要が旺盛です。
5位の岐阜県高山市はインバウンドを含めた観光需要の増加と、ホテル開発などによる上昇です。

 

<全国の住宅地 上昇率上位5地点>

1位 北海道富良野市北の峰町1981番62 27.1%
2位 北海道千歳市東雲町5丁目52番 23.2%
3位 北海道千歳市栄町5丁目3番外内 23.1%
4位 北海道虻田郡真狩村字真狩44番17 19.7%
5位 茨城県つくば市みどりの東39番9 19.6%

1位の北海道富良野市は外国人からニセコに次ぐ人気があり、
別荘地需要が増えています。
4位の北海道虻田郡真狩村はニセコに隣接しており、
ニセコより割安なため、近年、需要が増えています。
5位の茨城県つくば市は、近年、秋葉原駅とつくば駅とを結ぶ
つくばエクスプレス(TX)沿線の各駅周辺が、
割安感と利便性、住環境の良さから地価上昇が続いています。

 

さて、今回は「令和7年の基準地価(全国編)」を解説しました。
次回は「令和7年の基準地価(東海三県編)」を解説します。

 

【参考】

・国土交通省 令和7年都道府県地価調査 https://x.gd/Ioyiw
・日本経済新聞 2025年9月17日