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区分所有法の改正

2026年4月1日から「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を
図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」、
いわゆる区分所有法の改正が、関連する政令とともに施行されます。

この改正法は、マンションの老朽化と、所有者・住人の高齢化を受けて、
管理組合の意思決定をしやすくするために2025年5月に成立しました。

今回は区分所有法の改正が
不動産投資家・オーナーに与える影響について解説します。

 

 

区分所有法改正の背景

2026年4月に施行される区分所有法の改正の背景には、
マンション自体の老朽化と、所有者・住人の高齢化があります。

全国のマンション戸数は約700万戸あります。
そのうち築40年以上を経過したマンションは、現在は約130万戸ですが、
10年後には約270万戸、20年後には約460万戸へと増える見込みです。
老朽化が進行すると、外壁剥落などの物理的な危険が生じます。
それを防ぐためには、リノベーションや建替えなどが必要になります。

ところが、築40年以上が経過したマンションは、
世帯主が70歳以上の住戸が半数を超えている場合も多く、
またオーナーが所在不明となるケースもあるなど、
総会で物事を決めにくくなる傾向があります。

こうした状況を受けて、改正区分所有法が施行されます。
不動産投資家・オーナーにとって重要なポイントを4点解説します。

1.分譲時の管理計画作成と自治体による管理計画認定
2.管理組合の意思決定ルールの見直し
3.所在がわからない区分所有者を決議から除外
4.隣接地の所有権や底地の所有権の区分所有権への変換

 

 

1.分譲時の管理計画作成と自治体による管理計画認定

これまでは、マンションの竣工・分譲後に、
管理組合が、管理会社などの助言を受けて、または手探りで、
長期修繕計画や修繕積立金を決めていました。

改正後は分譲事業者があらかじめ管理計画を作成し、
自治体の「管理計画認定制度」による認定を受けて、
管理組合に引き継ぐことができるようになります。

「管理計画認定制度」は、2022年4月から開始された制度です。
マンションの管理計画について、
一定期間以上の長期修繕計画があること、
修繕などの資金や修繕積立金が一定水準以上用意される計画であること、
管理組合の総会が定期的に開催されていること、
その他自治体独自の基準に適合していることなどの基準があり、
これらを満たすマンションを、自治体(都道府県または市区)が
「管理良好」と認定する制度です。
2025年10月末時点の認定実績は3,060件に達しています。

 

 

2.管理組合の意思決定ルールの見直し

従来は、区分所有権の処分を伴わない修繕などの議決は、
全ての区分所有者の過半数、および議決権(専有部分の床面積割合)の
過半数の賛成が必要でした。
改正後は、全ての区分所有者ではなく、
総会に出席した区分所有者の過半数で決議ができるようになります。

また、建物・敷地の一括売却、一棟リノベーション、建物の取壊し等は、
従来は区分所有者全員の同意が必要で、実際に決議を得ることは困難でした。
今回の改正により、区分所有者および議決権の4/5の賛成により
決議ができるようになります。

なお、次の場合は議決権の3/4の賛成で決議が可能になります。
・耐震性の不足
・火災に対する安全性の不足
・外壁等の剝落により周辺に危害を生ずるおそれがある
・給排水管等の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれがある
・バリアフリー基準への不適合

 

 

3.所在不明の区分所有者を決議から除外

従来は、所有者不明の住戸は区分所有者の分母に含まれるものの、
決議の賛成を得られないため、決議の妨げになっていました。

今回の改正により、所在不明の区分所有者については、
裁判所の手続を経て決議の母数から外すことができるようになり、
管理組合の決議をしやすくなります。

放置されていた空き住戸や長期滞納住戸について、
司法手続を通じて管理対象に乗せられる余地も生まれます。

危険な専有部分や共用部分については、裁判所が管理人を選任して
適切な管理を行わせる仕組みも用意されます。これにより、
「一部の問題住戸のせいでマンション全体の安全性が損なわれる」
という状況への対策をとりやすくなります。

 

 

4.隣接地の所有権や底地の所有権の区分所有権への変換

建築規制によって、既存敷地のみでは十分な建築規模が確保できない場合、
隣接地を取り込むことにより、より付加価値の高い建物を建設することが
できる場合があります。
ところが、現行は建設に協力した隣接地の権利者には補償金を渡すしかなく、
隣接地の権利者が建設に協力するインセンティブが不足していました。

また、借地権が設定されているマンションの建替えにあたって、
土地(底地)の所有権を区分所有者が買い取るニーズが存在するものの、
底地の所有権をマンションの区分所有権に変換することはできませんでした。

今回の改正により、隣接地の所有権や、底地の所有権を、
建替え後のマンションの区分所有権へと変換できるようになります。
これにより、十分な規模のマンションへの建替えや、
所有権型の資産性が高いマンションへと建替えをしやすくなります。

 

 

区分所有法改正が不動産投資家・オーナーに与える影響

今回の改正により、リノベーション、建替え、建物や敷地の一括売却、
建物取壊しなどの決議をしやすくなるため、
築古マンションをすでに保有しているオーナーにとっては、
投資の出口を見つけやすくなる可能性があります。

従来の築古マンションへの投資は、
最終的には借り主が居なくなることも視野に入れた上で、
現在のマンションの築年数、利回りを元に、
「この先何年間、入居者が入り、賃料収入が得られるか」を重視して
投資判断がなされていました。

今後は、建替え、一括売却、取り壊しの決議をしやすくなるため、
賃料収入が得られる期間が、入居者が居なくなるまでではなく、
「建替え、一括売却、取り壊しの決議成立時点まで」に変わる可能性もあります。

今後の築古マンションへの投資においては、
「リノベーション、建替え、売却、取り壊しが決議される可能性があるか」
「それはいつ頃か」
「その際の分配金はどうなりそうか」
「将来、購入を希望するデベロッパーなどが現れる可能性があるか」
ということも想定に入れて、立地、規模、権利関係、用途地域、容積率、
周辺の開発動向、隣地や底地の権利なども考慮して
投資判断することが求められます。

また、築古不動産のオーナーにとっては、
管理組合への関与が今まで以上に重要になります。

長期修繕計画、修繕積立金、管理会社との契約条件は、
リノベーション、建替え、一括売却、取り壊しのタイミングや、
分配金の水準に影響を与えます。
オーナーとしては、総会の招集通知には必ず内容に目を通し、
重要な議題の決議に参加することが重要になります。

 

 

【参考資料】

・国土交通省 「改正マンション関係法の施行に伴う関係政令を閣議決定
 ~令和8年4月1日の施行にあたって必要な規定の整備を行います~」
 2025年11月21日 https://x.gd/fQcGM
・国土交通省 「国土交通省住宅局・法務省民事局 資料「マンション
 の管理・再生の円滑化等のための改正法」2025年10月 https://x.gd/vA1vH
・内閣官房「所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議(第14回)
 配付資料1 マンションの管理・再生の円滑化等のための改正法案について」
 2025年2月21日 https://x.gd/U6HE3
・法務省民事局「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための
 建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律について」
 (法律成立日:2025年5月23日)https://x.gd/o44LE
・国土交通省「マンション標準管理規約(令和7年10月17日改正)」
 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/mansionkiyaku.html
・一般社団法人マンション適正管理サポートセンター(MTS)
 コラム「令和7年マンション関係法改正 ― 9月5日時点の最新情報」
 2025年9月5日 https://x.gd/JEWUM
・三菱地所コミュニティ(クラセル) コラム「2026年の区分所有法改正で
 何が変わる?改正の背景や影響を徹底解説」2025年10月20日掲載
 https://www.innovelios.com/column/2026_kubun_kaise/