
名駅にも栄にも地下鉄で一駅で行ける好立地の伏見は、
名古屋の都心生活を満喫できる便利な場所として、
昨今はタワーマンションの建設が相次いでいます。
今回は、伏見エリアの白川公園や御園座付近
(現在の栄1丁目、栄2丁目)に焦点を当てて紹介します。
白川公園は江戸時代は寺町だった
白川公園の北(今の栄2丁目)は江戸時代は町人町でした。
野菜を売る人が住んでいた八百屋町(現:岡谷鋼機ビル付近)
や清州から鉄砲師が移り住んだ鉄砲町(現:ヴィア白川付近)
など、住民の職業の名前が付けられていた地域があります。
現在の白川公園の場所には、江戸時代以降は
曹渓山大林寺を中心に複数の寺院が立ち並ぶ寺町でした。
明治時代になると、今の名古屋市美術館の場所に
白川尋常小学校が建てられました。
第二次大戦中の空襲によって白川公園の周辺が消失。
戦後は進駐軍に接収され、米軍将校の家族住宅が設置され、
「アメリカ村」と呼ばれました。
1958年に米軍から返還後、公園として整備が開始されました。
1962年に名古屋市科学館(天文館)が開館
1967年に現在のような白川公園として生まれ変わりました。
2011年3月には名古屋市科学館のプラネタリウムがオープン。
世界最大のドーム(内径35m)と高い映像クオリティを誇ります。
地下鉄伏見駅直結 伏見地下街が様変わり
名古屋の地下街と言えば、名駅と栄が目立ちますが、
この伏見にも約40店が軒を並べる小さな地下街があります。
地下鉄東山線伏見駅の東改札口に直結する形で、
地下街が広がっています。
昭和のレトロな雰囲気が残る地下街ですが、
アメリカ仕込みのハンバーガーショップ「ハンサムバーガー」
や、新しい店構えのおしゃれな立ち飲み屋も目立ち、
立ち飲み横丁として人気があります。
若者や勤め帰りの人たちでにぎわっています。
伏見地下街のオープンは、1957年の名古屋市営地下鉄東山線の
開業と同じ年。名駅、栄の地下街オープンの翌日に、
中区錦2丁目の錦通の下に伏見の地下街もオープンしました。
当時は、「長者町地下街」といって、地上にある繊維問屋が
地下に問屋街を作ったもので、オープン当初はすべての店が
繊維問屋でした。
しかし、繊維業の不況とともに、地下街のにぎわいも衰退。
ところが、2015年のハンバーガーショップのオープンを
きっかけに居酒屋や立ち飲み屋など約10店が一気にオープン。
駅と直結という利便性やオフィス街との近さで、
活気を取り戻しました。
リニューアルされた御園座
現在の御園座(栄2丁目)がある付近は江戸時代は
武家屋敷町でした。ちなみに「御園通り」という名称は、
名古屋城の御園門に続いていたことに由来します。
明治時代になり、実業家の長谷川太兵衛が
「一流の劇場を名古屋につくりたい」と発起し、
御園座を明治30年(1895年)5月に開場させました。
その後、1935年(昭和10年)に新劇場に建て替えましたが、
1945年(昭和20年)名古屋大空襲で全焼しました。
1947年に再建しましたが、1961年には火災で焼失。
1963年(昭和38年)に御園座会館として再建されました。
2013年、運営会社の経営不振や耐震性の問題から、
積水ハウスに土地・建物を売却した上で、
御園座会館は閉館し、建て替え工事が始まりました。
2017年12月に「グランドメゾン御園座タワー」が
マンション併設の40階建てのビルとして竣工。
建築家の隈研吾氏の設計で、旧御園座の特徴だった
「なまこ壁」を受け継ぐ斜めの格子がシンボルとなります。
1階には食のテーマパーク「御園小町」が新設されました。
そして2018年4月には御園座がリニューアルオープン。
今後も名古屋の新たな文化拠点として
親しまれることでしょう。

オフィス街から高級マンション街へ
従来は伏見というと、オフィス街のイメージがありましたが、
今では高級マンションのイメージも強くなりつつあります。
街のイメージを変えるきっかけになった1つが、
2017年夏に完成した野村不動産の
「プラウドタワー名古屋栄」です。
地上29階建て347戸のタワーマンションで、
スーパーや飲食店、クリニック、銀行が併設。
わずか半年で完売したことが話題になりました。
このほかに、伏見エリアでは次の3棟のタワーマンションが
完成、または計画中です。
・積水ハウス「グランドメゾン御園座タワー」
(地上40階建て、304戸、2018年1月完成)
・野村不動産「プラウドタワー名古屋伏見」
(地上21階建て、75戸、2019年2月完成予定)
・野村不動産等
「名古屋・錦二丁目7番第一種市街地再開発事業」
(地上30階建て、2021年度完成予定)
伏見でタワーマンションの建設が相次いでいる背景には、
2027年のリニア中央新幹線開業を控え、
名駅に近く住環境が良い伏見が改めて注目されていること、
また、さらなる値上がりを見据えて購入する人が増えたこと、
さらに高齢になっても都心に住みたいという人が増えたこと、
などが要因だと分析されています。
このように、もともとオフィス街であり、
白川公園も御園座をはじめとする文化施設もある伏見エリアは、
引き続き人気が続くのではないでしょうか。
【出典】
・名古屋市計画局「なごやの町名」
・株式会社御園座ホームページ
http://www.misonoza.co.jp/company_index.php
・積水ハウスプレスリリース 2015年3月27日付
「『(仮称)栄一丁目御園座共同ビル計画』着工」
・朝日新聞 2017年5月24日付
「名古屋再開発、熱い伏見 タワマン半年で完売「記録的」」
https://www.asahi.com/articles/ASK5L4WM1K5LOIPE014.html
・野村不動産公式サイト「プラウドタワー名古屋伏見」物件概要
https://goo.gl/Ce1YGw
・野村不動産プレスリリース「『名古屋・錦二丁目7番第一種市街地
再開発事業』市街地再開発組合設立認可のお知らせ」
https://www.nomura-re.co.jp/cfiles/news/n2017112001360.pdf
・日本経済新聞「幻の『柳橋駅』河村市長が視察 名古屋市営地下鉄」
2017/12/29付
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25243350Z21C17A2000000/
・伏見地下街公式サイト https://fushimi-underground-mall.nagoya/
・日本経済新聞「伏見地下街 『よそ者』参入で再生
勢い維持へ韓国客狙う」2017/9/29付電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFD26H0Z_W7A920C1L91000/
この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2018年5月7日発行分の転載です。