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名古屋・東海収益不動産ガイド

東海地方の不動産の注目エリア(25)多治見

多治見市モザイクタイルミュージアム

 岐阜県の東濃に位置する多治見市は、
 人口11万人余りの東濃を代表する都市です。

 北は岐阜県可児市、東は岐阜県土岐市、
 西は愛知県の犬山市と春日井市、南は愛知県瀬戸市と接しています。
 市域の中心を庄内川の上流となる土岐川が流れており、
 土岐川に沿って、JR中央線も通っています。

 近年は、多治見市と聞くと暑さを連想する方も少なくありません。
 平成19年8月16日、多治見市は74年ぶりに
 当時の国内最高気温を更新し、
 40.9℃を記録し、「日本一暑い市」として全国に知られました。

 今回は多治見市についてご紹介します。

 

古くからの美濃焼の産地

 多治見市は土岐市、可児市、瑞浪市と並び、
 古くから陶業が行われていた地域ではありましたが、
 16世紀に織田信長の政策によって、
 陶業が盛んだった瀬戸周辺の陶工が東濃地域に
 移住させられたことから、いっそう陶業が盛んになりました。

 

名古屋都心まで30分台のアクセス

 JR中央本線では、多治見駅から千種駅までは25分、
 名古屋駅までは39分と、名古屋都心までのアクセスが容易です。
 車では東海環状自動車道を活用すると
 西三河地区まで通勤圏内となります。

 

タイルやセラミックス関連産業が盛ん

 多治見市内に本社を構える東証1部上場企業としては、
 耐火物やファインセラミックスなどの東京窯業(TYK)、
 スーパーマーケットのバロー(本部)の2社があります。
 (バローの登記上の本店は恵那市)

 ほかに、バローグループの中部薬品(Vドラッグ)や
 同じくバローグループのスポーツクラブ運営のアクトス、
 パチンコチェーンの平成観光、
 外装セラミックタイルのアイコットリョーワなどの本社もあります。

 多治見市は陶磁器製造の伝統を受け継ぐ
 タイルやファインセラミックスに関連する企業が多いことが
 特徴的です。
 市内の企業のうち、窯業・土石製品製造業が占める割合は、
 事業所数の58%、従業員数の52%、製造品出荷額等の49%を
 占めます。(多治見市 平成26年工業統計より)

 

国宝がある虎渓山永保寺

 多治見駅から北東に2kmほどのところにある虎渓山永保寺は、
 鎌倉時代(1313年)に開創された、小高い虎渓山に佇む禅寺です。

 鎌倉末期に建てられた「観音堂」と「開山堂」は
 国宝に指定されています。

 「観音堂」(正称「水月場」)は鎌倉時代の正和3年(1314年)に、
 夢窓国師(夢窓疎石)が建立したといわれる
 日本で唯一現存する仏殿です。

 「開山堂」(正称「無相堂」)は足利尊氏の寄進により、
 室町時代の文和元年(1352年)に建立されたとされます。
 祠堂には夢窓国師と仏徳禅師の塑像が安置され、
 その背後には仏徳禅師の遺骨が納められています。

 面積約51,300平米の庭園は「国の名勝」に指定されています。
 天然記念物の樹齢約700年の大銀杏をはじめとする
 11月下旬の紅葉は見事で、市民や観光客を魅了します。

 

焼き物に親しみ散策を楽しめる街

 現在も市内の窯元では、陶芸家や職人達が陶磁器づくりを行っており、
 市内には陶磁器に関する美術館、資料館、ギャラリーなどが
 点在していて、焼き物に親しむ機会が多い街です。

 市の中心部には、美濃焼を全国に知らしめた、
 茶人としても有名な大名、古田織部にちなんで名づけられた、
 「本町オリベストリート」という通りがあります。

 元々は陶磁器問屋街だった通りです。
 明治から昭和初期時代に建築された、陶磁器商家や蔵が改築され、
 陶器店、ギャラリー、骨董屋、食事処、カフェなどとなり、
 400メートルにわたって立ち並び、散策を楽しむことができます。

 多治見駅から南東に5kmほどのところにある
 「多治見市モザイクタイルミュージアム」は、
 採土場をモチーフにした独特の外観が特長の体験型ミュージアムです。
 タイルを用いたアート作品の展示や、
 タイルを使って小物をつくる体験コーナーなどを楽しめます。

 多治見市では陶磁器に関するイベントも盛んに行われています。
 春と秋の美濃焼の大廉売市や、マルシェや展示なども各所で
 行われており、新人作家の発掘や活躍の場となっています。

 

多治見駅南地区の再開発

 現在、多治見駅南地区では、
 敷地面積約20,000平米、延床面積約52,300平米の再開発事業が
 予定されており、2020年4月に着手、2022年9月の竣工を
 目指しています。

 29階建ての高層マンション、14階建てのホテル、
 3階建ての商業・オフィスビル、5階建ての駐車場棟からなり、
 ペデストリアンデッキ(歩道橋)によって回遊しやすくなる計画です。

 この再開発の影響もあり、2019年地価調査(7月1日調査)で
 岐阜県内の住宅地で最も地価が上昇した上位2地点は
 多治見駅前と駅前に隣接する地点でした。

 

  <住宅地の上昇率上位地点(岐阜県)>

  1位は多治見市音羽町1丁目16番4(4.1%上昇)。
  2位は同市上野町4丁目15番1(3.0%上昇)。

 さて、多治見市の魅力は、古くからの焼き物の伝統があり、
 現在もタイルやセラミックス関連が主要な産業となっていて、
 街中には陶磁器と親しめる機会が豊富にあることです。
 その多治見市に、駅前の再開発がどのような影響をもたらすか、
 今から楽しみです。

 

 【参考・引用】

 ・多治見市観光協会 https://tajimi-pr.jp/
 ・多治見市ホームページ 平成26年工業統計
  https://www.city.tajimi.lg.jp/gyose/gaiyo/miryoku.html
 ・虎渓山永保寺 http://www.kokei.or.jp/
 ・本町オリベストリート https://www.oribe-street.com/
 ・多治見モザイクタイルミュージアム
  https://www.mosaictile-museum.jp/
 ・日本の超高層ビル
  https://skyskysky.net/construction/202057.html

 

この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2019年12月23日発行分の転載です。