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名古屋・東海収益不動産ガイド

東海地方の不動産の注目エリア(55)白壁エリア

名古屋市市政史料館

 名古屋市東区、駅で言えば名鉄瀬戸線東大手駅の東側に広がる
 白壁エリアは、東海地方でも有数の高級住宅地として知られています。
 近隣では高級マンションも多く建設され、人気のエリアです。

 古くは武家屋敷街として発展を遂げ、
 現在も当時の面影を感じられるスポットが点在しています。

 栄までは徒歩や自転車でもアクセスできます。
 駅としては、名鉄瀬戸線の東大手駅や清水駅、地下鉄桜通線の高岳駅、
 名城線の市役所駅も利用することができます。
 高速道路では東新町ICから名古屋高速都心環状線に、
 東片端ICから名古屋高速1号楠線に乗り入れることができます。

 医療施設としては、名古屋城のすぐ東に
 独立行政法人国立病院機構名古屋医療センターがあります。
 学校では、愛知県立明和高校や、金城学院中学校・金城学院高等学校
 といった有名校があります。

 今回は白壁エリアをご紹介します。

 

白壁の歴史

 徳川家康は1609年に名古屋遷府令を発し、名古屋城が築城され、
 1612年頃から1616年頃にかけて、清州から名古屋への移転、
 いわゆる「清州越し」が行われました。

 名古屋城の東側には約100坪から300坪程度に区割りされた
 武家屋敷街が造られました。
 武士の一人が、屋敷の前に白壁の塀を造ったことをきっかけに、
 周辺の武家屋敷でも白壁の塀が建てられるようになりました。
 その影響から、この一帯は白壁と呼ばれるようになったと言われています。

 大正時代から昭和初期にかけて、名鉄瀬戸線の前身の瀬戸自動鉄道が
 瀬戸から堀川まで陶磁器を運搬するようになりました。
 堀川に近い白壁エリアは陶磁器の絵付けや加工の拠点となりました。
 昭和初期には、現在の名古屋市東区周辺に600か所以上の
 陶磁器絵付け工場があり、最盛期には国内の輸出用の陶磁器の
 約7~8割がこの地域で絵付け加工されたそうです。

 大正時代から昭和初期には、白壁周辺の武家屋敷跡地の
 広大な敷地を利用して、トヨタ自動車創業家の豊田氏一族、
 ソニー創始者の盛田昭夫氏など、
 近現代の日本の発展を支えた財界人が屋敷を構えるようになりました。
 このようにして、白壁周辺は高級住宅地として知られるようになりました。

 

名古屋市政資料館(東大手駅から南南東に200メートル)

 1922年に建築された旧名古屋控訴院地方裁判所区裁判所庁舎であり、
 戦前に建築された8か所の控訴院(現在の高等裁判所)のうち、
 現存する最古の庁舎とされます。
 1979年までは裁判所として使われていました。

 建物はネオバロック様式、外壁は赤レンガ、
 ステンドグラスが残る中央階段が見応え抜群で、
 ドラマのロケや、結婚式や前撮りの写真撮影にも使われています。
 11室ある常設展示室では、市政・司法の歴史が展示されています。

 

ウィルあいち(東大手駅から南南東に300メートル)

 愛知県女性総合センターの愛称で、
 愛知県の男女共同参画社会づくりの拠点施設として1996年に開館しました。
 多目的ホールや会議室、情報ライブラリー、
 一般も利用できる宿泊施設など、さまざまな機能を有しています。

 

政財界人の旧邸宅の公開

 先述のように白壁エリアには、大正から昭和にかけて
 旧財界人の邸宅が立ち並びました。
 下記の施設は名古屋市が寄贈を受けるなどして取得し、公開しています。

 ・旧豊田佐助邸(東大手駅から南東に700メートル)
  発明王・豊田佐吉の弟、佐助が住んでいた邸宅。
  当時、長塀町に佐吉邸、白壁町に豊田喜一郎邸と
  豊田利三郎邸もありましたが、現存するのはこの豊田佐助邸だけです。
  (豊田利三郎邸は門と塀だけが残されています。)
  木造の洋館・和館を併設したスタイルで、
  洋館の1階では蓮の蕾の形の照明、吊元の装飾、鶴亀に
  とよだの文字をデザインした換気口などが見られます。

 ・文化のみち二葉館(東大手駅から東に600メートル)
  電力王と言われた福沢桃介氏と、日本の女優第1号の川上貞奴とが、
  大正時代に居住した和洋折衷の建物で、当時は「二葉御殿」と呼ばれました。
  平成17年2月に創建当時の姿に移築復元して開館しました。
  川上貞奴関連の資料や郷土ゆかりの文学資料、当時のステンドグラスや
  照明器具など調度品も展示されています。

 ・文化のみち橦木館(東大手駅から南東に700メートル)
  明治時代に陶磁器加工販売の井元商店を創業し、海外輸出に成功した
  井元為三郎が建てた屋敷で、大正末期から昭和初期のものといわれています。
  庭園を中心に、洋館、和館、茶室、二つの蔵があり、
  玄関ホールにある4種類のステンドグラスや、手吹きガラス窓など、
  当時の趣を残しています。名古屋の陶磁器産業についての展示、
  喫茶スペース、貸室として展示会などに利用することもできます。

 ・文化のみち百花百草(東大手駅から南東に500メートル)
  長らく空家になっていた岡谷鋼機の創業者である岡谷家の邸宅で、
  1920(大正9)年に建てられた書院、茶室、土蔵を改修。
  ホールでは、ピアノの生演奏を楽しみ、休憩することもできます。
  かつて岡谷家が所蔵し、現在は徳川美術館へ寄贈された
  「百花百草図屏風」にちなんだ庭園もあり、四季折々の表情が楽しめます。
  ホールや土蔵のギャラリーは貸切利用も可能です。

 さて、今回は白壁エリアをとりあげました。
 高級住宅街として知られており、生活の利便性も高い白壁エリアは、
 今後も「あこがれの住宅地」として、人気が衰えることは無さそうです。

 

 【参考・引用】

 ・nomu.com 街から https://www.nomu.com/machikara/4156/
 ・ウィルあいち https://www.will.pref.aichi.jp/index.html
 ・名古屋市政資料館
  https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/52-7-4-0-0-0-0-0-0-0.html
 ・名古屋公式観光情報名古屋コンシェルジュ
  名古屋今昔紀行 白壁エリア
  https://www.nagoya-info.jp/feature/detail/30/
  旧豊田佐助邸 https://www.nagoya-info.jp/spot/detail/74/
  文化のみち 二葉館 https://www.nagoya-info.jp/spot/detail/32/
  文化のみち 橦木館 https://www.nagoya-info.jp/spot/detail/37/
  文化のみち 百花百草 https://www.nagoya-info.jp/spot/detail/38/

 

この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2022年10月3日発行分の転載です。