
2020年4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大対策として
7都道府県に緊急事態宣言が発出され、
4月16日には緊急事態宣言の対象地域が全国へと拡大しました。
そして5月4日には全国の緊急事態宣言が延長されました。
多くの店舗や企業では休業や営業自粛を続けています。
人々は満員電車での通勤を避け、
自宅でより多くの時間を過ごすようになっています。
リモートワークやオンライン授業なども普及し、
新たな生活習慣やワークスタイルが生まれようとしています。
このような変化は、
オフィス・住居の需要にも影響を与えることでしょう。
そこで今回は、新型コロナウイルス禍が、
オフィス・住居の需要に与える影響を予想してみます。
予想1.地方・郊外に住みたい人が増える
新型コロナウイルスは、人口が密集する大都市ほど感染率が
高くなりやすく、医療崩壊が起こるリスクも高くなります。
緊急事態宣言も大都市の方が適用される日数が長く、
経済や生活への影響がより深刻です。
そのため、感染症に生活が左右されやすい大都市を敬遠して、
地方・郊外で平穏な暮らしを希望する人が増える可能性があります。
また、大都市での外出自粛生活の閉塞感に嫌気がさした人の中には、
自然に囲まれ開放感のある住環境や、庭付きの戸建ての住宅を求めて、
地方・郊外の居住を希望する人が従来よりも増える可能性があります。
予想2.オフィス需要が都心から地方・郊外へシフト
LINEリサーチが4月16日に実施したLINEユーザーへの調査結果によると、
テレワークの実施割合は全国で35%、一都三県で53%に達します。
テレワークを実施した企業、特に地価が高い都心の企業の多くが、
オフィス面積の縮小を検討すると考えられます。
その反面、在宅勤務がしやすい住居へのニーズが高まる可能性や、
またテレワークをしやすいサテライト型のオフィスが
郊外に増える可能性があります。
予想3.ソーシャルディスタンス型オフィス・店舗の増加
飲食店では、新型コロナウイルスの飛沫感染を防ぐために、
席を減らして隣席との間隔を広げ、
ソーシャルディスタンスに配慮しているところが少なくありません。
今後は、飲食店、オフィス、学校、劇場など様々な施設で、
ソーシャルディスタンスに配慮したレイアウトへのニーズが高まり、
ソーシャルディスタンス型オフィス・店舗が増える可能性があります。
そうなると、同じ面積でも利用できる人の数は従来よりも減少します。
地価(店舗・オフィスの賃料)が高い物件では、
収益性を従来よりも高める必要があります。
そのため、今後は地価(店舗・オフィスの賃料)に応じて、
商品・サービスやビジネスモデルの淘汰が進む可能性があります。
さて、今回はこの3つの予想をさせていただきました。
予想1.地方・郊外に住みたい人が増える
予想2.オフィス需要が都心から地方・郊外へシフト
予想3.ソーシャルディスタンス対応をするオフィス・店舗の増加
なお、新型コロナウイルスの流行は今年だけで終わるのではなく、
今後何年かにわたって続く可能性があると言われています。
また、今後は別の新たな感染症のパンデミックにも備える必要があります。
そのため、今回予想した3つの動きは、今年だけに限らず、
今後数年間にわたって継続するかもしれません。
新型コロナウイルスによる社会・経済への影響は計り知れず、
今後の見通しも不透明ですが、一日も早い感染の終息を願うばかりです。
【参考】
・LINEリサーチ 2020年4月23日
新型コロナウイルス感染拡大に伴う職場・テレワークの現状について
http://research-platform.line.me/archives/34978692.html
この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2020年5月11日発行分の転載です。