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名古屋・東海収益不動産ガイド

デュアルライフ(二拠点生活)の動向

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けてリモートワークが
 急速に普及し、住む場所・働く場所の選択肢が広がりました。

 その結果、平日は都市部で、週末は郊外や地方で過ごす生活様式、
 「デュアルライフ(二拠点生活)」が注目されています。

 3月1日のメルマガでは「ワーケーション」をとりあげましたが、
 デュアルライフは、ワーケーションを日常化した形と言えます。

 不動産投資の観点からは、デュアルライフの拠点になり得る地域に
 注目すれば、不動産を活用できる可能性が広がります。

 今回は「デュアルライフの動向」についてご紹介します。

 

デュアルライフのメリット

 デュアルライフは、デュアルライフの実践者、
 実践者を雇用する企業、
 拠点となる地域のいずれにもメリットがあります。

 実践者は「ゆとりある生活」や「心身の健康」などが得られ、
 仕事の生産性や創造性向上にもつながると考えられます。

 実践者を雇用する企業にとっては、
 従業員の心身が健康になることで、退職のリスクが減り、
 仕事の生産性や創造性向上が業績に好影響を与えると考えられます。

 拠点となる地域にとっては、
 人材不足の解消、コミュニティ活性化、遊休農地解消、
 雇用創出、消費増加などの効果も期待できます。

 

複数拠点生活の実態

 一般社団法人 不動産流通経営協会が、2020年3月に
 日本国内に居住する20〜79歳男女の149,602人を対象に
 スクリーニング調査を行い、複数拠点生活を実施している人、
 または複数拠点生活の意向がある人の5,200人を対象に
 「複数拠点生活に関する基礎調査」を行いました。

 デュアルライフ(二拠点生活)も「複数拠点生活」に含まれます。
 以下、この調査結果を紹介します。

 ・複数拠点生活を実践する人の数

 現在複数拠点生活を行っている人(実施者)は、
 スクリーニング調査対象の6.6%、推計で全国に約617万人。

 今後、複数拠点生活を行いたい人(意向者)は、
 スクリーニング調査対象の7.1%、推計で全国に約661万人です。

 なお、この調査が実施された2020年3月以降、
 多くの企業でリモートワークが普及したため、
 デュアルライフへの意向はさらに高まっていると考えられます。

 ・複数拠点生活をする人の世帯年収

 同調査によると、積極的な理由で複数拠生活をする人の
 世帯年収の平均値は680万円、中央値は500万円〜600万円と、
 全国の平均所得551万円に近い水準です。

 デュアルライフは富裕層のものだけではなく、
 平均的な世帯が選択する生活スタイルになっていると言えます。

 ・複数拠点の位置関係

 複数拠点生活実施者のメイン拠点とサブ拠点の位置関係は、
 同県内が40.1%、県外で同地方エリア内が18.8%と、
 あわせると約6割が同地方エリア内です。
 首都圏の人でサブ拠点も首都圏である人は43.4%。
 関西圏の人でサブ拠点も関西圏である人は59.4%。
 中部圏の人でサブ拠点も中部圏である人は56.7%です。

 メイン拠点からサブ拠点までの移動時間は、
 1時間未満が26.4%、1時間~2時間未満が24.8%、
 2時間~4時間未満が29.4%です。

 サブ拠点への年平均の滞在日数は66.7日です。

 

自治体の支援制度

 地域内でのデュアルライフをする人を対象にした
 支援制度を打ち出している自治体もあります。
 その一部を紹介します。

 ・新潟県は、新潟県内に居住しようとする
  テレワークで県外企業に勤める人や個人事業主を対象に、
  世帯者は50万円、単身者は30万円を支援しています。

 ・群馬県みなかみ町では、従来、新幹線で首都圏に通う人の
  定期代として最大3万円を補助していましたが、
  月に数回程度出社するテレワーカーを念頭に制度を拡充し、
  乗車ごとの実費も対象としました。

 ・静岡市は、1日から1週間程度の
  「お試しテレワーク体験事業」として、
  新幹線代(最大1万2千円)、宿泊費(1泊8500円)、
  オフィス使用料(4千円)を補助しています。

 なお、今後、リニア新幹線の駅が設置される
 山梨県甲府市、長野県飯田市、岐阜県中津川市も、
 デュアルライフのポテンシャルが高い候補地と言えるでしょう。

 デュアルライフの拠点としての利用が見込めるエリアでは、
 空き家の利用・活用、宿泊先としての住居の提供、
 コワーキングスペースやワーキング施設などの需要が見込まれます。

 

 【出展】

 ・一般社団法人 不動産流通経営協会「複数拠点に関する調査」
  https://www.frk.or.jp/suggestion/202007_fukusukyoten_kiso.pdf
 ・厚生労働省 平成30年 国民生活基礎調査の概況
  https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa18/dl/03.pdf
 ・茨城県「わくわく茨城生活実現事業(茨城県移住支援金)」 
  https://tinyurl.com/5d23vnp7
 ・新潟日報 2020年11月13日4面
  「テレワーカー来たれ 県がサポート」
 ・産経新聞 2020年12月10日23面「コロナ禍で4か月連続
  「転出超過」「東京一極集中」是正、転機なるか」

 

この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2021年4月5日発行分の転載です。