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トランクルームへの投資

 近年、街中でトランクルームを多く見かけるようになりました。
 トランクルームは、自宅やオフィスに置ききれない荷物を預ける
 賃貸収納スペースのことです。

 最近のコロナ禍では、テレワークが普及したため、
 自宅にスペースが必要となった個人や
 オフィススペースを削減しようとする法人による
 トランクルームの利用も増えているようです。

 今回はトランクルームへの投資について解説します。

 

トランクルームの市場規模

 トランクルームを運営するキュラーズによると、
 2020年の「トランクルーム(屋内・屋外)市場」は670億円で、
 2010年の330億円から10年間で2倍以上に増加しています。
 店舗数は11,397店舗、延べ室数は503,000室とみられ、
 店舗数はファミリーレストランの10,305店舗を超えています。
 屋内トランクルームは上位3社で42%のシェアを占めます。

 キュラーズはトランクルームの需要が増えた背景の1つとして、
 住宅の狭小化を挙げています。
 1戸あたりの平均床面積は2000年から2020年までの20年間で
 平均15平米減少しているようです。

 

トランクルームの種類と特徴

 トランクルームは屋内型と屋外型の大きく2つに分かれます。

 ①屋内型
 倉庫やオフィスビル、マンションなど既存の建物内に
 トランクルームを設置するタイプで、都市部に見られるタイプです。

 賃貸物件の場合、借りた部屋の中をパーテーションなどで仕切り、
 複数の小部屋を作って収納スペースとして貸し出します。
 屋内のため、書類や機器などの保管にも適しています。

 既存物件を屋内型のトランクルームにするには
 リフォームが必要になりますが、
 パーテーション設置なら一部屋数万円程度でも施工可能です。
 賃貸物件の場合は賃料・共益費や電気代が必要になります。
 2階以上の場合はエレベーターが必要になります。

 ②屋外型
 空き地にコンテナやガレージを設置し、収納スペースとして
 貸し出すタイプです。郊外や市街地に多く見られます。

 コンテナは平置きの場合や、2階建のものもあります。
 ガレージ型の場合は、1階がガレージ、
 2階に居住またはオフィススペースを設けているものもあります。

 屋外型は車・バイクやアウトドア用品の保管に向いています。
 コンテナ1基の費用は100万円前後が目安です。

 

宅配トランクルーム事業

 最近は宅配トランクルームサービスを行う事業者が増加しています。
 先の分類では屋内型になります。

 それらのサービスでは、利用者は預けたい荷物を梱包し、
 配送業者が荷物を回収して倉庫に運送します。
 倉庫では預かった荷物を1点ずつ写真撮影してから保管します。
 利用者はPCやスマホで預けた荷物を画像で確認できます。

 必要になった荷物があれば、品物単位で取り出しを依頼でき、
 最短で翌日には自宅に届きます。
 月額保管料は箱の大きさにより異なりますが、
 1箱数百円程度からとリーズナブルです。

 事業者によっては、預かった衣類をクリーニングに出してから
 次のシーズンまで保管するサービスや、
 不要になった品物をオークションサイトに出品手配ができる
 サービスもあります。

 

トランクルームの土地・建物と運営の形態

 トランクルーム事業の土地・建物は次の形態があります。
 ・すでに自身が所有している土地・建物で行う
 ・新たに土地・建物を購入して行う
 ・他者の土地・建物を賃借して行う

 なお、新たに建物を建ててトランクルーム事業を行う場合は、
 建物の建築確認を取らなければ建築を行えないため、注意が必要です。
 既存の建物を賃貸してトランクルームを開始する方法が
 一番リスクが低いです。

 トランクルームの設営、開業後の募集、契約、管理などの運営は
 次の形態があります。
 ・全てを自身で行う
 ・一部の業務を外部に業務委託する
 ・フランチャイズに加盟して本部のサポートを受けて運営する

 全てを自身で行う場合は追加費用は掛かりませんが、
 ノウハウがない場合は効率的な運営ができない可能性があります。
 業務委託をする場合はサービス料金が必要となります。
 フランチャイズの場合は本部へのロイヤリティが発生します。

 

トランクルーム投資のメリットとリスク要素

 トランクルーム投資について、アパート・マンション投資と比べた
 メリット要素と、リスクまたはデメリット要素を確認します。

 

 <メリット要素>

 ・コストを低く抑えることができる
  トランクルームはアパートやマンションに比べると、
  規模にもよりますが、一般に初期費用もランニングコストも
  比較的安価で済むため、少ない費用と短い期間で開業可能です。

 ・高い収益性が期待できる
  トランクルームはアパートやマンションに比べて
  ランニングコストが抑えられるため、収益性が高いと言えます。
  ただし、トランクルームは満室になるまでに一定程度の
  期間がかかることも予想されます。
  収益は近隣の競合施設の存在にも左右されます。

 ・劣化しにくく、老朽化しても賃料への影響が少ない
  アパートやマンションは人が住むため劣化が起こりやすく、
  資産価値は下がりやすいです。
  トランクルームは物を保管するだけなので、劣化しにくく、
  老朽化しても賃料への影響が少ないと言えます。

 ・トラブルが少ない
  アパートやマンションは住人同士のトラブルや
  水回りやガスのトラブルが起こる可能性があります。
  トランクルームはこのようなトラブルも少ないです。

 ・中期的、長期的な継続利用が見込める
  トランクルームは一般的に、利用者が一度借りて荷物を預けると、
  中長期にわたり継続して使われるケースが多く、
  退去者が多いアパート・マンションより収益が安定しやすいです。

 

 <リスクまたはデメリット要素>

 ・競合の存在
  トランクルーム投資は初期投資が少なく、着手しやすいですが、
  その反面、新規参入者も多く、施設が全国的に増えています。
  需要が多い立地でも、競合が多いと利用者を確保しにくくなり、
  賃料を下げなければならないリスクも考えられます。

 ・満室になるまでに時間がかかる
  トランクルームは生活に必ずしも必要なものではなく、
  また住居のように募集ネットワークも発展していないため、
  利用者が集まりにくい可能性があります。
  そのため、賃料収益が損益分岐点を超えるまでに
  一定程度の期間がかかる可能性もあります。

 ・金融機関からの融資を受けにくい
  現在のところ、金融機関は一般的にトランクルーム事業への
  融資には積極的ではないようです。そのため、事業資金は
  自己資金または他の方法で調達する必要があります。

 

まとめ

 トランクルームの需要は住宅の狭小化傾向や
 リモートワークの影響を受けて拡大しています。

 トランクルーム投資は、初期投資が少ないため着手しやすく、
 高い利回りが期待できることが魅力です。
 その反面、新規参入者も多く、競合との競争に注意が必要です。

 これからトランクルーム投資を検討される場合は、
 立地や周辺の環境、競合の存在などに注意する必要があります。

 

 【参照】

 ・キュラーズ 2021年・2020年トランクルーム市場
  https://www.quraz.com/assets/img/pr/20211111.pdf
  https://www.quraz.com/assets/img/pr/20200708.pdf
 ・GRANDVAN TIME https://www.grandvan.co.jp/grandvantime/5648
 ・OWNERS STYLE https://owners-style.net/article/detail/36480/
 ・LIFULL HOMES  https://tinyurl.com/4nvce5yc
 ・KASEグループ https://tinyurl.com/397xf42x
 ・日本経済新聞 https://tinyurl.com/2dw28kp4

 

この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2022年2月7日発行分の転載です。