
昨今、ペット関連市場は拡大しています。
しかしながら、賃貸物件でペットが飼育できる物件は限られています。
今回はペットと暮らせる賃貸物件について探ります。
ペットと暮らせる賃貸物件の需要
矢野経済研究所によると、2016年度のペット関連総市場規模は
小売金額(末端金額)ベースで1兆4,983億円であり、
2012年度の1兆4169億円から5.7%伸びています。
一般社団法人ペットフード協会の
「平成30年(2018年)全国犬猫飼育実態調査」によると、
近年は犬の飼育数が減少していますが、猫の飼育数は微増しています。
全国の推計飼育数は猫は964万頭、犬は890万頭です。
犬と猫の合計は1855万頭と、15歳未満の人口1553万人を上回ります。
ペットと暮らせる賃貸物件の需要は大きいと考えられます。
昨今は一人暮らし世帯が増えていますが、
ペットを飼うことで一人暮らしの寂しさを紛らわしたい
というニーズも増えています。
ところが、現実には賃貸物件で「ペット可」や「ペット相談可」
という物件は、賃貸物件全体の1割程度と限られています。
前掲の「平成30年(2018年)全国犬猫飼育実態調査」では、
ペットを飼っていない人が飼育できない理由の上位3番目に
「集合住宅に住んでいて禁止されている」(23.5%)が挙げられています。
もし、集合住宅でもペット飼育が可能であれば、
ペットを飼いたいという人が一定程度存在するということです。
このようなペット需要を見込んで、
「ペット共生型賃貸物件」が昨今、注目されています。
「ペット共生型賃貸物件」とは?
「ペット可の賃貸物件」と「ペット共生型賃貸物件」は、
どのように違うのでしょうか。
「ペット可の賃貸物件」は、
管理規約でペットの飼育を認めているだけの物件のことです。
しかし、そのほとんどが、間取や設備が一般の物件と同じです。
ペットの安全性や、周囲に騒音・汚れ・臭いなどで迷惑をかけないために、
飼い主が配慮・工夫をする必要があります。
「ペット共生型賃貸物件」とは、ペットの飼育を前提に設計され、
入居が募集される物件のことです。
ペット用の足洗い場、グルーミングルーム、ドッグランや庭
などの設備が充実しています。
また、通常は「ペット可」物件でも認められないことが多い、
多頭飼育や大型犬の飼育が認められる物件もあります。
住民もペット飼育が前提で入居する人なので、ペットへの理解があり、
ペットによる近隣トラブルが生まれにくいことも特徴です。
そのため、ペット共生型賃貸物件の人気は高いです。
大手住宅会社もペット共生型賃貸物件を手掛けています。
旭化成ホームズは「ヘーベルメゾン+わん+にゃん」
というペット共生型賃貸物件を2006年から展開しており、
オーナーへの販売ベースで累計およそ6000戸を販売しています。
長谷工コーポレーションは2018年3月に入居開始した
賃貸マンション「ブランシエスタ王子」の120戸中12戸を
コンセプトルーム「猫と過ごす時間を楽しむ家」として提供しました。
大和ハウスは犬小屋付きの2階建て長屋風賃貸住宅「SEJOUR DD-1」を
習志野市に建築し、2018年3月に発売しました。

オーナーにもメリットがあるペット共生型賃貸物件
オーナーにとってペット共生型賃貸物件は、
一般の賃貸物件に比べて初期投資は多少かさむものの、
入居者が集まりやすく、長期の入居が見込めるメリットもあります。
今後、賃貸物件を新築またはリフォームする際には、
ペット共生型賃貸物件を選択肢として検討されてはいかがでしょうか。
なお、ペットに関連して、メルマガ第47号でもご紹介しましたが、
弊社は猫を飼うことができる物件に向けて、
【ネコ専用部屋】を提案しています。
ネコ専用部屋とは、次のような工夫がされた部屋のことです。
・きついニオイがしないオイルステンで塗装した
「キャットウォーク&ステップ」の造作
・爪とぎ兼遊び場の「キャットタワー」の設置
・高いところが好きなネコの習性を活かした「ハンモック」の造作
・ウォールステッカーを随所に貼り、飽きさせないように工夫
このような部屋の設置にご関心がありましたら、
弊社にご相談ください。
【出典】
・住宅新報 2018年5月8日「寄り添う家にペット共生住宅を考える(上)」
・一般社団法人ペットフード協会
平成30年(2018年)全国犬猫飼育実態調査
https://petfood.or.jp/topics/img/181225.pdf
・総務省統計局 平成30年4月1日現在における15歳未満人口
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topi1091.html
・ペット共生型マンションって?
http://www.homemate.co.jp/useful/rent134/
・平成30年(2018年)全国犬猫飼育実態調査 結果
https://petfood.or.jp/topics/img/181225.pdf
・ペット共生型、楽器可物件などコンセプト型住宅の注意点
https://chintai.mynavi.jp/chintaikeiei/bible/detail_12.html
・旭化成ホームズ「へーベルハウス+わん+にゃん」
https://www.afr-web.co.jp/hebel-rooms/feature/petkyousei.html/
・日刊工業新聞 2018年12月3日「入居条件は“ペット有り”、
旭化成ホームズの賃貸住宅が話題」https://newswitch.jp/p/15469
この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2019年4月1日発行分の転載です。