
不動産を保有されている方が不動産を売却する際の方法としては、
不動産会社が売り主と買い主との取り引きを仲介する
「仲介売却」と
不動産会社が売り主から不動産を買い取る
「不動産買取」の主に2つの方法があります。
今回はそれぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します
(1)仲介売却について
仲介売却とは、不動産会社が買い主を募集し、
売り主との間に入って売買取引を仲介する方法のことです。
仲介売却の流れ
1.資産価値の査定
不動産会社に相談し、物件の資産価値の査定を依頼します。
1社に依頼することも、複数社に依頼することもできます。
2.媒介契約の締結
売り主と不動産会社とで媒介契約を締結します。
媒介契約書には、売り主が希望する売却条件、
売買成立時に売り主が不動産会社に支払う仲介手数料、
媒介契約の有効期間、契約期間中の不動産会社の義務
などが記載されます。
後述のように、媒介契約には3つの種類があります
3.売却価格の設定
売り主の希望価格や市場価格をもとに、
不動産会社から査定や市場動向を踏まえたアドバイスを
受けて、売却価格を設定します。
4.購入希望者を探す
不動産売却の希望を告知して、購入希望者を探します。
通常は、物件情報サイトへの情報掲載や折込チラシ配布、
「レインズ(不動産流通標準情報システム)」への情報登録
などによって購入希望者を探します。
5.購入希望者との価格や諸条件の交渉
購入希望者が現れたら、不動産会社は購入希望者と
価格や諸条件の交渉を行います。
6.売買契約の締結、仲介手数料の支払い
売り主と購入希望者との間で合意に至った場合、
不動産会社が仲介役となり、売買契約を締結します。
売り主は宅地建物取引業法で定められた仲介手数料を
不動産会社に支払います。
3種類の媒介契約
媒介契約には、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約
の3種類があります。
1.専属専任媒介契約
売り主は不動産会社1社と媒介契約を締結します。
売り主には“自己発見取引の制限”が課せられます。
これにより、売り主は自身で購入希望者を見つけた場合でも、
不動産会社が取引を仲介する必要があります。
不動産会社は1週間に1回以上の報告義務があります。
契約期間は3か月以内と定められています。
不動産会社にとっては、報酬が確定するため、
売却活動に注力しやすくなります。
物件の条件が良くなく、売れるかどうか心配な場合に
向いています。
2.専任媒介契約
売り主は不動産会社1社と媒介契約を締結します。
不動産会社は2週間に1回以上の報告義務があります。
契約期間は3か月以内と定められています。
専任媒介契約には、“自己発見取引の制限”がありません。
売り主が自身で購入希望者を見つけた場合は、
不動産会社を介さずに売却することができます。
親戚や知り合いなどに売却できる可能性があるなら、
専任媒介契約が向いています。
3.一般媒介契約
不動産会社を1社に限定せず、
複数の不動産会社と媒介契約をすることができます。
そのため、購入希望者の間口を広げて探す効果が
期待されます。契約期間は3か月以内という行政指導が
あります。
不動産の報告義務についての法令上の定めはありません。
専任媒介契約と同様に“自己発見取引の制限”がありません。
需要があり、売却できる可能性が高い物件の場合は、
一般媒介契約でも早く・高く売れる可能性があります。
また、一般媒介契約では、不動産会社は「レインズ」への
登録義務がありません。そのため、物件を売り出している
ことを世間に知られたくない場合に向いています。
いずれの媒介契約でも、契約終了後の2年間は
契約期間中に紹介された買主と直接取引することが禁止され
ます。これは、売り主が仲介手数料の支払いを避けるために、
意図的に契約期間終了後に直接取引することを防ぐためです。
仲介売却のメリットとデメリット、向いているケース
<仲介売却のメリット>
・売り主が納得する売却価格を決めることができる
・売却先の相手を選ぶことができる
<仲介売却のデメリット>
・売却までに時間がかかる
・不動産会社に仲介手数料を支払う必要がある
・売り主側が契約不適合の責任(従来の瑕疵担保責任)を負う
場合が多い
<仲介売却が向いているケース>
・時間がかかってでも納得できる価格で売却したい
・売却先の相手をよく吟味したい
・築年数が浅いなど価値の高い不動産を売却したい
(2)不動産買取について
不動産買取は、不動産会社が売り主から直接不動産を買い取る
方法です。
購入希望者を探す必要がなく、売り主と不動産会社の間で
合意が成立すれば、早ければ数日〜数週間で売却が完了します。
不動産会社が買い取った不動産は、リフォームを施すなどして、
自社ネットワークや各種広告媒体を介して再販売されます。
不動産会社としては、これらの費用や再販リスクを考慮する
必要があり、
そのため、仲介売却よりも売却価格が安価になる場合が多いです。
不動産買取の流れ
1.買取査定
不動産会社に買取査定を依頼します。
1社に依頼することも、複数社に依頼することもできます。
なお、一般的に買取の場合は仲介売却に比べて
6割~8割程度安価になると言われています。
また、買取査定額と実際の売買価格は前後する可能性が
あります。
2.不動産会社との買取条件の打ち合わせ・契約
不動産会社と、売買価格や条件の確認の打ち合わせを
行います。買取価格や条件に合意したら、契約書を
締結します。契約書に押印した際に手付金を受け取ります。
なお、売買契約締結後にやむを得ない理由で契約を解除する
際には手付金の倍返しが原則となっています。
3.引き渡しまでの手続き
引き渡し日までに抵当権抹消の手続き、公共料金の手続き、
管理会社との手続き、引っ越しなどを済ませます。
4.決済・引き渡し
一般的に決済日には金融機関で引き渡し手続きが行われます。
司法書士などによる本人確認書類の確認、
売買代金残金の受領、各種清算金の受領、
住宅ローンの完済またはローン借り換えの手続き、
などを済ませ、鍵や関係書類の引き渡しを行います。
不動産買取のメリット、デメリット、向いているケース
<不動産買取のメリット>
・買い主を探す必要がないため早期に売却・現金化することが
できる
・プライバシーを考慮した売買ができる
・不動産の老朽化などの状況を気にしなくてもよい
・仲介手数料が不要
・売却後の契約不適合の責任が免責になる
<不動産買取のデメリット>
・売却価格が仲介売却よりも安価になるケースが多い
<不動産買取が向いているケース>
・短期間で売却し現金化したい
・他の人に知られずに売却したい
・物件の条件が良くなく、仲介での売却が見込みにくい
・物件の老朽化などで契約不適合の責任が発生するリスクが高い
・仲介手数料などの経費を節約したい
さて、不動産の売却には、このような方法がありますが、
当社ではお客様のご要望にあわせ、最適な売却方法をご提案します。
不動産買取りも積極的に行っています。
不動産売却にご関心がある方は、当社にご相談ください。
【参考】
・不動産ジャパン 不動産基礎知識:売るときに知っておきたいこと
https://www.fudousan.or.jp/kiso/sale/index.html
・不動産ジャパン
https://www.fudousan.or.jp/kiso/sale/3_4.html
・不動産取引のコンシェルジュ 土地マイスター
不動産売却における「仲介」と「買取」の違い
https://tinyurl.com/ycag5777
・ノムコム 不動産売却ガイド 不動産売却の流れ
https://www.nomu.com/seller/flow.html
・HOME4U 不動産売却塾 不動産買取と仲介の違いって何?
https://tinyurl.com/y7dfud2g
・コスモスイニシア 【不動産買取ガイド】すぐに売りたい!
買取の基礎知識と手順の総まとめ
https://www.cigr.co.jp/media/contents/21
・フクマネ不動産 不動産買取の流れは6ステップです
【必要書類と業者選びのポイントも解説】
https://fukumane.jp/real-estate-purchase-flow/
この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2020年7月13日発行分の転載です。