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名古屋・東海収益不動産ガイド

名二環全線開通の影響

 2021年5月1日、「名古屋西JCT~飛島JCT間」が開通し、
 千音寺南IC、冨田IC、南陽IC、飛島北ICの4つのICが誕生。
 これにより名古屋市の外周66.2kmの
 名古屋第二環状自動車道(名二環)が全線開通となりました。

 今回は名二環の全線開通の影響や経済効果についてご紹介します。

 

名二環全体の経済効果

 名二環は、1988年に名古屋西JCT〜清州東ICが開通してから
 徐々に開通区間が延伸し、交通量は増加し続けています。
 2019年度には約6,500万台が通行しています。

 全線開通した名二環全体が中京圏経済に与える経済効果は、
 年に227億円と試算されています。

 

新開通区間によるメリット

 新開通区間により次のメリットが生まれています。

 1.小牧市や岐阜方面と名古屋港との物流時間短縮

 新開通した区間による最大のメリットは、
 小牧市や岐阜方面と名古屋港との物流時間が短縮したことです。

 飛島ふ頭取扱コンテナの約4割は、
 小牧市や岐阜方面の物流センターに輸送されています。
 飛島ふ頭や小牧市の物流センターに1日あたり80〜100便の
 コンテナなどを輸送している企業もあります。

 従来は小牧市から国道302号線経由で片道61分かかりましたが、
 開通後は名二環経由で片道36分に短縮。
 片道で約25分、往復で約50分ほどの短縮になります。
 1日2往復だった輸送を1日3往復に増便することもできます。

 2.周辺交通の円滑化と渋滞緩和

 今回の開通区間により、伊勢湾岸自動車道や新名神から
 名古屋都心に向かう交通を分散させるとともに、
 東京方面に向かう交通をバイパスさせて混雑を緩和します。
 さらに、伊勢湾岸自動車道など周辺の高速道路が工事や事故などにより
 通行止めになった場合の迂回ルートとなります。
 これらにより渋滞損失時間は約4割減少すると期待されています。

 3.浸水時のライフラインの役割

 名古屋西JCT~飛島JCT間は海抜が低く、津波浸水リスクがあります。
 浸水時には高架上にある名二環がライフラインの役割を果たすことが
 期待されています。

 

近隣の不動産需要への影響

 昨今はインターネット通信販売の需要が急増しており、
 物流需要が旺盛です。
 名二環で今回開通したICの周辺では、
 次のように物流施設の建設が相次いでいます。

 物流施設を手掛けるESRは、名二環の甚目寺南ICから西に約7km、
 東名阪自動車道の蟹江ICから北に約7㎞のところに、
 賃貸物流施設「ESR愛西ディストリビューションセンター」を
 2020年10月に竣工。敷地面積約33,000平米、延床面積約63,000平米。

 また、ESRは名二環の飛島ICからも近い
 伊勢湾岸自動車道の弥冨木曽岬ICの近くに
 賃貸物流施設「ESR弥富木曽岬ディストリビューションセンター」
 を2022年4月に竣工予定。
 敷地面積約79,000平米。延床面積約155,000平米。

 大和ハウス工業は名二環の飛島ICからも近い
 伊勢湾岸自動車道の名港弥富ICの近くに、
 マルチテナント型物流施設「DPL 名港弥富」と「DPL名港弥富Ⅱ」を
 隣接して2022年6月に竣工予定。
 「DPL 名港弥富」は東海・北陸で最大規模となり、
 敷地面積約45,000平米、延床面積約209,000平米。
 「DPL 名港弥富Ⅱ」は敷地面積約53,000平米、延床面積約81,000平米。

 愛知県はロンコ・インベストメント・マネジメントと
 特定目的会社LCJ愛西Ⅱを設置して、
 名二環の大治北ICから西に約7㎞のところに
 賃貸物流施設「プロフィットマート愛西Ⅱ」を2022年2月に竣工予定。
 敷地面積5,600平米、延床面積9,400平米。

 なお、飛島ふ頭内には、名古屋港管理組合が管理する
 約71,000平米のさら地があり、企業誘致が期待されています。

 このような物流施設の需要を受けて、
 5月28日のメルマガ第101号「令和3年の公示地価(東海三県編)」
 でもご紹介したように、令和3年の公示地価では、
 飛島ICに近い飛島村木場の2地点が上昇しました。
 ・愛知県海部郡飛島村木場1丁目16番 4.7%上昇
 ・愛知県海部郡飛島村大字梅之郷字中梅60番7 4.1%上昇

 

2026年にも東海環状自動車道が全線開通の見込み

 名古屋圏は3つの環状高速道路があります。
 名古屋高速都心環状線が「小環状」、
 名二環が「中環状」にあたります。

 次は「大環状」にあたる東海環状自動車道の全線開通が、
 早ければ2026年度にも見込まれています。
 東海環状自動車道は、新東名自動車道の豊田東JCTから北上し、
 岐阜県を東西に横切ってから南下し、
 新名神高速の新四日市JCTを繋ぐルートです。
 今後、これらの沿線でも物流施設などの需要が高まる可能性があります。

 

 【参照】

 ・日本経済新聞 2021年2月27日
  「名古屋第二環状道、全線開通へ」
 ・中日新聞 2021年4月19日3面
  「名古屋港の物流 効率化 名二環来月1日に全通」
 ・名古屋環状2号線(名古屋西~飛島)開通効果検討会議
  「名古屋第二環状自動車道 名古屋西JCT~飛島JCT
   2021年5月1日(土) 開通」 https://tinyurl.com/tpw2sppm
 ・トラベルウォッチ 2021年2月26日 「名二環、5月1日全線開通」
  https://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/1308802.html
 ・建美家 2021年3月18日
  「いよいよ『名古屋第二環状自動車道(名二環)』が開通!
   中京圏の経済効果・物流効率化・地域防災力向上に期待」
  https://www.kenbiya.com/ar/ns/region/toukai/4507.html?ac=UL
 ・大和ハウス工業 DPL マルチテナント物流センター
  https://www.daiwahouse.co.jp/business/logistics/dpl.html
 ・ESR https://www.lnews.jp/redwood/index.html
 ・東海環状自動車道(西回り) 各区間の状況 東海環状自動車道
   ダイジェスト版 令和3年2月26日 https://tinyurl.com/unsp42z

 

この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2021年6月28日発行分の転載です。