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建物の防水メンテナンス1.屋根・屋上

 今年も台風の時期が近づいてきました。
 いつ来るか分からない大雨や暴風雨に備えて、
 日頃から屋根・屋上、外壁、バルコニー・ベランダには
 防水メンテナンスをしておくことが求められます。

 今回と次回のメルマガでは、2回続けて、
 建物の防水メンテナンスについてとりあげます。
 今回は、屋根・屋上のメンテナンスについて解説します。

 

防水の重要性

 防水は建物の構造を守る上で重要です。

 木造住宅の場合は、屋根や外壁などから水が染み込む状態が
 続くと、天井裏や外壁、柱や梁の木材が腐食してしまいます。
 さらに湿った木材にはシロアリが住み付きやすくなり、
 シロアリによってさらに柱などの劣化が進みます。

 鉄筋コンクリートの建物の場合は、
 鉄筋の錆びを防ぐためにコンクリートを弱アルカリ性に
 しています。雨水が染み込むと、コンクリートの表層から
 空気中の炭酸ガスが侵入し、化学反応によって
 コンクリートのアルカリ性は失われ(中性化)、
 鉄筋の錆び、コンクリートの破損などが起こり、
 建物の劣化が進みます。

 また、防水はカビ発生を防ぐためにも重要です。
 天井裏や外壁内に雨水が染み込み、カビが繁殖すると、
 室内にカビ臭がしたり、カビによる健康被害も懸念されます。

 これらを防ぐために、防水メンテナンスが重要です。

 

マンション・ビルの屋根・屋上の防水メンテナンス

 マンション・ビルの屋根・屋上で次のような現象がみられると、
 防水メンテナンスが必要なサインとなります。
  ・屋根に雑草が生えている
  ・屋根にひび割れや塗装の剥がれがある
  ・防水シートにひび割れや断裂が見られる
  ・防水シートが膨れたり浮き上がったり歪みが生じている
  ・防水シートの接合部分が剥がれている

 マンション・ビルの屋根・屋上では、
 主に4種類の防水方法があります。

 ・ウレタン防水(塗膜防水)
  液状の防水塗料を塗ることで化学反応で膜を作る防水方法。
  耐用年数は10年~15年程度とされ、
  6~7年ごとにメンテナンスが必要とされています。
  どのような個所でも使いやすく、
  歩行を伴う場所の防水に有効です。
  工事費用は1平米あたり4000円~7000円が目安です。

 ・シート防水
  防水シートを下地に貼りつける防水方法です。
  一般的には塩化ビニール製のシートが用いられます。
  軽量で施工しやすく、元の防水材に被せて施工が可能な
  場合もあります。
  他の方法と比べて外部損傷に弱く、施工次第で品質に
  差が生じやすいです。
  特にシートの重なり部分などの施工には、
  高い技術・経験が必要となります。
  耐用年数は10~20年とされています。
  10年を目安に点検・メンテナンスが必要です。
  工事費用は1平米あたり4000円~8000円が目安です。

 ・アスファルト防水
  液状の溶解アスファルトと、防水性の高い
  アスファルトシートを積層し、厚い防水層をつくる
  防水方法です。
  二層以上の積層にするため防水性・耐用性が高く、
  施工による不具合が生じにくいです。
  耐用年数は15年~25年とされ、
  6~7年ごとに点検・メンテナンスが必要です。
  工事費用は1平米あたり4000円~12000円が目安です。

 ・FRP(ガラス繊維プラスチック)防水
  軽量でありながら強度が大きく、5層の防水層で形成される
  ため、耐熱・耐水・耐用性に優れています。
  耐用年数は10年~15年程度とされ、
  5年を目安に点検・メンテナンスが必要です。
  工事費用は1平米あたり5000円~20000円が目安です。

 

戸建て住宅の屋根の防水メンテナンス

 戸建ての住宅の場合、屋根に次のような現象が見られると、
 メンテナンスのサインとなります。
  ・瓦の滑落
  ・棟板金(屋根の頭頂部の留め金)の浮きや釘抜け
  ・漆喰の劣化・剥がれ
  ・苔や藻・カビの発生、瓦の反り・ひび割れ
  ・屋根材の割れ・錆び

 このような現象が見つかった場合、または状況の確認が
 難しい場合は、専門の業者に確認してもらうことが推奨されます。

 戸建ての住宅で一般的に屋根材に用いられる素材は、
 主に瓦、スレート瓦、ガルバリウム鋼板の3種類です。

 ・瓦
  耐水性、耐用性に優れています。
  破損がなければ、40年以上の耐用年数があります。
  ただし、下地・防水シートの劣化は瓦本体より早いため、
  定期的な点検が必要です。

 ・スレート瓦
  平板上のセメントスレートを瓦のように用いるものです。
  塗膜が紫外線に弱く、再塗装が定期的に必要となり、
  10年~15年で再塗装や下地・防水シートの点検が必要です。

 ・ガルバリウム鋼板
  アルミ亜鉛合金めっきが施された鋼板です。
  瓦の10分の1の重量で、防食性がある屋根材です。
  各メーカーで部品が用意されているため、
  メンテナンスをしやすい材料です。
  耐用年数は20年以上と言われていますが、
  塗装が剥げると鋼板が錆びるため、
  10年~20年で再塗装や下地・防水シートの点検が必要です。

 さて、今回は屋根・屋上の防水メンテナンスについて
 ご紹介しました。屋上以外の屋根の状態は普段は
 確認しにくいため、定期的な点検やメンテナンスを行い、
 劣化を予防することが望ましいです。

 建物の防水は屋根だけで済むものではありません。
 外壁やベランダ・バルコニーの防水メンテナンスも重要です。
 これらについては、次回のメルマガでご紹介します。

 

 【出典】

 ・関東防水管理事業協同組合
  https://www.kan-bo-kyo.or.jp/flow/a3_e.html
 ・やねいろは 「屋上防水がはがれて 雨が浸透してくる」について
  https://tinyurl.com/yykzkczx
 ・不動産中央情報センター 
  「屋上防水」のメンテナンスはお済みですか?
  https://www.demand.co.jp/owner/index.php?itemid=851&catid=113
 ・防水コネクト マンション・ビルの防水工事を依頼するために
  必要な知識とポイント
  https://bousui-connect.com/structure/mansion/
 ・屋根の防水シートの役割や劣化した時の対処法について
  https://hapisumu.jp/reform-34228/

 

この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2019年8月19日発行分の転載です。