
皆様、ゴールデンウイークはどのように過ごされたでしょうか。
全国の観光地はたくさんの人で賑わいました。
ホテルや旅館が予約しにくかった、という方もおられるかもしれません。
ホテルや旅館と言えば、
近年は大都市を中心に宿泊施設が不足しがちです。
その背景には、外国人旅行者の急増があります。
2016年の外国からの年間訪日客数は2,403万人に達し、
4年連続で過去最高を更新、昨年より21.8%と大幅に増加しました。
(政府観光局2017年1月17日発表)
今後、東京オリンピックの2020年に向けて、
さらに増加すると見込まれます。
政府は、「2020年までに4,000万人」の目標を掲げています。
宿泊施設が不足する中、注目されているのが「民泊」です。
2017年3月10日に、民泊について定めた「住宅宿泊事業法」が
閣議決定され、近く国会決議により成立する見込みです。
(5月1日現在)
そこで、今回から3回にわたって「民泊」について解説します。
民泊とは、一般の住宅や空き部屋を旅行者に貸し出し、
宿泊してもらうことです。特に、2008年に米国で生まれた
民泊仲介サービスAirbnb(エアービーアンドビー)が、
民泊を世界中に広めました。
なお、bnbはBed and Breakfast(安価で小規模な宿泊施設)を
表しています。Airbnbは今では世界191か国65,000都市に広がり、
これまでに延べ1億5千万人が利用しました(www.airbnb.jpより)。
国内でもAirbnbを利用して部屋を貸す人、
部屋を借りる人が増えています。
これまで、国内では宿泊施設は「旅館業法」に基づく
営業許可が必要でした。
「民泊」も旅館業法に基づく営業許可が必要とされます。
しかしながら、現実には無許可営業の「民泊」が横行しています。
Airbnb上で貸し出されている部屋の中にも、
無許可営業のものが多く存在します。
厚生労働省が全国の約1万5千の民泊物件に行った
調査結果(調査期間2016年10月~12月)によると、
「旅館業法」に基づく営業許可を得ている物件は16.5%しかなく、
30.6%が無許可営業、52.9%が物件特定不可・調査中など
ということが明らかになりました。
無許可営業が横行すると、近隣住民とのトラブルが起こりかねず、
また、法律を順守して旅館業を行っているホテルや旅館にとっては
不公平になってしまいます。
そこで政府は、民泊を行う者を登録制とし、法律のもと適正な
民泊事業を確保しつつ、外国人観光客の宿泊需要に対応して、
観光や滞在を促進することを目的に、
「住宅宿泊事業法」(民泊新法)を2017年3月10日閣議決定しました。
近く国会決議されて成立する見込みです(5月1日現在)。
公示後1年以内に施行されます。
この新しい法律について解説する前に、
次回のメルマガでは、現行制度である旅館業法についてご説明します。
この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2017年5月8日発行分の転載です。