
前回のメルマガでは、現行の旅館業法に基づく簡易宿所営業の
内容を解説しました。
今回は、2017年6月9日の参議院で賛成多数で可決、成立し、
早ければ2018年1月にも施行される予定の
住宅宿泊事業法(民泊新法)について解説します。
住宅宿泊事業法は、旅館業法に定める営業者以外が、
宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる民泊事業について、
新たにルール作りが行われたものです。
住宅宿泊事業を行う事業者、すなわち「住宅宿泊事業者」と
なるには、施設ごとに都道府県知事に
(保健所設置市または特別区においてはその長に)
その届出をします。
住宅宿泊事業者は、床面積に応じた宿泊者数の制限、
清掃など衛生管理、非常用照明器具の設置、避難経路の表示
などを講じる必要があるとされています
居住者が不在時に人を宿泊させる場合は、
その管理を「住宅宿泊管理業者」に委託することが定められ、
住宅宿泊管理業者は国土交通大臣の登録を受ける必要があります。
住宅宿泊仲介業者(住宅宿泊事業者と宿泊者との間の宿泊契約の
締結の仲介を行うもの)を営もうとする者は、
観光庁長官の登録が必要とされています。
旅館業法が定める簡易宿所営業と、住宅宿泊事業法が定める
住宅宿泊事業(民泊)との大きな違いとしては、
営業日数と営業可能な用途地域が異なります。
営業日数は、簡易宿所営業は年間365日の営業が可能ですが、
住宅宿泊事業は年間の営業日数を180日以下に制限されます。
用途地域は、簡易宿所営業は住居専用地域で営業できませんが、
住宅宿泊事業は住宅専用地域でも営業が可能です。
さらに、住宅宿泊事業法では、地域の実情を反映し、
自治体が独自の条例によって規制を追加できるようにしています。
自治体によっては、例えば夏休みなどの旅行者が集中する期間に
限定して住宅宿泊事業を認める、といった対応がとられることも
考えられます。
例として、軽井沢町では町内全域で民泊を認めない方針を
公表しています。
これらの自治体の対応は個別に確認が必要となります。
以上、住宅宿泊事業法が定める条件を確認しました。
観光地や大型集客施設周辺、駅や繁華街周辺には宿泊ニーズが
あります。このような場所にある空き家・空き部屋など
収益を生まない物件が上記のような条件をクリアするなら、
民泊施設としての活用を検討してもよいかもしれません。
この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2017年6月12日発行分の転載です。