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消費税増税の不動産投資への影響

 ご存じのように今年10月1日から、
 消費税の増税が予定されています。
 消費税が現在の8%から10%に引き上げられることで、
 不動産投資にどのような影響をもたらすのでしょうか?

 なお、今回の消費税増税が再延期される可能性もゼロではありませんが、
 本稿では予定通り2019年10月1日から増税されることと想定します。

 

消費税の歴史

 消費税が導入され、3%の消費税率が施行されたのは、
 今から30年前、平成元年になったばかりの1989年4月でした。
 1997年4月には、消費税率を1%引き上げ、
 さらに地方消費税1%を加えた、消費税率5%が施行されました。
 その17年後の2014年4月に、消費税率は8%に引き上げられました。
 これらの消費税率の引き上げは、
 不動産投資に一定の影響を与えてきました。

 消費税率10%への引き上げは、もともと2015年10月までに
 施行される予定でしたが、2017年4月へと延期され、
 さらに2019年10月へと再延期されました。

 

不動産に関する消費税の課税対象

 消費税課税対象となるのは次の費用です。
 ・住宅(戸建て、アパート、マンション)、
  事務所、店舗、工場、倉庫などの購入費
 ・建物・設備の建築・施工費
 ・仲介手数料、住宅ローン事務手数料、司法書士などへの報酬
 ・リフォーム費、設備投資費
 ・事務所、店舗、工場、倉庫、駐車場などの賃料
 ・集合住宅の共用部の光熱費、維持管理費、修繕費
 ・礼金、共益費、敷金のうち借主に返還しないもの

 課税対象とならないのは次の費用です。
 ・土地の購入費
 ・土地の譲渡費用
 ・土地の賃料(建物・施設に付随して土地を賃借する場合を除く)
 ・住宅の家賃
 ・火災保険や地震保険の保険料

 なお、課税対象となる事業者または個人投資家は、
 事業者は基準期間の課税売上高(家賃・礼金収入を除く)が
 1000万円以上あることが条件となります。

 不動産事業者が所有する建物を売却する際は課税対象です。
 個人が所有する居住用の建物を売却する場合は非課税ですが、
 所有者が個人でも投資用の建物を売却する場合は、
 基準期間の課税売上高が1000万円以上あれば課税対象となります。

 

消費税増税の借家・アパート・マンション経営への影響

 借家・アパート・マンション経営においては、
 住宅の購入費は課税対象となるため、
 消費税増税前に8%の消費税で物件を購入しておくことの
 メリットは大きいです。

 住宅の賃料は非課税のため、増税後も家賃収入は変わりませんが、
 共用部の光熱費、維持管理費、修繕費などの
 ランニングコストや原状回復費は、
 消費税増税により2%分の支出が増えてしまいます。
 対策として、賃料や管理費・共益費の値上げを
 検討する必要があります。

 また、敷金自体は消費税の課税対象ではありませんが、
 消費税増税によって費用が2%分高くなる原状回復工事を
 敷金によってカバーしきれなくなる可能性があるため、
 今後は敷金の水準を上げることを検討する必要があります。

 区分マンションのオーナーについては、
 修繕積立金は課税対象ではありませんが、
 マンションの修繕費用が増税によって値上がりするため、
 今後は修繕積立金が値上げされる可能性があります。

 また、火災保険や地震保険は課税対象ではありませんが、
 消費税増税によって保険会社の経費が上がることから、
 今後は保険会社が保険料を値上げする可能性があります。

 もし、物件にリフォームや修繕が必要な個所があるとしたら、
 9月末までの8%の消費税のうちに完了させることが有効です。
 ただし、増税前の駆け込み工事による工務店などの人手不足が
 予想されるため、工事スケジュールには注意が必要です。

 

新築・リフォーム工事における影響

 建物の新築・リフォーム工事については、
 2019年3月31日までに業者との請負契約を締結してあるなら、
 工事の完成・引き渡しが10月以降にずれ込んだとしても、
 工事費の消費税は8%のままです。

 2019年4月1日以降に新築・リフォーム工事を契約した場合は、
 引渡しが2019年10月1日以降になると、
 10%の消費税が適用されてしまいます。
 もし引渡し予定が9月とされている場合は、
 工事が予定通りに完了し引き渡されるよう、進捗管理が必要です。

 

消費税増税後の住宅取得支援策

 消費税増税により、不動産市場は一時的に
 マイナスの影響が出ることが想定されます。
 そこで、国は消費税増税後の住宅取得を促進するために、
 次の支援策を用意しています。

 1.住宅ローン控除の控除期間が3年間延長
 住宅ローンを借りて家の購入・新築・リフォームをすると
 所得税の一部が10年間控除される「住宅ローン控除」制度
 について、控除期間を3年延長して13年間とし、
 所定の計算式により所得税の一部が控除されます。
 2020年12月末までに入居するなどの条件があります。

 2.すまい給付金が最大30万円から最大50万円に
 一定の年収以下の人が家を買う場合、
 年収に応じて給付が受けられる「すまい給付金」について、
 これが適用される年収が510万円以下から775万円以下に拡大し、
 給付金の最大額が現行の30万円から50万円に引き上げられます。
 2021年12月末に引き渡しを受け入居すること等の条件があります。

 3.次世代住宅ポイント制度
 一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能を満たす住宅などの
 新築やリフォームに対し、商品と交換可能なポイントを、
 新築は最大35万円相当、リフォームは最大30万円相当を付与します。
 2020年3月末までに契約する等の条件があります。

 4.贈与税非課税枠を最大3000万円に拡大
 父母や祖父母から住宅取得資金の贈与を受けて、
 住宅を購入またはリフォームした場合、
 贈与税の非課税枠を現行の最大1200万円から3000万円に拡大します。
 なお、2020年4月以降は段階的に縮小される予定です。

 さて、増税前に物件を購入するメリットはありますが、
 取引を急ぐあまり、不用意な取引をすることがないよう、
 焦らず賢い対策を行っていただければと思います。

 

 【出典】

 ・消費税増税と不動産投資①影響がある項目と経過措置
  https://invest-online.jp/column/tax-increase1-9035/
 ・消費税増税で不動産投資への影響はある?
  https://www.rals.co.jp/invest/column/finance/consumption-tax/
 ・「8」から「10」へ 消費税増税がもたらす不動産投資への影響
  https://syueki-bukken.com/columns/view/733
 ・国土交通省 消費税率引上げに伴う住宅取得に係る対応について
  平成31年4月5日 https://tinyurl.com/y6nbopd3

 

この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2019年6月17日発行分の転載です。