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能登半島地震と液状化現象

 令和6年1月1日に石川県能登地方で発生した
 能登半島地震は、石川県や富山県だけでなく、
 震源から約160㎞離れた新潟県や福井県などでも液状化現象を起こし、
 建物や道路、下水道管などに大きな被害を及ぼしました。

 今回のメルマガは、第167号の「能登半島地震と建物の耐震性」に続き、
 能登半島地震を受けて液状化現象について取り上げます。

 

 能登半島地震の液状化現象による被害

 能登半島地震で液状化の被害にあった宅地の件数は、
 新潟県で約9,500件、石川県で約3,500件、富山県で約2,000件、
 ほかに福井県など、合計およそ15,000件にのぼると推定されています。
 特に新潟県新潟市、石川県の内灘町、かほく市、
 富山県の射水市や高岡市、などで液状化の被害が多数発生しました。

 金沢市に近い石川県内灘町とかほく市では、
 千軒以上の住宅が液状化の被害に遭ったとみられています。
 内灘町では液状化によって地盤が流動する「側方流動」が起きて、
 家屋が12メートルも水平に動いた例もありました。

 

 液状化現象とは

 液状化現象は、主に同じ成分・大きさの砂からなる土が、
 地下水で満たされている場合に発生しやすくなります。
 砂でできた地盤は、通常は砂の粒子が結び合って支えていますが、
 地震によって振動されると、地中の地下水の圧力が高くなり、
 砂の粒子の結びつきが解けてバラバラになって、
 地下水に浮いたような状態になります。これが液状化です。

 液状化が起きると、水より比重が重い建物が沈んだり傾いたりします。
 また、水の比重よりも軽い下水道のマンホールなどが浮き上がります。

 1964年の新潟地震では、新潟市で液状化の被害が多数発生し、
 5階建ての団地が倒壊する例もありました。

 液状化のリスクが高い土地は、人工の埋め立て地、
 大きな河川による長年の土砂の堆積で埋め立てられた土地、
 もとが海、砂丘、川、沼、池、湿地だった場所、海や池や川の近くなど
 です。これらの土地は地震の揺れも大きくなりやすい傾向があります。

 液状化リスクのハザードマップ

 今後、購入・投資する建物を選ぶ際、または建築しようとする際には、
 土地の液状化リスクも検討材料にすべきでしょう。

 土地が液状化しやすいかどうかは、
 自治体が公表するハザードマップなどで確認できます。

 愛知県、岐阜県、三重県の東南海トラフ地震を想定した
 液状化ハザードマップは次のURLで確認することができます。

 <愛知県>

 「平成23年度~25年度 愛知県東海地震・東南海地震・南海地震等
  被害予測調査報告書」
 https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/36313.pdf
 または詳細は
 https://www.pref.aichi.jp/bousai/2014higaiyosoku/greenbooknew2.pdf
 (P.35(ページ番号2-21))

 これによると、愛知県では名古屋市の西半分から名古屋港までを含む
 尾張地方西部全域や、三河地方の矢作川・矢作古川の流域周辺、
 豊橋市の臨海部などに、液状化リスクが高い地域が広がっています。

 

 <岐阜県>

 「平成23~24年度 岐阜県南海トラフの巨大地震等被害想定調査 概要版」
 https://www.pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/47393.pdf
 (P.13)

 これによると、岐阜県では岐阜・中濃、西濃、東濃の
 いずれも南部に液状化リスクが高い地域が集中しています。

 

 <三重県>

 「液状化危険度予測分布図(平成25年度地震被害想定調査)」
 https://www.pref.mie.lg.jp/D1BOUSAI/84543007860.htm
 (県内9地域に分けられたマップが示されている)

 これによると、三重県では木曽川・長良川・揖斐川の河口周辺から
 伊勢市にかけての伊勢湾岸沿い全域に、
 液状化リスクが高い地域が広がっています。

 

 液状化の被害を軽減する地盤改良工事

 液状化リスクが高い場所で建物を建てる際に、
 液状化の被害を軽減するための地盤改良工事として、
 地盤にセメントを混ぜる、薬剤を注入して地盤内の水を薬剤に
 置き換える、建物の境界の地下を壁で区切る、地下を格子状にする、
 地下の硬い地層まで杭などを打ち込む、などの工法があります。

 土地の上に建物がある場合は、地盤改良工事ができる余地は限られますが、
 状況によっては、建物の境界の地下を壁で囲む、地下を格子状にする、
 地下に杭などを打ち込む、地盤にコンクリートや薬剤を注入する、
 などの工法がとれる場合があります。

 ただし、これらの対策の効果も液状化現象に対しては
 万全ではないと考えておく方がよさそうです。

 さて、メルマガ第167号と今回の2回にわたり、能登半島地震を受けて、
 建物の耐震性と液状化現象についてご紹介しました。
 東南海トラフ地震や直下型地震はいつ来てもおかしくありません。
 建物選びや既存の建物の防災対策には、十分注意を払う必要があります。

 

 【出典】

 ・東京都建物における液状化対策ポータルサイト
  https://kenchiku-ekijoka.metro.tokyo.lg.jp/about.html
 ・NHK 2024年2月21日
  「液状化で住宅が12mほどずれ動く“広域的な対策を”石川 内灘町」
  https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240221/k10014366171000.html
 ・愛知県「平成23年度~25年度 愛知県東海地震・東南海地震・
  南海地震等 被害予測調査報告書」
  https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/36313.pdf
  または詳細は次のP.35(ページ番号2-21) 
  https://www.pref.aichi.jp/bousai/2014higaiyosoku/greenbooknew2.pdf
 ・液状化による建物被害に備えるための手引
  https://kenchiku-ekijoka.metro.tokyo.lg.jp/about005.pdf

 

この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2024年3月19日発行分の転載です。