
日本は今後も超高齢化が進み、2025年には全人口の
約30%(3,677万人)が65歳以上の高齢者になると予測されています。
超高齢化を見据えて、近年、不動産投資家の間で
「サービス付き高齢者向け住宅」(いわゆる「サ高住」)が
注目されています。
今回は、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)の基礎知識や
投資対象としての魅力をご紹介します。
サ高住とは?
2011年の「高齢者住まい法」の改正にともない、
高齢者円滑入居賃貸住宅、高齢者専用賃貸住宅、
高齢者向け優良賃貸住宅が廃止されました。
これらを一本化した住宅がサ高住であり、
高齢者が住み慣れた自宅や地域で暮らせるようにする
「地域包括ケアシステム」拡充の一環で創設されました。
サ高住とはいわば、
自立生活可能な高齢者向けのバリアフリー賃貸住宅です。
有料老人ホームや特別養護介護施設とは、
さまざまな面で違いがあります。
これらの施設を比較します。
・有料老人ホーム
入居対象者が自立・要支援・要介護と幅広く、
介護スタッフによる食事、清掃、介護、リハビリなど
幅広いサービスが受けられる施設です。
介護サービスは、個別にケアプランを作成してサービスを受ける
「住宅型有料老人ホーム」というタイプと、
ホーム内の介護スタッフによる介護サービスを受ける
「介護付き有料老人ホーム」というタイプがあります。
主に民間企業によって運営され、入居者が居室への入居権と
食事・清掃・介護サービスの終身利用権を合わせて
購入するのが一般的です。
・特別養護介護施設
要介護3以上の重度の介護を必要とする方が
少ない費用負担で長期入居できる公的な介護施設です。
主に公共団体や社会福祉法人によって運営されます。
介護スタッフが常駐し、食事、清掃、介護、リハビリなど
幅広いサービスが受けられる施設です。
ただし供給が限られ、入居までに待機時間が長い
という問題があります。
・サ高住
見守り、生活相談サービスがついた高齢者向けの賃貸住宅です。
主に民間企業によって運営されます。
入居者は敷金および月々の家賃を支払って居室を借ります。
食事や介護などのサービスは別途契約します。
入居対象者は自立・要支援・要介護ですが、
介護スタッフは常駐しないため、
入居者が重度の介護が必要になれば、
特別養護介護施設などに転居せざるを得ない可能性があります。
施設に入居する形ではなく、賃貸物件を借りる形となるため、
入居者は施設による様々な制約を受けることなく、
自由に生活できます。
なお、認知症患者を対象とした「グループホーム」などもありますが、
詳細の説明は省きます。
サ高住を運営する2つのメリット
サ高住は賃貸物件の一種であり、
経営にあたって特別な資格は求められません。
したがって、不動産オーナーが参入しやすい点が挙げられます。
サ高住を新築するか、既存物件を改修してサ高住に登録することで、
サ高住事業を開始することができます。
サ高住に投資するメリットは、大きく分けて2つあります。
メリット1.物件投資にともなう初期費用を抑えられる
物件がサ高住に登録された場合、
新築物件なら建築費の最大10%が、
中古物件(改修)は改修費用の最大1/3が、補助金として交付されます。
さらに固定資産税、不動産所得税における税制優遇が受けられます。
厚生労働省が公表した「平成31年度税制改正の概要」には、
固定資産税は
“新築から5年間、税額の2/3を参酌して1/2以上5/6以下の範囲内
において市町村が条例で定める割合を軽減する”
と記載があります。
また不動産所得税ですが、
家屋は課税標準から1,200万円/戸の控除、
土地は
“土地の評価額/平米×1/2(特例負担調整措置)
×家屋の床面積の2倍(200平米を限度)×3%”
または4万5,000円のどちらか大きい額が控除されます。
これらの補助金および税制優遇により、
一般的な賃貸物件に比べて高い利回りが期待できます。
メリット2.地方においても高い入居率が見込める
サ高住は一般的な賃貸物件とは異なり、
周辺環境や交通の利便性が、入居率に大きく影響しません。
駅から遠くても構いません。
地方・郊外においても安定的な賃貸経営が可能となりうる物件です。
なお、政府は2025年までに、サ高住の供給戸数を
高齢者数の4%にする目標を掲げています。
2019年12月時点の全国のサ高住の登録状況は約25万戸です。
法改正から約8年間で急速に増加しているものの、
現在の高齢者数(2019年12月時点で3593万人)に占める
サ高住の割合は0.69%に過ぎず、4%の目標との乖離があります。
今後、政府は目標達成のために、
サ高住の供給を政策的に後押しすることも考えられます。
“高齢者向けマンション”という選択肢
上記のように大きく2つのメリットがあるサ高住投資ですが、
補助金を受けるための登録基準のハードルが高いことがネックです。
例えば住居面積について、一室あたりの床面積は原則25平米
以上に指定されています。建物の大きさによっては、
確保できる部屋数が限られるため、収益を上げにくい要因となります。
また、サ高住に入居できるのは、
60歳以上の高齢者または要介護者認定を受けた60歳未満の人のみです。
高齢者以外の入居が認めらず、空室を埋める手段が限られます。
このように、サ高住として運営するためには様々な制約があるため、
場合によっては、サ高住に登録せず、通常のマンションとしながらも、
建物にバリアフリー構造を採用し、近隣の介護事業者と連携することで、
“高齢者向けマンション”を標榜する方が
有利になることもあるかもしれません。
“高齢者向けマンション”を標榜する場合は、
通常のマンションとなるため、サ高住のような補助金は
受けられませんが、
建築設計や間取り、入居者の条件などの制約は無くなります。
サ高住と性質が近くなるため、相応のニーズがある可能性もあります。
さて、今回はサ高住の投資価値についてお伝えしました。
一般的なマンション・アパートとは異なる新しい投資対象として、
“サ高住”や“高齢者向けマンション”などの、
高齢者向けの賃貸物件を検討してみてはいかがでしょうか。
【参考】
・東京不動産投資株式会社 勤務医ドットコム
不動産投資で高齢者向け住宅を経営するメリット・デメリット
https://kinmui.com/2017/08/30/045/
・LIFULL 有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違い
https://tinyurl.com/yx4kn24o
・LIFULL サービス付き高齢者向け住宅とは?
https://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/list/house/service/
・みんなの介護 【専門家が解説】老人ホームの種類ごとに違いや
特徴を徹底比較 https://tinyurl.com/svom5r5
・ベネッセスタイルケア https://tinyurl.com/ur7z4m2
・幻冬舎GOLD ONLINE
事業投資としての「サ高住」・・・安定経営のための基本戦略①
https://gentosha-go.com/articles/-/16549
・投資カツnet 一般の賃貸住宅よりも高い収益力が見込める「サ高住」
https://www.tochikatsuyou.net/land/land-usage/juyou/
・幻冬舎GOLD ONLINE
サービス付き高齢者向け住宅経営のメリットデメリット(土地活用)
https://gentosha-go.com/articles/-/16547
・スマイティ サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の補助金制度
について解説 https://sumaity.com/land_usage/press/369/
・国土交通省 サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制の概要
https://www.mlit.go.jp/common/001285590.pdf
・ZUU online
急増する高齢者住宅「サ高住」、賃貸経営のメリットとデメリット
https://zuuonline.com/archives/88811
・楽待不動産投資新聞 不人気物件を「高齢者向き」にして利回り30%
https://www.rakumachi.jp/news/column/226147
・総務省統計局 人口推計 2019年(令和元年)12月報
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/201912.pdf
この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2020年2月10日発行分の転載です。