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新築マンションの短期売買と国外住所者による取得の状況

最近、よく話題に上る新築マンションの価格高騰。この原因について、
「主に中国人投資家が、大都市圏の高額な新築マンションを買い漁り、
 短期で転売をしているためではないか」という憶測も流れていました。

このような憶測を検証するため、
国土交通省は初めて、不動産登記情報を用いて
新築マンション取引の実態を調査し、2025年11月25日に発表しました。
「不動産登記情報を活用した新築マンションの取引の調査結果を公表
 ~三大都市圏及び地方四市の短期売買や国外居住者による取得状況~」

結果として、「中国人投資家」「高額な新築マンション」「短期で転売」
の3つの傾向は見られない、ということが確認できる内容でした。

今回は、この調査分析結果について解説します。

調査方法

国土交通省はこの調査で、不動産登記の登記原因が「売買」の申請のうち、
所有権の保存・移転登記の情報を用いて、
保存登記日から移転登記日までが1年以内なら短期売買と定義しました。

国外住所者による取得は、登記の所有者住所欄が国内住所か、
国名を含む国外住所かで判定しています。
国外住所者は国籍ではなく、登記上の住所で判断します。
なお、外国人が出資して設立した日本の法人が新築マンションを
取得・登記した場合は、「国外住所者」には含まれません。

都心6区については、民間の新築マンション価格データと突合し、
価格帯別の傾向を確認しています。

「専有卸」(事業者が一棟まとめ買いして個別に販売するケース)を
短期売買に含めないよう、売主が当該マンションの区分所有権100%を
保有する法人を除外する処理も行っています。

東京圏や大阪圏の中心部で目立つ短期売買

保存登記期間2024年1〜6月の新築マンションについて、
短期売買(1年以内に移転登記がなされた)割合は、
各エリアにつき次の通りです。

東京圏 6.3%(前年2023年 3.7%、以下( )は2023年を表す)
 東京都 8.5%(5.2%)、神奈川県 5.1%(2.8%)、埼玉県 1.1%(0.9%)
 千葉県 2.2%(0.4%)、茨城県 0.7%(0.0%)
 東京23区 9.3%(5.7%)、都心6区 12.2%(7.1%)
 横浜市 5.7%(3.4%)、川崎市 8.2%(2.9%)、相模原市 1.2%(0.9%)
 さいたま市 0.5%(0.3%)、千葉市 2.9%(0.4%)

大阪圏 5.6%(3.4%)
 大阪府 6.2%(3.8%)、兵庫県 7.1%(3.4%)、京都府 1.8%(2.0%)
 奈良県 0.3%(1.0%)
 大阪市 7.2%(4.8%)、堺市 0.7%(0.6%)
 神戸市 12.1%(5.6%)、京都市 2.0%(2.5%)
 
名古屋圏 1.6%(1.0%)
 愛知県 1.7%(1.0%)、三重県 0.9%(0.0%)
 名古屋市 1.9%(1.1%)

地方4市
 札幌市 1.6%(1.8%)、仙台市 0.7%(0.5%)、
 広島市 0.8%(0.5%)、福岡市 1.6%(2.5%)

このように、短期売買が5%より多い都市は、
東京23区、川崎市、横浜市、大阪市、神戸市に限られています。
一方、さいたま市、千葉市、名古屋市、京都市、札幌市、福岡市
などの都市は、それほど多くはありません。

大規模マンションで目立つ短期売買

専有面積40平米以上のマンションで、
1棟あたりの保存登記数が100件以上ある「大規模マンション」は
短期売買の割合は9.9%。一方、大規模マンション以外では3.3%。
つまり、大規模マンションは短期売買の割合が3倍高いです。

直近では短期売買のうち大規模マンションが8割強を占め、
大規模マンションの短期売買数も増加傾向にあります。

商品性・流動性が高く、資金が集まりやすい大規模マンションほど、
短期売買が起こりやすいと言えます。

なお、国交省は「その年にどのようなマンションが供給されたか等
によって割合は大きく変動する」と注意書きをしています。
大型案件が供給されるタイミングで数字が急上昇する可能性もあります。

国外住所者の新築マンション取得

国外に住所がある者による新築マンションの取得は、
直近(2025年1〜6月)の実績では次の通り。

東京圏 1.9%(前年2024年 1.0%、以下( )は2024年)、
 東京都 3.0%(1.5%)、神奈川県 1.0%(0.3%)、埼玉県 0.2%(0.2%)
 千葉県 0.5%(0.4%)、茨城県 1.4%(0.0%)
 東京23区 3.5%(1.6%)、都心6区 7.5%(3.2%)
 横浜市 1.6%(0.3%)、川崎市 0.4%(0.1%)、相模原市 0.0%(0.3%)
 さいたま市 0.3%(0.3%)、千葉市 0.8%(0.7%)

大阪圏 2.1%(3.1%)
 大阪府 2.6%(3.9%)、兵庫県 0.6%(0.3%)、京都府 2.3%(3.1%)
 奈良県 0.0%(0.2%)
 大阪市 4.3%(5.1%)、堺市 0.4%(1.6%)
 神戸市 0.6%(0.2%)、京都市 2.5%(3.4%)

名古屋圏 0.4%(0.6%)
 愛知県 0.4%(0.6%)、三重県 1.1%(0.5%)
 名古屋市 0.4%(0.6%)

地方4市
 札幌市 2.0%(0.7%)、仙台市 0.0%(0.2%)
 広島市 0.2%(0.1%)、福岡市 1.9%(2.0%)

国外住所者の取得が2.5%より多い都市は、東京23区、大阪市、京都市だけで、
それ以外の都市は2.0%以下です。

都心6区の外国人が購入する新築マンションの価格帯

都心6区の国外住所者が購入する新築マンションの価格帯は、
1億円未満の物件が過半数で、2億円以上の物件は1割未満です。
短期売買数全体のうち、国外住所者の売買の割合は3%未満で、
2億円以上の短期売買はありません。

つまり、国外住所者が2億円以上の高額物件を
短期売買しているという傾向は見られません。

東京23区で新築マンションを購入した国外住所者の内訳

東京23区で国外住所者が新築マンションを取得した件数は、
2018年や2019年は500件を超えていましたが、コロナ禍で減少し、
2022年から2024年は300件前後となっています。

ただ、2025年は1月~6月で300件に達しており、
2025年通期では昨年比で大幅に増える見込みです。

東京23区で新築マンションを購入した国外住所者の国・地域の内訳は、
1番目 台湾 192件、2番目 中国 30件、3番目 シンガポール 21件、
4番目 香港 15件、5番目 英国 15件、6番目 米国 13件です。
つまり、最も多いのは台湾で、中国の6倍以上を占めています。

名古屋市の不動産市場

先述のように、新築マンションの短期売買の割合や、
国外住所者による新築マンションの取得は、
名古屋市は、東京23区や大阪市に比べると大幅に低い水準です。

つまり、短期売買希望者や、国外住所者にとって、
名古屋市の新築マンション市場は、東京23区や大阪市ほどは、
物件の価値や流動性が評価されていないと言えます。

その反面、外国人の動向や、短期的な動向に左右されにくい、
比較的安定した市場だということもできます。

【参考資料】

・国土交通省 2025年11月25日
 「不動産登記情報を活用した新築マンションの取引の調査結果を公表
  ~三大都市圏及び地方四市の短期売買や国外居住者による取得状況~」
 https://x.gd/J6POU