
2018年も残すところ、あと少しとなりました。
今年は多くの自然災害が日本列島を襲った年になりました。
7月には西日本を中心に集中豪雨が発生し、
岡山県や愛媛県を中心に広域に甚大な被害が生じました。
8月の台風21号、9月の台風24号は強い勢力で日本列島に上陸し、
浸水や暴風による被害、塩害による停電などが起こりました。
9月6日に発生した北海道胆振東部地震では、
液状化現象や広域にわたる停電も発生しました。
今回のメルマガでは、2018年に起こった自然災害を振り返り、
不動産の自然災害への対策について考えてみます。
ハザードマップで土地の災害リスクを確認する
7月に発生した西日本を中心とした集中豪雨では、
倉敷市真備町をはじめとして深刻な浸水被害が起こりました。
その浸水はハザードマップの想定と同じように発生したことから、
改めて、ハザードマップを確認する重要性が認識されました。
ハザードマップとは、その土地の自然災害によって起こる
被害レベルや範囲を予測し、地図化したものです。
洪水や津波、高潮や土砂災害など、想定される自然被害の範囲や
被害レベルを確認することができます。
全国のどの自治体でも用意されています。
なお、浸水被害への対策の参考になる話題として、
倉敷市の大原美術館の浸水対策がインターネット上で
話題となりました。
大原美術館の美術品の収蔵庫は、ハザードマップを
参考にして、川の氾濫に備えて2メートルの浸水に備えて
設計してあるそうです。
また、防護壁によって収蔵庫への浸水を防ぐようにしています。
雨雲レーダーや近隣河川監視カメラを確認し、
浸水の恐れがある場合は、地下の美術品を収蔵庫にしまうように
しているそうです。
このように、ハザードマップを確認し、
その土地の災害リスクを踏まえた対策が求められます。
土地の地盤の状態を確認する
9月6日に発生した北海道胆振東部地震では、
札幌市などで液状化現象も起こりました。
液状化現象は、建物単位で対策することが難しいですが、
災害リスクを知り、また災害発生への備えをするうえで、
地盤の状態を確認しておくことが賢明です。
地盤の状態を簡易に確認できるWebサイトもあります。
「地盤サポートマップ」では、
全国の地盤を「強い」「やや強い」「ふつう」「弱い」
の4段階に色分けして示しています。
https://supportmap.jp/#13/35.6939/139.7918
暴風対策
8月の台風21号、9月の台風24号は強い勢力で日本列島に上陸し、
各地に被害を残しました。シェアリングテクノロジー社によると、
台風被害で寄せられた相談件数について、
戸建て住宅では「アンテナ故障」「雨漏り」、
集合住宅は「ガラス」、店舗は「シャッター」「ガラス」
についての相談が多かったようです。
アンテナは、錆びていないかを確認し、建物にしっかり固定し、
風の影響を受けにくい平面アンテナにするなどの対策が有効です。
雨漏りは、屋根に隙間やヒビがあれば補修する必要があります。
窓ガラスは、ガラスに保護フィルムを貼ることで、
割れた場合のガラスの飛散を防ぐことができます。
シャッターは、内側から補強する補強材を設置することで
暴風の被害を防ぐことができます。
ほかに、ビルの看板が落下する被害もありました。
看板も、建物に固定する部分が錆びていないかを確認し、
建物にしっかり固定したり、構造を頑丈なものにする、
などの対策が求められます。
自然災害への保険
自然災害に備える主な保険としては、地震保険と水災保険があり、
火災保険のオプションまたは特約として加入することができます。
マンションの場合は、専有部分は入居者が加入し、
共用部は管理組合が加入します。
地震保険は火災保険のオプションとして加入することができます。
地震保険の保険金額は、通常は最大で火災保険金額の
50%までとされます。
建物と家財(生活動産)についてそれぞれ加入することができます。
地震、噴火やそれらによる津波を原因とする損害
(火災・損壊・埋没・流失)に対して保険金を支払います。
水災保険は火災保険の特約として、
建物と家財についてそれぞれ加入することができます。
建物の補償内容は、台風、豪雨等による土砂崩れで
建物が全半壊した場合の建築費用や、
浸水で床や壁が破損した場合の修理費用などが対象となります。
家財の補償内容は、浸水した家財の購入費用が対象となります。
なお、保険により条件や補償範囲の詳細な確認が必要です。
所有されている物件について、自然災害に対する保険の
保証内容や契約期限を今一度確認されてはいかがでしょうか。
さて、地球温暖化の影響で台風などの被害は
今まで以上に深刻になることが予想されています。
また、近い将来、東南海トラフ地震の発生も懸念されています。
過去に起こった自然災害を教訓として、
所有されている物件の土地について、災害リスクを把握し、
土地や物件に応じた備えをしていただければと思います。
【出典】
・わがまちハザードマップ ~地域のハザードマップを入手する~
https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/
・ハフポスト「大原美術館は河川の氾濫に備えていた。
西日本豪雨でリスク管理に注目集まる」
https://tinyurl.com/ybayt3ja
・被害調査でわかった台風対策のポイント、戸建ては「アンテナ」、
ではマンションは? https://dime.jp/genre/606786/
・家族の地震保険特設サイト
http://www.jishin-hoken.jp/index.html
この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2018年12月17日発行分の転載です。