
さて、皆さんは「REIT(リート)」または「J-REIT(リート)」
についてご存じでしょうか。
「REIT」とは「Real Estate Investment Trust」
の略で、アメリカ発祥の不動産投資信託のことです。
多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルやマンション、
商業施設、物流施設など複数の不動産などを購入し、
その賃貸収入や売却益を投資家に分配する金融商品です。
J-REITは日本で組成された不動産投資法人
J-REITは日本の証券取引所に上場した不動産投資法人のことであり、
その法人が発行する証券のことも指します。
JAPANのJをつけて「J-REIT」と名づけられました。
2001年9月に初めてJ-REATが日本の証券取引所に上場しました。
2020年12月末の時点でJ-REITは62銘柄が上場しており、
保有する物件は5200件以上、
保有不動産総額は20兆円、時価総額は14兆円に達します。
(不動産証券化協会 ARES マンスリー レポート 2021年1月
https://j-reit.jp/download/info/1053.pdf)
日本のREIT市場は米国に次ぐ世界2位の規模を誇ります。
三井住友トラスト・アセットマネジメントによれば、
(https://www.smtam.jp/pickup/reit/market/)
2020年3月時点で
世界のREITの時価総額は117.48兆円。
米国のREITの時価総額は78.19兆円と世界市場の6割以上を占めます。
日本のREITの時価総額は11.79兆円と世界市場の約1割を占めます。
日米の経済規模を考慮すると、
日本のREITはまだ成長の余地があると考えられます。
J-REITの投資先
J-REITが投資対象として購入する不動産は、
オフィスビル、賃貸住宅、商業施設、物流施設、
ホテル、インフラ施設、駐車場、ヘルスケア施設など多岐に渡ります。
また不動産に投資する会社へ出資する形もあります。
「オフィスビルだけ」など、一種類の不動産に集中して投資する
「特化型」のJ-REITや、
複数の種類の不動産に分散して投資する
「複合型(2種類)」「総合型(3種類)」のJ-REITもあります。
J-REITの保有不動産の用途別構成比について、
2011年から2020年の変遷は次のようになります。
オフィス 56%→40%
物流 3%→18%
商業施設 18%→15%
住宅 19%→14%
ホテル 3%→8%
その他 2%→4%
この9年間の動きとしては、オフィスや住宅の割合が減った一方、
物流施設の割合が大幅に増加し、ホテルの割合も増えています。
物流施設が増加した理由は、
主にインターネット通販の需要が急拡大した影響を受けたものであり、
ホテルが増加した理由は、2019年までにインバウンド需要が
拡大した影響を受けたものだと考えられます。
J-REATとアパート・マンション投資の比較
J-REATとアパート・マンション投資を比べてみます。
・J-REAT
投資対象:オフィスビル、ショッピングセンター、ホテルなど
大規模物件が多い
必要資金:1万円からと少額で投資できる(商品による)
流動性:高い
物件の管理:リートを運営する会社が行う
利回り:4.41%(2020年10月のJ-REATの予想分配金利回り)
過去10年間の推移では3.02%~6.17%
・アパート・マンション投資
投資対象:アパート・マンションなどの居住用物件
必要資金:物件によるが多くの場合は数千万円から
流動性:低い
物件の管理:オーナーが自身で行うか、オーナーが管理業者に委託する
利回り:ワンルームマンションの場合(2020年10月時点)
東京都城南地区4.2%、東京都城東地区4.4%、
大阪市4.8%、名古屋市5.0%
東京都城南地区の過去10年間の推移は4.2%~6.0%
(一般財団法人日本不動産研究所 第43回不動産投資家調査)
「投資の魅力」という点から見れば、
J-REITは投資対象が広いため、不動産投資でありながら
ある程度リスクが分散されることが魅力だと考えられます。
アパート・マンション投資は、エリアや物件ごとに収益が異なります。
物件や、物件の購入の仕方、リノベーションの仕方次第で、
平均以上の収益を得られる可能性があることが魅力だと言えます。
なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって
ホテルやオフィスビルなどの収益が下落する傾向にあります。
今後、その影響がJ-REITの利回りにも反映される可能性があります。
さて、弊社はJ-REITへの投資を促進する立場ではありませんが、
不動産投資を検討する上では、
J-REITの動向も参考になるのではないでしょうか。
【参照】
・JAPAN REIT http://www.japan-reit.com/
・一般社団法人投資信託協会
https://www.toushin.or.jp/index.html
https://www.toushin.or.jp/reit/about/index.html
https://www.toushin.or.jp/reit/meritrisk/merit/index.html
https://www.toushin.or.jp/reit/meritrisk/risk/index.html
・三井住友トラスト・アセットマネジメント よくわかるJ-REIT
https://tinyurl.com/4x932mv6
・不動産証券化協会 ARES マンスリー レポート(2021年1月)
https://j-reit.jp/download/info/1053.pdf
・三井住友トラスト・アセットマネジメント 世界のREIT市場
https://www.smtam.jp/pickup/reit/market/
・第43回不動産投資家調査 一般財団法人日本不動産研究所
2020年11月25日 https://tinyurl.com/3dzbwfau
この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2021年6月7日発行分の転載です。