
名古屋市中区千代田3丁目にある名古屋市営地下鉄鶴舞線鶴舞駅
国土交通省は9月29日に令和2年の都道府県の基準地価
(令和2年7月1日現在)を発表しました。
前回のメルマガでは全国の状況を解説しましたが、
今回のメルマガでは東海三県の状況を解説します。
愛知県
愛知県全体では
商業地は1.1%下落(昨年3.7%上昇)と8年ぶりに下落に転じ、
住宅地は0.7%下落(昨年0.9%上昇)と9年ぶりに下落に転じました。
名古屋市の商業地は1.5%下落(昨年7.5%上昇)、
住宅地は0.8%下落(昨年2.1%上昇)でした。
名古屋駅、伏見、丸の内、金山周辺ではオフィス需要が堅調ですが、
新型コロナウイルスの影響で投資需要が停滞した影響があります。
市町村別では、商業地で上昇したのは、
豊橋市0.5%上昇、豊田市0.3%上昇の2市だけでした。
住宅地では刈谷市0.4%上昇の1市だけが上昇しました。
愛知県の商業地、住宅地の上昇率上位地点は次の通りです。
<商業地の上昇率上位地点(愛知県)>
1位 名古屋市中区千代田3丁目1502番・・・3.6%上昇
2位 名古屋市千種区千種2丁目1908番・・・2.2%上昇
3位 名古屋市中区橘1丁目1639番2外・・・2.1%上昇
4位 名古屋市中区富士見町5番地24・・・2.0%上昇
5位 名古屋市中村区亀島2丁目29番17・・・1.6%上昇
<住宅地の上昇率上位地点(愛知県)>
1位 名古屋市東区橦木町3丁目4番・・・3.8%上昇
2位 刈谷市大手町5丁目38番5・・・2.1%上昇
3位 刈谷市若松町4丁目12番・・・1.9%上昇
4位 豊田市平芝町6丁目41番21・・・1.8%上昇
5位 豊田市月見町3丁目5番3・・・1.7%上昇
5位 一宮市住吉1丁目6番19号・・・1.7%上昇
商業地では、栄の中心部は大きく下落した一方、
中区や千種区の栄の周辺部にあたる地点が
上昇していることが特徴です。
住宅地は高級住宅地である東区橦木町や、
自動車業界の会社が多い刈谷市や豊田市で上昇しています。
岐阜県
岐阜県では28年連続で商業地・住宅地の価格が下落しました。
商業地は2.2%下落(昨年0.9%下落)、
住宅地は2.0%下落(昨年1.4%下落)でした。
岐阜県の商業地、住宅地の上昇率上位地点は次の通りです。
<商業地の上昇率上位地点(岐阜県)>
1位 多治見市音羽町4丁目85番・・・1.1%上昇
2位 多治見市住吉町6丁目42番1外・・・0.9%上昇
3位 岐阜市吉野町5丁目17番外・・・0.5%上昇
(上昇地点は上記3地点のみ)
<住宅地の上昇率上位地点(岐阜県)>
1位 多治見市音羽町1丁目16番4・・・2.6%上昇
2位 多治見市上野町4丁目15番1・・・1.5%上昇
(上昇地点は上記2地点のみ)
多治見市は2022年までに予定される駅周辺の再開発の影響もあり、
利便性が高い商業地・住宅地が上昇しています。
なお、高山市奥飛騨温泉郷平湯字家上634番2外では9.3%下落と
全国の商業地で最大の下落幅となっています。
三重県
三重県は昨年までの改善傾向が止まり、
商業地は1.3%下落(昨年0.9%下落)
住宅地は1.6%下落(昨年1.5%下落)でした。
三重県の商業地、住宅地の上昇率上位地点は次の通りです。
<商業地の上昇率上位地点(三重県)>
1位 桑名市寿町2丁目10番外・・・1.7上昇
2位 四日市市安島1丁目124番・・・1.4上昇
3位 四日市市三栄町59番・・・1.0上昇
4位 伊勢市宇治浦田1丁目119番14・・・0.9%上昇
5位 桑名市中央町4丁目16番2・・・0.8%上昇
<住宅地の上昇率上位地点(三重県)>
1位 桑名市松並町2丁目6番19・・・1.1%上昇
2位 津市南が丘3丁目10番12・・・1.1%上昇
3位 津市大谷町97番49・・・1.0%上昇
4位 四日市市堀木2丁目331番・・・0.8%上昇
5位 四日市市大字茂福字坪ノ内126番1・・・0.6%上昇
桑名市では桑名駅周辺の整備事業の影響があり需要が堅調です。
四日市市では近鉄四日市駅周辺の不動産需要が堅調です。
伊勢市の伊勢神宮前は外国人観光客減少の影響が小さく、
上昇を保っています。
津市の住宅地で上昇した地点は、市内の需要が高い住宅地です。
小幅ながら上昇した地点のキーワード
ご覧のように新型コロナウイルスによって
地価が下落傾向にありますが、
小幅ながら上昇した地点もあります。
これらの地域について、中日新聞の2020年9月30日の記事では
「職住混在」「富裕層」「車関連」「再開発」を
キーワードとして解説しています。
名古屋市では栄の中心からやや外れた周辺部が上昇していますが、
これらを「職住混在」に向いた地域としています。
純粋な商業ビルが新型コロナウイルスの影響で売上を
減少しやすい反面、職住混在のビルは入居者が残り、
需要が底堅いためです。
「富裕層」が多い高級住宅地の東区橦木町の地価が
上昇しています。
「車関連」の企業が多い刈谷市や豊田市では
地価上昇が続いています。
「再開発」があった桑名駅では商業地の地価が上昇しています。
新型コロナウイルスの影響がいつまで続くのか見通せませんが、
これらのキーワードは今後の投資戦略において
留意すべきと言えます。
【出典】
・土地・建設産業:令和2年都道府県地価調査 – 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000431.html
・愛知県 令和2年愛知県地価調査(令和2年(2020)9月29日公表)
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/toshi/0000029550.html
・岐阜県 令和2年地価調査の結果
https://www.pref.gifu.lg.jp/page/85964.html
・三重県の土地価格(令和2年基準地価)
https://www.pref.mie.lg.jp/SHIGEN/HP/000230690_00019.htm
・中日新聞 2020年9月30日
・日本経済新聞 2020年9月30日
この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2020年11月24日発行分の転載です。