
JR東海道本線 安城駅前
今回は令和3年の地価公示について、
名古屋圏・東海三県の状況をご紹介します。
まずは住宅地について解説します。
愛知県の住宅地 (( )は前年)
愛知県は1.0%下落(1.1%上昇)。名古屋市は0.8%下落(2.0%上昇)。
全16区のうち3区で上昇率が縮小、他の13区で下落しました。
名古屋市中区ではホテル需要が減退したものの、
マンション開発の需要があり0.1%上昇(18.5%上昇)。
港区や南区はららぽーと名古屋みなとアクルス開業の影響もあり、
港区で0.1%上昇(0.8%上昇)、南区で0.2%上昇(1.2%上昇)しました。
尾張東部、西三河では上昇から下落に転じた市町が見られます。
愛知県住宅地の上昇率上位地点は次の通りです。
1.愛知県安城市御幸本町503番3 2.3%
2.愛知県刈谷市大手町5丁目38番5 2.0%
3.愛知県一宮市神山1丁目1番26 1.9%
4.愛知県名古屋市東区橦木町3丁目4 1.8%
5.愛知県北名古屋市石橋郷122 1.8%
名古屋市通勤圏の都市の駅近くや、
名古屋市内の高級住宅街の上昇が目立ちます。
愛知県住宅地の下落率上位地点は次の通りです。
1.愛知県知多郡南知多町大字片名字新師崎23番11 7.8%下落
2.愛知県知多郡南知多町大字豊丘宇仲島5番 7.0%下落
3.愛知県知多郡南知多町大字山海字小山89番 6.8%下落
4.愛知県知多郡南知多町大字布土字郷下104番 6.7%下落
5.愛知県知多郡南知多町大字片名字郷中92番 6.4%下落
いずれも南知多町の地点で大幅に下落しています。
岐阜県の住宅地
岐阜県は1.3%下落(0.8%下落)で29年連続で下落しました。
岐阜県住宅地の上昇率上位地点は次の通りです。
1.多治見市音羽町1丁目16番4 2.1%上昇
2.中津川市千旦林字坂本1386番113 1.8%上昇
3.羽島市福寿町本郷1丁目76番 0.7%上昇
4.多治見市大正町1丁目15番 0.7%上昇
5.大垣市西崎町1丁目40番2 0.6%上昇
駅前再開発が進む多治見市や、リニア新幹線の駅ができる中津川市
などで上昇地点が見られました。
岐阜県住宅地の下落率上位地点は次の通りです。
1.飛騨市神岡町船津大嶋2049の5 4.8%下落
2.飛騨市古川町殿町7番28 4.7%下落
3.高山市新宮町3475番8 3.7%下落
4.飛騨市古河町幸栄町10番23 3.6%下落
5.岐阜市大字長良字長洞3459番92 3.6%下落
三重県の住宅地
三重県は1.1%下落(0.7%下落)で29年連続で下落。
四日市市は0.4%下落(0.1%上昇)。
上昇した地点はありませんでした。
下落率上位地点は次の通りです。
1.志摩市片田字乙部2678番2 3.6%下落
2.尾鷲市小川東町722番9 3.5%下落
3.北牟婁郡輝北町海野字村ノ内283番3 3.4%下落
4.鳥羽市安楽島町字浦西758番 3.4%下落
5.津市香良洲町字西ノ宮25番12 3.4%下落
次は商業地について解説します。
愛知県の商業地
愛知県は1.7%下落(4.1%上昇)。名古屋市は2.1%下落(7.7%上昇)。
店舗・ホテル需要の減退、オフィス空室率上昇のため16区すべてで下落。
尾張東部および西三河地域では上昇から下落に転じた地点が見られます。
上昇率上位地点は次の通りです。
1.名古屋市中区錦2丁目19番1 2.0%
2.東海市加木屋町1丁目12 1.0%
下落率上位地点は次の通りです。
1.名古屋市中区錦3丁目914番1外 15.2%下落
2.名古屋市中区栄4丁目1312番外 9.9%下落
3.名古屋市中区栄3丁目2502番2 9.4%下落
4.名古屋市中村区椿町507番 9.2%下落
5.名古屋市中区栄3丁目1314番外 9.2%下落
飲食店が多い地点で大幅に下落しています。
岐阜県の商業地
岐阜県は1.6%下落(0.3%下落)で29年連続の下落。
駅前再開発が進む多治見市で上昇地点がありました。
上昇率上位地点は次の通りです。
1.多治見市音羽町1丁目224番 4.4%上昇
2.多治見市栄町1丁目5番外 3.4%上昇
下落率上位地点は次の通りです。
1.岐阜県高山市上三之町51番 12.2%下落
2.岐阜市玉宮町2丁目9番2 11.2%下落
3.岐阜市柳瀬通1丁目4番 5.7%下落
4.高山市花里町6丁目25番2外 4.9%下落
5.安八郡神戸町大字神戸字本町477番1外 4.8%下落
昨年は10%以上上昇した高山市上三之町や、
岐阜市中心部の玉宮町でも2桁下落しています。
観光地、飲食店が多い繁華街での下落が目立ちます。
三重県の商業地
三重県は1.2%下落(0.4%下落)。四日市市では0.5%下落(1.2%上昇)。
桑名市では0.3%下落(0.6%上昇)。
四日市市や桑名市では店舗、マンション需要が減退し下落しました。
上昇した地点はありませんでした。
下落率上位地点は次の通りです。
1.尾鷲市野地町589番11外 3.5%下落
2.志摩市浜島町浜島字目戸2846番 3.4%下落
3.志摩市志摩町和具字川辺900番1外 3.1%下落
4.伊賀市上野東町2961番 3.0%下落
5.伊賀市上野農人町428番6 3.0%下落
名古屋圏の工業地の上昇地点
名古屋圏でも通信販売の拡大による物流施設の旺盛な需要を受けて、
工業地で上昇した地点があります。
工業地の上昇率上位地点は次の通りです。
1.愛知県みよし市根甫町4丁目1番7外 5.3%上昇
2.愛知県海部郡飛島村木場1丁目16番 4.7%上昇
3.愛知県海部郡飛島村大字梅之郷字中梅60番7 4.1%上昇
4.名古屋市港区川口町205番外 3.7%上昇
5.名古屋市港区稲永3丁目801番1 2.1%上昇
みよし市根甫町は東名みよしIC付近の地点です。
飛島村木場は飛島ICに近く、
今年5月1日に開通した名古屋第二環状自動車道の
影響もあると考えられます。
さて、2回にわたって令和3年の地価公示について解説しました。
コロナ禍によって下落に転じた住宅地、商業地が多くありましたが、
コロナ禍の地価への影響は今後本格化するという見方もあります。
一方、ワクチン接種が進み、コロナ禍を比較的早期に克服できれば、
地価への影響は最小限に抑えられる可能性があります。
今後も地価の動きを注視する必要があります。
<出典>
・令和3年地価公示
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000043.html
・日本経済新聞 2021年3月24日
・中日新聞 2021年3月24日
・中部経済新聞 2021年3月24日
この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2021年5月24日発行分の転載です。