
三河安城駅
前回に引き続き、
今回は令和4年の基準地価(東海三県編)として、
愛知県、岐阜県、三重県の状況を解説します。
愛知県
<商業地>
愛知県の商業地は2.3%上昇(1.0%上昇)。2年連続で上昇しました。
愛知県の市町村平均では34市町村が上昇。
市町村の平均で上昇幅が大きいのは次の通り。
1位 安城市 4.5%上昇(0.0%)
2位 名古屋市 4.4%上昇(3.2%上昇)
3位 刈谷市 4.1%上昇(0.9%上昇)
4位 知立市 3.4%上昇(0.7%上昇)
5位 豊田市 3.2%上昇(0.3%上昇)
名古屋市は4.4%上昇(3.2%上昇)。全16区で上昇しました。
名古屋市は特に都心部で上昇しました。中区5.9%上昇、
中村区5.4%上昇、東区6.3%上昇、熱田区5.7%上昇。
愛知県の商業地の地価最高地点は次の地点です。
・名古屋市中村区名駅4 丁目701番1外(名駅 4-7-1)
18,500,000円/平米
名古屋市中心部ではオフィスビルの空室率上昇や
飲食店等の出店意欲の減退がみられるものの、
名駅周辺や栄地区では大規模再開発計画への期待感があります。
また、マンションの需要も堅調であることから、
上昇が継続しています。
西三河地域の鉄道駅周辺ではマンションの需要が見込まれるほか、
安城市や知立市などでは駅周辺の整備事業や再開発事業が
進行しており、上昇が継続しています。
愛知県の商業地の上昇率上位5地点は次の通りです。
1位 名古屋市名駅南3丁目308番2(名駅南三丁目3番44号)12.3%上昇
2位 名古屋市東区泉1丁目403番外(泉一丁目4番5号)9.8%上昇
3位 名古屋市中区錦1丁目206番(錦一丁目2番11号)9.5%上昇
4位 名古屋市東区葵1丁目1609番外(葵一丁目16番30号)9.3%上昇
5位 名古屋市中村区亀島2丁目2909番 9.3%上昇
上昇率1位の名古屋駅の南側はリニア中央新幹線の開業を見据えて、
2023年春に完成予定の42階建てのタワーマンション
「ナゴヤ・ザ・タワー」を含む大規模な再開発が進んでいます。
上昇率2位、3位は栄地区の再開発の影響を受けていると考えられます。
2024年には中日ビル、2026年には栄広場の跡地再開発が控えています。
愛知県の商業地で下落幅が最大だった地点は次の通りです。
・南知多町大字豊浜字鳥居88番 5.3%下落
<住宅地>
愛知県の住宅地は1.5%上昇(0.2%上昇)。2年連続の上昇です。
愛知県の市町村別では36市町が上昇。
市町の平均で上昇幅が大きいのは次の通り。
1位 東海市 5.6%上昇(1.0%上昇)
2位 刈谷市 4.8%上昇(2.8%上昇)
3位 安城市 4.6%上昇(2.0%上昇)
4位 大府市 3.4%上昇(1.7%上昇)
5位 名古屋市 3.1%上昇(1.3%上昇)
名古屋市は3.1%上昇(1.3%上昇)。全16区で上昇しました。
特に都心部で上昇幅が大きく、中区は8.4%上昇、中村区は3.6%上昇、
熱田区は5.1%上昇、東区は4.5%上昇となりました。
名古屋市の中心部では、マンションの需要に対して供給が限られており
地価が上昇しています。
愛知県の住宅地の地価最高地点は次の地点です。
・名古屋市中区栄2丁目612番(栄2-6-17)
1,570,000円/平米
西三河地域は、刈谷市、安城市、大府市、知立市、東海市など
自動車関連産業が堅調な地域で住宅需要が旺盛です。
尾張東部地域や知多北部地域では、名古屋市に隣接する
利便性が高い地域を中心に上昇率が拡大しています。
知多南部地域では湾岸エリアを中心に、
過疎化・高齢化による需要減退のため地価の下落が継続しています。
愛知県の住宅地の上昇率上位5地点は次の通りです。
1位 名古屋市中区錦1丁目324番1(錦一丁目3番28号)16.7%
2位 名古屋市中村区則武2丁目2201番(則武二丁目22番2号)14.5%
3位 名古屋市千種区橋本町2丁目13番2外 12.4%
4位 東海市高横須賀町5丁目56番 8.6%
5位 名古屋市中区丸の内1丁目735番(丸の内一丁目7番39号)8.1%
2位の東海市や大府市では戸建住宅が割安で人気が高い一方、
供給が限られていることから地価上昇につながったようです。
愛知県の住宅地で下落幅が最大だった地点は次の通りです。
・南知多町大字豊浜字新居42番 5.4%下落
岐阜県
岐阜県は30年連続で商業地・住宅地が下落しました。
商業地は0.9%下落(1.9%下落)、住宅地は1.2%下落(1.6%下落)。
ともに下落率は前年より縮小しました。
岐阜県の市町村平均では、
商業地は4市町が上昇。
多治見市が1.3%上昇。羽島市が0.3%上昇、各務原市が0.3%上昇、
土岐市が0.2%上昇、岐南町が0.0%でした。
他の自治体は下落しました。岐阜市は1.4%下落(昨年0.1%下落)。
住宅地は2市町が上昇。
瑞穂市が0.1%上昇、岐南町が0.6%上昇しました。
他の自治体は下落しました。岐阜市は1.0%下落(昨年0.6%下落)。
岐阜県の最高地価地点とその地価は次の通りです。
・商業地 岐阜市吉野町5丁目17番外 635,000円/平米 2.8%上昇
・住宅地 岐阜市加納本町3丁目7番1外 172,000円/平米 3.0%上昇
岐阜県の商業地、住宅地の上昇率上位地点は次の通りです。
<商業地の上昇率上位地点(岐阜県)>
1位 岐阜市吉野町5丁目17番外 2.8%上昇
2位 多治見市音羽町4丁目85番 2.5%上昇
3位 岐阜市真砂町12丁目16番外 1.4%上昇
4位 多治見市住吉町6丁目42番1外 1.3%上昇
5位 羽島市福寿町浅平2丁目18番外 1.0%上昇
<住宅地の上昇率上位地点(岐阜県)>
1位 岐阜市加納本町3丁目7番1外 3.0%上昇
2位 多治見市音羽町1丁目16番4 2.8%上昇
3位 多治見市上野町4丁目15番1 2.4%上昇
4位 岐阜市今嶺2丁目1番4 1.9%上昇
5位 岐阜市加納堀田町1丁目19番3 1.9%上昇
多治見市は2022年まで駅前で再開発が進められているため、
駅に近い商業地・住宅地が上昇しています。
中津川市はリニア新幹線の新駅の開発が着手されています。
岐阜県の商業地・住宅地で下落幅が最大だった地点は次の通りです。
・商業地 高山市奥飛騨温泉郷平湯字家上634番2外 4.9%下落
・住宅地 下呂市金山町祖師野字庭回津447番1外 4.0%下落
三重県
三重県は商業地は31年連続、住宅地は30年連続の下落となりました。
商業地は0.8%下落(1.6%下落)、住宅地は1.0%下落(1.6%下落)
下落率は昨年より縮小しました。
三重県の市町村平均では、
商業地は2市が上昇。四日市市は0.3%上昇(0.7%下落)。
桑名市は0.1%上昇(0.9%下落)。菰野町は0.0%(0.5%下落)。
それ以外の市町は下落しました。
津市は0.3%下落(1.2%下落)しました。
住宅地は上昇した市町村は無し、横ばいが2市町。
四日市市は0.0%(0.4%下落)。朝日町も0.0%(0.2%下落)。
それ以外の市町は下落しました。
桑名市は1.3%下落(1.1%下落)、津市は0.2%下落(0.1%下落)しました。
三重県の最高地価地点とその地価は次の通りです。
・商業地 四日市市安島1丁目124番(安島1-2-24)
295,000円/平米
・住宅地 津市大谷町97番49 101,000円/平米
三重県の商業地、住宅地の上昇率上位地点は次の通りです。
<商業地の上昇率上位地点(三重県)>
1位 桑名市寿町2丁目10番外 2.9%上昇
2位 四日市市安島1丁目124番(安島1-2-24)2.1%上昇
3位 四日市市鵜の森2丁目943番(鵜の森2-1-19)1.5%上昇
4位 四日市市元町10番外(元町1-16)1.3%上昇
5位 四日市市三栄町59番(三栄町3-15)1.0上昇
1位の桑名市は駅周辺整備事業の進展で
商業機能の向上が見込まれています。
2位から5位の四日市市は商業ビルやマンションの需要が旺盛です。
<住宅地の上昇率上位地点(三重県)>
1位 桑名市松並町2丁目6番19 2.2%上昇
2位 津市南が丘3丁目10番12 2.1%上昇
3位 津市大谷町97番49 2.0%上昇
4位 四日市市堀木2丁目331番(堀木2-14-2)1.4%上昇
5位 津市観音寺町字大谷766番33 1.0%上昇
1位の桑名市は高台の住環境に優れた地点で需要が強いです。
2位、3位、5位の津市は環境良好な住宅地で需要が強いです。
三重県の商業地・住宅地で下落幅が最大だった地点は次の通りです。
商業地 度会郡南伊勢町神前浦字新洲22番5 3.0%下落
住宅地 度会郡大紀町錦字築地882番11 3.4%下落
さて、2回にわたり令和4年の基準地価について解説しました。
今年の基準地価では、コロナ禍からの回復傾向が見られました。
今後、コロナ禍が本格的に収束し、
地価も本格的に回復することが期待されます。
【参考】
・日本経済新聞 2022年9月22日
・中日新聞 2022年9月22日
・中部経済新聞 2022年9月22日
・建通新聞中部版 2022年9月22日
・愛知県 令和4年愛知県地価調査(令和4年(2022)9月21日公表)
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/toshi/0000029550.html
・岐阜県 令和4年地価調査の結果
https://www.pref.gifu.lg.jp/page/248539.html
・三重県の土地価格〔令和4年三重県地価調査〕
http://www.pref.mie.lg.jp/SHIGEN/HP/000230690_00021.htm
この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2022年11月7日発行分の転載です。