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令和4年の路線価

オアシス21(名古屋市東区)

 令和4年7月1日に国税庁が令和4年1月1日時点の
 路線価を発表しました。今回はこの路線価について紹介します。

 

路線価とは

 路線価は主要道路に面した土地の1平米あたりの標準価格のことです。
 毎年、国税庁が1月1日の価格を7月1日に発表します。
 路線価は相続税や贈与税、銀行の担保評価に使われます。
 令和4年の調査地点は30万カ所以上で、
 国土交通省が公表する公示地価の約26,000ヶ所より詳細です。
 路線価は公示地価のおよそ8割程度の価格が目安とされています。

 

全国の動向

 全国の路線価の平均値は、1年前と比較すると0.5%の上昇となり、
 2年ぶりに上昇しました。

 都道府県別では、令和3年に前年比で上昇したのは7都道府県でしたが、
 令和4年に上昇したのは次の20都道府県でした。
 北海道、宮城県、福島県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、
 石川県、愛知県、京都府、大阪府、岡山県、広島県、山口県、
 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、沖縄県。

 上昇率上位の都道府県は次の通りです。(( )は前年)
 1.北海道 4.0%上昇(1.0%上昇)
 2.福岡県 3.6%上昇(1.8%上昇)
 3.宮城県 2.0%上昇(1.4%上昇)
 4.沖縄県 1.6%上昇(1.6%上昇)
 5.愛知県 1.1%上昇(1.1%下落)

 前年比下落した都道府県は27県で、令和3年の39県から減少しました。

 下落率上位の都道府県は次の通りです。
 1.和歌山県 1.3%下落(1.2%下落)
 2.愛媛県 1.1%下落(1.4%下落)
 3.群馬県 1.0%下落(1.0%下落)
 4.福井県、岐阜県、三重県、徳島県、香川県 0.9%下落

 全国の最高地点は東京都中央区銀座5丁目(鳩居堂前)で
 1平米あたり4,224万円、37年連続で全国1位となりました。

 

上昇した地点の特長

 次のような地点で上昇が目立ちました。
 ・再開発が盛んな地方の主要都市
 ・大都市近郊の住宅地
 ・ブランド力のある別荘地

 

 <再開発が盛んな地方の主要都市>

 札幌市、仙台市、広島市、福岡市といった
 再開発が盛んな地方の主要都市では軒並み上昇しました。
 例えば次の地点です。
 ・北海道札幌市厚別区厚別中央2条5丁目 13.5%上昇
 ・福岡県福岡市早良区西新4丁目 14.8%上昇
 ・福岡県福岡市東区千早5丁目 12.0%上昇

 

 <東京近郊の住宅地>

 次のような東京近郊の住宅地で、軒並み上昇しました。
 ・千葉県市川市の本八幡駅前通り 3.3%上昇
 ・川崎市の川崎駅東口広場通り 5.9%上昇

 在宅勤務が広がったことから通勤の負担が減り、
 ファミリー層向けのマンションが堅調なようです。

 

 <ブランド力のある別荘地>

 次のような別荘地で上昇が見られました。
 ・長野県白馬村北城村 道和田線 20%上昇
 ・長野県軽井沢町軽井沢 旧軽井沢銀座通り 2.0%上昇

 全国で上昇率が最も高かったのは上記の白馬村の地点でした。
 軽井沢や白馬村では、コロナ禍でリモートワークが進み、
 大都市圏からの移住先として、または二拠点生活などの拠点として
 住宅を購入する人が増えているようです。

 

下落した地域の特長

 次のような地点で下落が目立ちました。
 ・東京都心のオフィスが集中する地域
 ・インバウンド減少の影響が大きい観光地
 ・人口が減少する地方の地域

 

 <東京都心のオフィスが集中する地域>

 リモートワークにより郊外や別荘地に移る人が増えた一方で、
 次の地点のような東京都心のオフィス街では下落が目立ちました。
 ・東京都千代田区大名小路 1.3%下落
 ・東京都中央区外堀通り 1.3%下落

 東京都心5区のオフィス空室率は、
 2021年以降で6%台で推移しています。
 東京都の中心部では、今後さらに大型開発が相次ぐ予定のため、
 オフィス供給が過多の状態がしばらく続くと予想されます。

 

 <インバウンド減少の影響が大きい観光地>

 次のようにインバウンド観光客減少の影響が大きい観光地で
 下落が目立ちました。
 ・大阪府大阪市中央区心斎橋筋2丁目 10.6%下落(26.4%下落)
 ・岐阜県高山市上三之町 8.3%下落(12.7%下落)

 これらは全国で最も下落が大きい2地点です。

 

 <人口が減少する地方の地域>

 先にご紹介した下落率上位の都道府県のように
 人口が減少する地域では引き続き下落傾向が続きました。
 ただし下落幅が昨年より減少した地点が多いです。

 

東海三県の状況

 

 <愛知県>

 愛知県は全体では前年比1.2%上昇して、2年ぶりに上昇に転じました。

 愛知県で路線価が最も高かったのは次の地点です。
 ・名古屋市中村区名駅1丁目の名駅通り 1平米あたり1248万円。
  18年連続トップになり、全国の都道府県庁所在地別で4番目です。

 愛知県内の20の税務署管内のそれぞれの路線価最高地点のうち、
 次の地点は昨年に比べて5%以上上昇しました。
 ・愛知県名古屋市東区久屋町8丁目 8.7%上昇
 ・愛知県名古屋市中川区西日置1丁目 8.5%上昇
 ・愛知県豊田市西町1丁目 6.7%上昇
 ・愛知県名古屋市西区牛島町 5.2%上昇

 

 <岐阜県>

 岐阜県は前年比0.9%下落し、14年連続の下落。
 下落幅は0.5%縮小しました。

 岐阜県で路線価が最も高かった地点は次の地点です。
 ・岐阜市吉野町5丁目 1平米あたり47万円。

 岐阜県内7つの税務署管内のそれぞれの最高路線価地点のうち、
 昨年から上昇した地点はゼロ。6地点は横ばいで、
 1地点が下落しました。次の地点です。
 ・岐阜県高山市上三之町 8.3%下落。

 

 <三重県>

 三重県は前年比0.9%下落し、下げ幅は0.3%縮小しました。

 三重県で路線価が最も高かった地点は次の地点です。
 ・三重県四日市市安島1丁目 1平米あたり32万円。
  12年連続で県内トップになりました。

 三重県内8つの税務署管内のそれぞれの最高路線価地点のうち、
 昨年から上昇したのは次の地点です。
 ・三重県桑名市寿町2丁目 1平米あたり18万5千円。

 さて、今回は令和4年の路線価について紹介しました。
 令和3年の路線価はコロナ禍の影響を大きく受けて下落しましたが、
 令和4年は前年の落ち込みからの回復が見られました。

 コロナ禍の収束はまだ見通せませんが、
 いずれ収束し、インバウンドの回復によって、
 地価が回復することを期待します。

 【出典】

 ・2022年7月2日 日本経済新聞
 ・2022年7月2日 中日新聞
 ・2022年7月2日 中部経済新聞
 ・2022年7月2日 日刊工業新聞
 ・2022年7月1日 産経新聞Web

 

この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2022年7月19日発行分の転載です。