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令和5年の路線価(東京圏・大阪圏編)

北千住駅

 令和5年7月3日に国税庁が令和5年1月1日時点の路線価を発表しました。
 今回は令和5年の路線価について、今回と次回の2回続けて解説します。

 今回は東京圏・大阪圏の状況について解説します。
 次回は東海三県と上昇率上位の地方4道県
 (北海道、福岡県、宮城県、沖縄県)の状況を解説します。

路線価とは

 路線価は主要道路に面した土地の1平米あたりの標準価格のことです。
 毎年、国税庁が1月1日の価格を7月1日頃に発表します。
 路線価は相続税や贈与税、銀行の担保評価に使われます。
 令和5 年の調査地点は約32万カ所で、
 国土交通省が公表する公示地価の約26,000ヶ所より詳細です。
 路線価は公示地価のおよそ8割程度の価格が目安とされています。

 なお、多くのメディアに倣い、全国・都道府県の平均のほか、
 主に各税務署管内で最高路線価の上昇率を参照します。

 

全国の動向

 全国の路線価の平均値は、コロナ禍からの回復基調が顕著に表れており、
 全国平均は1.5%上昇し(前年0.5%上昇)、2年続けて上昇しました。

 都道府県別の平均値では、令和4年に上昇したのは20都道府県でしたが、
 令和5年は27都道府県で上昇しました。
 上昇率上位の都道府県は次の通りです。
  1.北海道 6.8%上昇(前年4.0%上昇)
  2.福岡県 4.5%上昇(同3.6%上昇)
  3.宮城県 4.4%上昇(同2.0%上昇)
  4.沖縄県 3.6%上昇(同1.6%上昇)
  5.東京都 3.2%上昇(同1.1%上昇)

 前年比で下落した県は20県で、令和4年の27県から減少しました。
 下落率上位の都道府県は次の通りです。
  1.和歌山県 1.2%下落(前年1.3%下落)
  2.福井県 1.0%下落(同0.9%下落)
  3.愛媛県 0.9%下落(同1.1%下落)
  4.群馬県 0.7%下落(同1.0%下落)
  4.徳島県 0.7%下落(同0.9%下落)

 以下に、東京圏と大阪圏の状況を解説します。

 

東京圏

<東京都>

 東京都は平均で3.2%上昇(前年1.1%上昇)、2年連続で上昇しました。
 コロナ禍の影響が大きかった観光地や商業地でも回復傾向が見られました。
 都心よりも割安感のある都心から離れたエリアでの上昇が目立ちました。
 
 東京都内の税務署管内最高路線価の上昇率上位は次の通りです。
 1位 足立区千住3丁目 北千住駅西口駅前広場通り 8.8%上昇
    3年連続で都内最高の上昇率となりました。
    北千住駅はJR常磐線や東京メトロ千代田線など5路線が乗り入れる駅で、
    駅周辺には5つの大学のキャンパスがあり、若者に人気があります。
 2位 中野区中野5丁目 中野駅北口駅前広場前 8.5%上昇
    中野駅の再開発計画が進行中です。
 3位 荒川区西日暮里2丁目 日暮里駅東口広場通り 8.3%上昇
    西日暮里駅周辺で再開発計画が検討されています。
 4位 台東区浅草1丁目 雷門通り 7.0%上昇
    外国人観光客の回復により上昇しました。
 5位 足立区西荒井栄町2丁目 西新井駅西口駅前通り 6.5%上昇
    西新井駅は東武スカイツリーライン、
    東京メトロ半蔵門線、日比谷線の3路線が使え、
    駅周辺は大型商業施設が充実しており、住宅需要が旺盛です。

 全国および東京都の最高路線価は38年連続で全国1位となった
 「東京都中央区銀座5丁目 銀座中央通り」で、
 1平米あたり4,272万円、前年から1.1%上昇しました。

 

<埼玉県>

 埼玉県は平均で1.6%上昇(前年0.4%上昇)、2年連続で上昇しました。

 埼玉県内の税務署管内最高路線価の上昇率上位は次の通りです。
 1位 さいたま市大宮区桜木町2丁目 大宮駅西口駅前ロータリー 8.0%上昇
    容積率制限の緩和があり、駅周辺で再開発が進み、
    この10年でほぼ倍に値上がりしました。今後も再開発の余地があります。
 2位 さいたま市浦和区高砂1丁目 浦和駅西口駅前ロータリー 7.1%上昇
    浦和駅西口で商業施設、タワーマンション、市民会館を含めた
    再開発計画が進められています。
 3位 本庄市早稲田の杜1丁目 本庄早稲田駅北口広場 5.0%上昇
    上越・北陸新幹線の駅。東京駅には50分弱でアクセスできます。
    早稲田大学本庄キャンパスやカインズの本社が付近にあります。
    2013年に大型ショッピングセンターが開業し、住宅地が開発されたため、
    都内への通勤者の居住が増えています。

 埼玉県内の最高路線価は
 「さいたま市大宮区桜木町2丁目 大宮駅西口駅前ロータリー」で
 1平米あたり475万円、前年から8.0%上昇しました。

 

<千葉県>

 千葉県は平均2.4%上昇(前年0.8%上昇)、10年連続の上昇となりました。

 千葉県内の税務署管内最高路線価の上昇率上位は次の通りです。
 1位 習志野市津田沼1丁目 ぶらり東通り 11.8%上昇
    船橋駅前の商業施設がコロナ禍から回復しています。
    また、周辺でマンション開発が進んでいます。
 2位 市川市八幡2丁目 本八幡駅前通り 10.3%上昇
    本八幡駅前で再開発計画が進んでいます。
 3位 船橋市本町1丁目 船橋駅前通り 9.8%上昇。
    閉店した西武船橋店の跡に、高層タワーマンションや
    低層階に「船橋市民文化ホール」を移転するなどの
    再開発計画が進められています。   

 千葉県の最高路線価は「船橋市本町1丁目 船橋駅前通り」で
 1平米あたり236万円、前年から0.8%上昇しました。

  

<神奈川県>

 神奈川県は平均2.0%上昇(前年0.6%上昇)、2年連続で上昇しました。
 税務署管内最高路線価の上昇率は5年ぶり全18区で上昇しました。

 神奈川県内の税務署管内最高路線価の上昇率上位は次の通りです。
 1位 横浜市神奈川区鶴屋町2丁目 市道高島台107号線 14.2%上昇
    ホテルや商業施設が入る43階建てのタワーマンションが建設中です。
 2位 厚木市中町2丁目 本厚木駅北口広場通り 12.2%上昇
    駅の北口で再開発が進んでいます。
 3位 川崎市川崎区駅前本町 川崎駅東口広場通り 8.1%上昇
    市の本庁舎の建て替え工事が完了しました。

 神奈川県の最高路線価は
 「横浜市西区南幸1丁目 横浜駅西口バスターミナル前通り」で
 1平米あたり1,680万円、前年から1.4%上昇しました。

 

大阪圏

<大阪府>

 大阪府は平均で1.4%上昇(前年0.1%上昇)、2年連続で上昇しました。

 大阪府内の税務署管内最高路線価の上昇率上位は次の通りです。
 1位 港区弁天1丁目 中央大通り 10.0%上昇
    万博会場まで延伸される地下鉄中央線の弁天町駅周辺で、
    マンションや商業施設用地の需要があります。
 2位 福島区福島5丁目 なにわ筋 7.4%上昇
    大阪駅北側のうめきた地区に近く、マンション需要が高まっています。
 3位 西区江戸堀1丁目 四つ橋筋 7.1%上昇
    大阪駅北側のうめきた地区に近く、マンション需要が高まっています。
 4位 天王寺区悲田院町 谷町筋 6.0%上昇
    あべのハルカスに至近のJR天王寺駅があるエリアです。
 4位 枚方市岡東町 京阪枚方市駅南口前 6.0%上昇
    枚方駅前で再開発計画が進んでいます。 

 大阪府の最高路線価は「大阪市北区角田町 御堂筋」で
 1平米あたり1,920万円、前年から1.3%上昇しました。

 

<京都府>

 京都府は平均で1.3%上昇(前年0.2%上昇)。2年連続で上昇となりました。

 京都府内の税務署管内最高路線価の上昇率上位は次の通りです。
 1位 右京区西院高山寺町 四条通 10.8%上昇
    子育て世代にも人気のエリアです。建物の高さ制限が緩和され、
    今後はマンション開発が進むと予想されます。
 2位 東山区四条通大和大路西入中之町 四条通 6.0%上昇
    八坂神社の最寄り駅「祇園四条」駅があるエリア。
 3位 上京区烏丸通丸太町上ル春日町 烏丸通 4.5%上昇
    京都御所がある京都御苑の最寄り駅「丸太町」駅があるエリア。

 京都府の最高路線価は「京都市下京区四条通寺町入ル2丁目御旅町 四条通」で
 1平米あたり697万円、前年から3.6%上昇しました。

 

<兵庫県>

 兵庫県は平均0.5%上昇(前年0.2%下落)と、4年ぶりに上昇しました。

 兵庫県内の税務署管内最高路線価の上昇率上位は次の通りです。
 1位 芦屋市船戸町 JR芦屋駅前 7.6%上昇
    高額所得者の購買力に対して供給が少ないため値上がりしています。
 2位 西宮市高松町 阪急西宮北口駅御南川 4.1%上昇
    阪急西宮駅北口で2023年9月に開業予定の
    「阪急西宮ガーデンズ西側土地開発計画」により
    マンション、オフィス、商業施設の複合ビルが整備されています。
 3位 尼崎市潮江1丁目 JR尼崎駅前 3.4%上昇
    尼崎駅はJR東西線、JR神戸線、JR宝塚線の3路線が利用可能。
    商業施設も充実しており、マンション需要が高まっています。

 兵庫県の最高路線価は「神戸市中央区三宮町1丁目 三宮センター街」で
 1平米あたり500万円、前年から2.0%上昇しました。

 

 さて、今回は令和5年の路線価について、東京圏・大阪圏の状況を解説しました。
 次回は東海三県と地方圏の状況について解説します。

 

 <参考>

 ・2023年7月4日 日本経済新聞、朝日新聞

 

この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2023年8月21日発行分の転載です。