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令和5年の路線価(東海三県・地方圏編)

名古屋市 栄 Hisaya-odori Park・中部電力 MIRAI TOWER

 令和5年7月3日に国税庁が令和5年1月1日時点の
 路線価を発表しました。今回は令和5年の路線価について紹介します。
 前回の東京圏・大阪圏の解説に続き、
 今回は東海三県と上昇率が高い地方4道県
 (北海道、福岡県、宮城県、沖縄県)の状況を解説します。

 

東海三県

<愛知県>

 愛知県内は平均2.6%上昇(前年1.2%上昇)、2年連続で上昇しました。

 名古屋市内は交通の利便性が高い駅周辺でマンション需要が高まり、
 観光地では新型コロナウイルスの影響からの回復が見られました。

 愛知県内の税務署管内最高路線価の上昇率上位は次の通りです。
 1位 名古屋市千種区今池1丁目 広小路通り 9.9%上昇
    今池駅は地下鉄東山線と桜通線の2路線が使えるためマンション需要が高く、
    円安による外資系投資の増加も影響しました。
 2位 名古屋市中川区西日置1丁目 江川線通り 7.8%上昇
    住宅需要が旺盛なエリアです。
 3位 名古屋市昭和区阿由知通3丁目 山王通り 7.5%上昇
    住宅需要が旺盛なエリアです。
 4位 名古屋市東区久屋町8丁目 久屋大通り 7.4%上昇
    栄で再開発が続いており、近隣では7月1日に高級ホテルの
    「TIAD オートグラフ コレクション」が開業しました。
    来年春には中日ビルの営業開始が予定されています。
 5位 春日井市松新町1丁目 勝川駅前広場通り 6.8%上昇
    勝川駅前は再開発により整備され、
    周辺では名古屋都心への通勤者を中心にマンション需要が高まっています。

 愛知県内の最高路線価は「名古屋市中村区名駅1丁目 名駅通り」で
 1平米あたり1,280万円、前年から2.6%上昇、19年連続で県内1位でした。

 

<岐阜県>

 岐阜県は平均0.5%の下落(前年0.9%下落)と15年連続で下落しました。
 下落幅は前年より0.4ポイント縮小しました。

 住宅需要が高まっている岐阜市や多治見市の駅前が上昇したほか、
 コロナ禍で下落の影響を受けた高山市でも観光需要が回復して上昇しています。

 税務署管内の最高路線価の上昇率上位は次の通り。
 1位 多治見市本町2丁目 多治見駅前通り 4.5%上昇
    今春、ホテルやタワーマンションが開業しました。
 2位 岐阜市吉野町5丁目 岐阜停車場線通り 4.3%上昇
    駅前でツインタワー建設などの再開発計画があります。
 3位 高山市上三之町 上三之町下三之町線通り 2.3%上昇
    コロナ禍からの観光需要の回復、ホテルの新規開発計画があります。

 岐阜県の最高路線価は「岐阜市吉野町5 岐阜停車場線通り」で、
 1平米あたり49万円、前年から4.3%上昇、18年連続で県内1位でした。

 

<三重県>

 三重県は平均で0.4%下落(前年0.9%下落)と31年連続で下落しました。
 下落幅は2010年以降最小となりました。

 地価上昇の動きが県北部だけでなく、県中部や伊賀方面にも広がっています。
 一方、尾鷲市など県南部は下落傾向が続いており、南北の差が広がっています。

 税務署管内の最高路線価の上昇率上位は次の通りです。
 1位 四日市市安島1丁目 ふれあいモール通り 3.1%上昇
    駅前の再開発が進み、期待感が高まっています。
 2位 桑名市寿町2丁目 桑名駅前線通り 2.7%上昇
    桑名駅周辺で再開発計画が進められています。
 3位 伊勢市宇治今在家町 内宮おはらい町線通り 2.1%上昇
    コロナ禍からの観光需要の回復があります。

 三重県内の県内最高路線価は「四日市市安島1丁目 ふれあいモール通り」で
 1平米あたり33万円、前年から3.1%上昇しました。

 

上昇率が高い地方4道県

 路線価の上昇率が上位の4道県について解説します。

<北海道>

 北海道は6.8%上昇(前年4.0%上昇)、2年連続で上昇率全国一位となり、
 上昇率は過去10年で最高です。

 札幌市中心部ではバスターミナルや商業施設、ホテルなどの複合高層ビル、
 タワーマンションなどの建設が進んでいます。
 札幌市の郊外や周辺自治体へも住宅購入の波及効果が見られます。

 北海道内の税務署管内最高路線価の上昇率上位は次の通りです。
 1位 札幌市厚別区厚別中央2条5丁目 新札幌駅前通り 14.3%上昇
    北海道新幹線の延伸を見据えて、新札幌駅周辺の再開発が盛んです。
    商業施設、病院、ホテル、住宅、大学の複合開発が進んでいます。
    「エスコンフィールドHOKKAIDO」がある北広島駅には
    JRで約10分ほどと至近です。
 2位 札幌市中央区南1条西11丁目 石山通 10.0%上昇
    大通り公園に近いエリアです。
 3位 札幌市中央区北5条3丁目 道道札幌駅停車場線通り 8.4%上昇
    札幌駅南口前の商業施設エスタが2023年夏に閉店し、
    跡地に地上43階の複合ビルを開発する再開発計画があります。
 3位 札幌市北区北7条西4丁目 8.4%上昇
    近くに北海道で一番高いビルとなる高さ175メートルの
    商業施設、ホテル、マンションからなる複合施設
    「ワン札幌ステーションタワー」が今年12月に開業予定です。

 北海道の最高路線価は
 「札幌市中央区北5条西3丁目 道道札幌駅停車場線通り」で
 1平米あたり668万円、前年から8.4%上昇しました。

 なお、千歳市では半導体国産化を目指す「Rapidus」の工場建設が決まり、
 今後、周辺の住宅や商業施設をはじめとする開発が進むとみられます。

  

<福岡県>

 福岡県は4.5%上昇(前年3.6%上昇)、上昇率は全国2位でした。

 福岡市中心部は、高さ規制緩和による「天神ビッグバン」で再開発が進み、
 オフィスビルやホテル、タワーマンションが相次いで建設されています。
 しかし中心部の地価上昇は鈍化し、福岡市郊外や周辺都市の上昇率が高まっています。

 福岡県内の税務署管内最高路線価の上昇率上位は次の通りです。
 1位 久留米市東町 西鉄久留米駅前通り 19.1%上昇
    税務署別最高値路線価で全国1位の上昇率となりました。
    福岡市のベッドタウンとしてマンション用地の需要が旺盛です。
 2位 北九州市小倉北区京町3丁目 平和通り 15.9%上昇
    JR小倉駅を中心に商業、オフィスが活発で、集客力が上がっています。
    治安の改善、価格の割安感、今後の容積率緩和の期待があります。
 3位 春日市春日原北町3丁目 春日原駅前通り 14.7%上昇
    福岡市のベッドタウンとしてマンション需要が旺盛です。
 4位 福岡市早良区西新4丁目 明治通り 12.9%上昇
    地下鉄駅に近く、子育て世代に人気があります。
 5位 福岡市東区千早4丁目 千早並木通り 12.5%上昇
    博多駅や天神エリアに鉄道・地下鉄で移動しやすいエリアです。
    総合レジャーランド「ガーデンズ千早」や
    ちはや公園が2021年にオープンしました。

 福岡県の最高路線価は「福岡市中央区天神2丁目 渡辺通り」で43年連続。
 1平米あたり904万円、前年から2.7%上昇しました。

 

<宮城県>

 宮城県は4.4%上昇(前年2.9%上昇)、上昇率は6年連続で全国3位となりました。

 宮城県内の税務署管内最高路線価の上昇率上位は次の通りです。
 1位 仙台市太白区あすと長町 15.6%上昇
    東北でトップの上昇率となりました。
    仙台市の副都心と位置づけられており、JRと地下鉄の利用が可能です。
    大型商業施設や医療施設が整っており、マンション需要が高まっています。
 2位 多賀城市中央2丁目 多賀城駅北線通り 5.3%上昇
    仙台市の伸びにけん引されて上昇しました。
    多賀城駅から仙台駅まではJR千石線で20分ほどで移動できます。
 3位 仙台市青葉区本町2丁目 広瀬通り 4.5%上昇
    仙台駅から500メートルほどのエリア。
    周辺では複数の再開発計画が予定されています。

 宮城県の最高路線価は、仙台駅西口に面する「仙台市青葉区中央1丁目 青葉通り」
 1平米あたり347万円、前年から2.4%上昇と10年連続で上昇しました。

  

<沖縄県>

 沖縄県は3.6%上昇(前年1.6%上昇)、9年連続で上昇し全国4の上昇率です。
 コロナ禍から観光需要の回復を受けて上昇しました。

 税務署管内最高路線価の上昇率上位は次の通りです。
 1位 北谷町字美浜 町道美浜1号線 4.4%上昇
    美浜タウンリゾート・アメリカンビレッジや商業施設、
    ホテルなどがある観光スポットです。
 2位 宮古島市平良字西里 西里大通 4.3%上昇
    宮古島の中心通り。観光人気が高いエリアです。
 3位 那覇市おもろまち4丁目 那覇中環状線 3.8%上昇
    ゆいレール「おもろまち駅」を中心としたエリアで、
    新都心公園、県立博物館・美術館、ショッピングモール
    などがある新しい商業地区です。

 沖縄県の最高路線価は「那覇市久茂地3丁目 国際通り」で
 1平米あたり145万円、前年から2.1%上昇、22年連続で県内1位でした。

 さて、前回と今回の2回にわたり、令和5年の路線価について解説しました。
 今後は新型コロナウイルスの影響がさらに薄まると予想されるため、
 観光地や商業地の需要は高まると期待できます。
 住宅需要は今後、低金利が継続されるかどうかで、大きく左右されると考えられます

 

 <参考>

 ・2023年7月4日 日本経済新聞、朝日新聞、中日新聞、岐阜新聞、伊勢新聞、
  北海道新聞、西日本新聞、河北新聞、沖縄タイムズ

 

この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2023年9月4日発行分の転載です。