名古屋市・愛知県・岐阜県・三重県の
不動産投資・不動産の収益化に役立つ情報を提供

名古屋・東海収益不動産ガイド

令和6年の基準地価(東海三県編)

前回に引き続き、今回は令和6年の基準地価について、
東海三県(愛知県、岐阜県、三重県)の状況を解説します。

 

愛知県

<商業地>

愛知県の商業地は3.6%上昇(3.4%上昇)、と4年連続で上昇しました。
(( )は前年を表します)

県内地域別に、次のようになりました。
名古屋市5.8%上昇(5.3%上昇)、 名古屋市は全16区で上昇しました。
尾張地域2.3%上昇(1.7%上昇)、 知多地域1.4%上昇(1.5%上昇)、
西三河地域3.8%上昇(4.2%上昇)、東三河地域0.8%上昇(1.0%上昇)。

愛知県の上昇率上位の市町村は次の通りです。
1位 大府市  10.0%上昇(7.3%上昇)
2位 知立市  9.6%上昇(5.2%上昇)
3位 刈谷市  7.9%上昇(7.8%上昇)
4位 安城市  6.6%上昇(9.5%上昇)
5位 名古屋市 5.8%上昇(5.3%上昇)

名古屋市の上昇率上位の区は次の通りです。
1位 千種区  12.6%上昇(8.8%上昇)
2位 熱田区  10.2%上昇(7.3%上昇)
3位 中村区  7.8%上昇(6.2%上昇)
4位 東区   6.3%上昇(7.0%上昇)
5位 中区   5.7%上昇(5.6%上昇)

名古屋駅周辺や栄・伏見では、オフィス・店舗等の需要が堅調で、
栄で2026年夏の開業を予定する複合ビル「ザ・ランドマーク名古屋栄」
をはじめとする開発計画の進展もあり、中村区、中区が上昇しました。
都心部への交通利便性が良好な千種区、東区、熱田区などでは、
店舗・オフィス・マンションの需要が競合しています。
西三河地域や知多北部地域では、店舗・オフィス・マンションの需要が堅調で、
大府市、知立市が大幅に上昇しています。
知多南部地域では、過疎化により下落が継続しています。

愛知県の商業地の上昇率上位5地点は次の通りです。

<商業地の上昇率上位5地点(愛知県)>
1位 千種区末盛通5丁目6番外 17.4%上昇(10.1%上昇)
2位 千種区姫池通3丁目7番  16.8%上昇(10.0%上昇)
3位 千種区池下1丁目413番  16.0%上昇(12.4%上昇)
4位 千種区内山3丁目2605番  15.3%上昇(10.3%上昇)
5位 中村区名駅2丁目4010番  15.2%上昇(9.3%上昇)

5地点はいずれも地下鉄東山線の駅
(本山、覚王山、池下、千種、名古屋)に近いことが特徴です。
千種区の繁華性良好な幹線道路沿いでは、
従来からの中高層の店舗兼事務所への需要に加えて、
近年はマンション開発が活発化しており、
需要の競合により地価の上昇が継続しています。

愛知県の商業地の地価最高地点は次の地点です。
・名古屋中村区名駅3丁目2701番外(大名古屋ビルヂング)
 1,960万円/平米 2.1%上昇(2.1%上昇)

 

<住宅地>

愛知県の住宅地は2.3%上昇(昨年2.1%上昇)、4年連続の上昇です。

県内地域別に次のようになりました。
名古屋市 4.3%上昇(3.9%上昇)、名古屋市は全16区で上昇しました。
尾張地域 2.1%上昇(1.4%上昇)、知多地域 1.9%上昇(2.3%上昇)、
西三河地域 2.6%上昇(2.9%上昇)、東三河地域 0.1%上昇(0.0%)。

名古屋市は都心部への交通利便性が高い地区でのマンション開発が増え、
オフィスや店舗の需要と競合して上昇が継続しました。
名古屋市周辺で名古屋都心への交通利便性が良好な
大府市、長久手市なども大幅に上昇しています。
西三河地域では自動車関連企業の従業員等からの需要が堅調であり、
知立市、刈谷市、安城市などが上昇しています。
一方、知多南部地域では、人口減少により下落が継続しています。

愛知県の上昇率上位の5市町は次の通りです。
1位 大府市  8.5%上昇(5.0%上昇)
2位 知立市  6.3%上昇(3.8%上昇)
3位 長久手市 6.3%上昇(3.3%上昇)
4位 日進市  5.2%上昇(3.2%上昇)
5位 刈谷市  5.0%上昇(5.6%上昇)

名古屋市の上昇率上位の5区は次の通りです。
1位 中村区  8.7%上昇(5.8%上昇)
2位 熱田区  8.3%上昇(6.8%上昇)
3位 千種区  7.7%上昇(6.1%上昇)
4位 中区   6.3%上昇(10.2%上昇)
5位 南区   6.3%上昇(6.9%上昇)

愛知県の住宅地の上昇率上位の5地点は次の通りです。

<住宅地の上昇率上位5地点(愛知県)>
1位 名古屋市千種区橋本町2丁目13番2外 16.9%上昇(15.8%上昇)
2位 名古屋市中村区則武2丁目2201番    15.0%上昇(15.4%上昇)
3位 大府市共栄町7丁目10番5       12.4%上昇(5.5%上昇)
4位 一宮市住吉1丁目6番19        12.1%上昇(6.9%上昇)
5位 長久手市作田1丁目1009番外      10.8%上昇(なし)

愛知県の住宅地の地価最高地点は次の地点です。
・名古屋市中区錦1丁目324番1 175万円/平米 7.4%上昇(16.4%上昇)

 

岐阜県

岐阜県は商業地が32年ぶりの上昇、住宅地は32年連続で下落しました。
商業地は0.6%上昇(0.0%)、住宅地は0.8%下落(0.9%下落)。
地価上昇地点は78地点で前年の68地点より増加しました。

商業地が上昇した市町村は、高山市7.5%上昇、多治見市1.6%上昇、
羽島市0.9%上昇、土岐市0.7%上昇、岐阜市0.6%上昇、
中津川市0.4%上昇、大垣市0.2%上昇、各務原市0.2%上昇。

住宅地が上昇した市町村は、白川村1.4%上昇、岐南町1.0%上昇、
瑞穂市1.0%上昇、神戸町0.6%上昇、富加町0.5%上昇、北方町0.4%上昇。
岐阜市は0.3%下落(0.3%下落)でした。

岐阜県の最高地価地点とその地価は次の通りです。
・商業地 岐阜市吉野町5丁目17番外 685,000円/平米 3.5%上昇
・住宅地 岐阜市金町6丁目17番1  323,000円/平米(前年調査地点外)

岐阜県の商業地、住宅地の上昇率上位地点は次の通りです。

<商業地の上昇率上位地点(岐阜県)>
1位 高山市上三之町51番     27.1%上昇
2位 高山市本町1丁目45番    12.3%上昇
3位 高山市昭和町1丁目321番   11.6%上昇
4位 岐阜市玉宮町2丁目9番2   8.0%上昇
5位 岐阜市吉野町5丁目17番外  3.5%上昇

<住宅地の上昇率上位地点(岐阜県)>
1位 岐阜市今嶺2丁目1番4    4.5%上昇
2位 多治見市音羽町1丁目16番4  4.0%上昇
3位 多治見市上野町4丁目15番1  2.7%上昇
4位 岐阜市茜部菱野4丁目153番2 2.1%上昇
5位 多治見市平井町4丁目69番3  2.0%上昇

高山市は外国人を含む観光客の回復に伴い、店舗需要が堅調で、
新規のホテル計画も顕在化しており、高い上昇となっています。
岐阜駅前にあたる岐阜市玉宮町、吉野町、今嶺は、
駅前に30階立て以上のツインタワーのマンションが
令和10年度に竣工される計画が期待されています。
多治見市は多治見駅周辺の再開発が令和4年11月に完了しましたが、
今後、市役所庁舎の多治見駅前への移転も計画されています。

 

三重県

三重県は商業地は0.4%上昇(0.1%下落)となり、33年ぶりの上昇、
住宅地は0.3%下落(0.5%下落)となり、32年連続の下落となりました。
工業地は新名神高速道路の開通の影響から1.9%上昇(1.5%上昇)で
3年連続で上昇しました。

商業地が上昇した市町は次の通りです。
四日市市2.0%上昇、朝日町1.8%上昇、桑名市1.4%上昇、
亀山市0.8%上昇、津市0.7%上昇、鈴鹿市0.7%上昇、菰野町0.5%上昇、
伊勢市0.4%上昇。

四日市市は近鉄四日市駅の東口付近に2027年春頃に開業予定の
「バスタ四日市」をはじめとした、駅周辺の再開発が期待されています。
伊勢市は国内外観光客の回復により、33年ぶりに上昇に転じました。

住宅地が上昇した市町は次の通りです。
四日市市0.8%上昇、鈴鹿市0.7%上昇、朝日町0.7%上昇、
津市0.5%上昇、亀山市0.2%上昇。
名古屋通勤圏の県北・中部地区に加え、南部の都市でも
上昇地点が見られ、地価の回復が広がりました。

三重県の商業地、住宅地の上昇率上位地点は次の通りです。

<商業地の上昇率上位地点(三重県)>
1位 四日市市安島1丁目124番   5.6%上昇
2位 四日市市鵜の森2丁目943番  5.1%上昇
3位 桑名市寿町2丁目10番外    4.3%上昇
4位 四日市市三栄町59番     3.7上昇
5位 四日市市堀木1丁目6番    2.8%上昇

<住宅地の上昇率上位地点(三重県)>
1位 桑名市松並町2丁目6番19  3.6%上昇
2位 四日市市堀木2丁目331番   3.4%上昇
2位 津市南が丘3丁目10番12   3.3%上昇
4位 津市観音寺町字大谷766番33 3.0%上昇
5位 津市渋見町字北浦770番44  3.0%上昇

三重県の最高地価地点とその地価は次の通りです。
・商業地 四日市市安島1丁目124番 323,000円/平米
・住宅地 津市大谷町97番49  10,600円/平米

 

さて、2回にわたり「令和6年の基準地価」について解説しました。
令和6年の基準地価は、商業地、住宅地ともに全国的に鮮明な回復が見られ、
大都市だけでなく、地方にも上昇基調が波及したことが確認できました。

 

【参考】

・愛知県 令和6年愛知県地価調査(令和6年(2024年9月17日公表))
 https://www.pref.aichi.jp/soshiki/toshi/0000029550.html
 (地価公示の下に地価調査の掲載があります)
・岐阜県 令和6年地価調査の結果
 https://www.pref.gifu.lg.jp/page/389609.html
・三重県の土地価格〔令和6年三重県地価調査〕
 https://www.pref.mie.lg.jp/SHIGEN/HP/000230690_00001.htm
・中部経済新聞 2024年9月18日

 

※本記事の内容は配信日までに確認できた情報を基にしており、
 今後、変更になる可能性があります。