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名古屋・東海収益不動産ガイド

価値が下がりにくいマンションの条件

 リクルートが発行する不動産情報フリーペーパー「Suumo」の
 2020年1月7日号名古屋版では、
 特集「値崩れしないマンション徹底研究」(以下「本特集」という)で、
 近年の中古マンションの騰落率のデータをもとに分析していました。

 2008年1月から2009年1月に新築分譲され、
 2018年3月~2019年3月に中古販売された対象都府県の物件について、
 間取り、駅からの距離、マンションの規模などの条件ごとに
 騰落率(新築分譲時の不動産価格を100%とした場合の、
 中古販売時の価格の割合)を比較し、
 どのような条件のマンションが値崩れしにくかったかを示したものです。

 (対象都府県:東京都・神奈川県・埼玉県・愛知県・滋賀県・
        奈良県・大阪府・兵庫県・和歌山県)

 今回のメルマガでは、本特集で紹介されている騰落率のデータを引用し、
 価格が下がりにくいマンションの選び方のヒントを考察します。

 なお、考察する内容は本メルマガ独自の内容であり、
 本特集で紹介されている内容とは異なります。

 早速、本特集のデータを紹介します。

 

 <間取り別の騰落率(本特集から引用)>

  ・2LDK:101.8%
  ・1LDK:98.2%
  ・3LDK:92.4%

 2LDKの物件が最も値崩れしにくかったことが示されています。

 その背景として、「令和元年国民生活基礎調査」によると、
 1世帯あたりの人数は、
 1990年の3.05人から2019年は2.39人へと、年々減少しています。
 2019年では、全世帯のうち二人世帯が32.0%を、
 単身世帯が28.8%を占めています。
 そのため、3LDK以上の間取りの需要は減少する一方、
 二人や一人で住むのに適した2LDKや1LDKの需要は堅調なため、
 値崩れしにくかったと考えられます。

 なお、間取り別の需要はエリアによっても異なります。
 大学の近くなど単身者が多く住むエリアでは、1LDKの需要が大きくなり、
 郊外の住宅街などファミリー世帯が多く住むエリアでは、
 3LDKの需要が大きくなることもあります。

 

 <駅徒歩分数別の騰落率(本特集から引用)>

  ・4分未満:100.6%
  ・4分以上7分未満:99.6%
  ・7分以上10分未満:91.4%
  ・10分以上13分未満:90.0%
  ・13分以上16分未満:86.3%
  ・16分以上:78.4%

 最寄り駅まで徒歩7分未満の物件はほとんど値崩れしていない一方、
 駅から徒歩16分以上の物件は、2割以上も価格が下がっています。

 なお、購入するマンションの選定において確認すべき要素は、
 単純な駅からの距離だけではありません。
 入居者がマンションへの入居を検討する際は次の要素も考慮するため、
 これらの要素も踏まえる必要があります。

  ・最寄り駅に急行や快速が停まるか
  ・最寄り駅が始発駅か
  ・駅までの道が平たんな道か坂道か、広い道か細い道か
  ・夜間に駅までの道が明るいか暗いか
  ・駅までの道の通勤時間帯の混雑度合い
  ・バスが通勤手段になる場合は、バス停からの距離、
   バスの頻度、バス路線の通勤時間帯の混雑度合い

 

 <総戸数別の騰落率(本特集から引用)>

  ・200戸以上:104.3%
  ・100戸以上200戸未満:90.0%
  ・100戸未満:86.6%

 200戸以上の大規模物件ほど値崩れしにくかったことが示されています。
 それは、大規模物件には次のメリットがあるからだと考えられます。
  ・躯体がしっかりしている
  ・見た目もきれいにされている
  ・共用部やサービスが充実している
  ・1戸当たりの管理費や修繕積立金や固定資産税が割安になる
  ・敷地内に商業施設や医療施設が設けられている場合もある

 ただ、近年建築ラッシュとなっていたタワーマンションは、
 全国的に大規模修繕の経験がまだ浅いため、
 大規模修繕の正確な見積もりがしにくいという指摘もあります。
 今後、タワーマンションの大規模修繕が相次いで行われるようになると、
 修繕積立金が大幅に値上げされるリスクも考えられます。

 さて、今回のメルマガでは、騰落率のデータをもとに、
 価値が下がりにくいマンションのヒントを考察しました。

 なお、中古マンションを購入する場合、
 物件の騰落率の下げ幅が大きいということは、
 それだけ購入価格(初期投資額)が下がったということを表します。
 初期投資額が下がると、それを回収できる利回りの水準が下がります。
 将来にわたってその水準の利回りが期待できるなら、
 投資対象となる場合があります。
 
 中古マンション購入の検討の際には、過去の騰落率はあくまでも参考に、
 将来の利回り(需要)を予測して、購入価格を踏まえて、
 判断していただければと思います。

 

 【参考】

 ・リクルート SUUMO新築マンション名古屋版 2020年1月7日号
  『値崩れしないマンション徹底研究』
 ・令和元年国民生活基礎調査
  https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450061

 

この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2020年10月12日発行分の転載です。