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入居の決め手となる設備とは?

 2020年10月19日に全国賃貸住宅新聞が
 毎年恒例の「人気設備ランキング」を発表しました。

 これは全国の不動産賃貸会社372社を対象に、
 2020年8月27日から10月5日の期間で行われた
 アンケート調査の結果に基づくものです。

 全46種の設備の中から
 「この設備がなければ入居が決まらない」
 「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる」
 という設備を、単身者向け物件とファミリー向け物件について
 それぞれ回答されたものです。

 このアンケートの回答は、不動産会社の回答者の主観によるため、
 客観的・定量的なデータとは言えないところがありますが、
 不動産会社が顧客と接する中で感じ取ったニーズが
 ある程度は反映されているものと考えられます。

 今回のメルマガでは、このランキングのデータを紹介した上で、
 その内容について独自に考察します。

 まずは単身者向け物件について、
 「この設備がないと入居が決まらない」設備と
 「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まる」設備の
 ランキングを、今年の順位と前年の順位を合わせて紹介します。

 

単身者向け物件「この設備がないと入居が決まらない」ランキング

 

 <ランキング>

 順位(前年順位) 設備名
 1位(1位) 室内洗濯機置き場
 2位(2位) TVモニター付きインターフォン
 3位(3位) インターネット無料
 4位(4位) 独立洗面台
 5位(5位) 洗浄機付き便座
 6位(6位) エントランスのオートロック
 6位(6位) 備え付け照明
 8位(8位) 宅配ボックス
 9位(11位) ガスコンロ(二口・三口)
 10位(16位) 浴室換気乾燥機
 11位(9位) 暖房便座
 12位(12位) エレベータ
 13位(15位) システムキッチン
 14位(12位) 室内洗濯物干し
 15位(18位) 防犯カメラ

 

 <考察>

 もし空室が続く単身向け物件で、
 これらの設備が備えられていなければ、設置を検討すべきです。

 上位8位までは順位は昨年と変わらず、
 必要性が高い設備として定着していると言えます。

 9位に「ガスコンロ」(前年11位)、
 13位に「システムキッチン」(前年15位)が挙げられており、
 調理設備が入居を決める条件とされています。
 新築物件にはシステムキッチンの導入が増えており、
 システムキッチンを入居の条件とする入居者も増えているようです。

 10位に「浴室換気乾燥機」(前年16位)、
 14位に「室内洗濯物干し」(前年12位)が挙げられており、
 室内で洗濯が干せることが入居を決める条件とされています。

 その背景には、「洗濯物を外に干したくない」という
 女性のニーズがあります。
 「浴室換気乾燥機」は前年から順位を大きく上げました。
 室内でも洗濯物がよく乾く「浴室換気乾燥機」の方が、
 入居を決める条件として人気があるようです。

 

単身者向け物件
「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まる」
 ランキング

 

 <ランキング>

 順位(前年順位) 設備名
 1位(1位) インターネット無料
 2位(2位) エントランスのオートロック
 3位(3位) 宅配ボックス
 4位(4位) 浴室換気乾燥機
 5位(5位) ホームセキュリティ
 6位(6位) 独立洗面台
 7位(7位) 24時間利用可能ゴミ置き場
 8位(12位) システムキッチン
 9位(15位) TVモニター付きインターフォン
 10位(16位) エレベータ
 11位(11位) 防犯カメラ
 12位(8位) ガレージ
 13位(8位) ウォークインクローゼット
 14位(13位) 洗浄機付き便座
 15位(14位) IoT機器
 圏外(10位) 追い焚き機能

 

 <考察>

 1位~7位までは前年から変わりません。
 これらは家賃を高くできる要因として定着していると言えます。

 前年から順位が大きく上がったのは
 9位の「TVモニター付きインターフォン」(前年15位)です。
 防犯性を高めたい方を中心にニーズがあるようです。
 「エントランスのオートロック」がない物件でも、
 代替としてTVモニター付きインターフォンが求められるようです。

 8位の「システムキッチン」(前年12位)も順位を上げました。
 ガスコンロよりもシステムキッチンの方が見栄えがよく、
 掃除もしやすいことから、人気が高まっていると考えられます。

 なお、「追い焚き機能」は前年10位でしたが、
 今回は圏外となり、優先順位は下がっているようです。
 単身世帯では、入浴前にお湯を張れば追い焚きが不要なことや、
 シャワーで入浴を済ませる人が多いことも理由として考えられます。

 次に、ファミリー向け物件について、
 「この設備がないと入居が決まらない」設備と
 「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まる」設備の
 ランキングを紹介します。

 

ファミリー向け物件の
「この設備がないと入居が決まらない」ランキング

 

 <ランキング>

 順位(前年順位) 設備名
 1位(1位) 室内洗濯機置き場
 2位(2位) 独立洗面台
 3位(3位) 追い焚き機能
 4位(4位) TVモニター付きインターフォン
 5位(5位) 洗浄機能付き便座
 6位(6位) インターネット無料
 7位(7位) システムキッチン
 8位(8位) ガスコンロ(二口・三口)
 9位(9位) エントランスのオートロック
 10位(11位) 備え付け照明
 11位(12位) 宅配ボックス
 12位(10位) エレベータ
 13位(15位) 浴室換気乾燥機
 14位(20位) ウォークインクローゼット
 15位(14位) BS・BSアンテナ

 

 <考察>

 1位~9位までは前年と変わらず、
 ファミリー向け物件では必要性が高い設備と言えます。
 空室が続くファミリー向け物件で、
 もしこれらの設備が備えられていなければ、設置を検討すべきです。

 前年から順位の上昇が目立つのが、
 14位の「ウォークインクローゼット」(前年20位)です。
 ファミリー世帯は多くの荷物を収納できる場所を求めており、
 収納スペースが広い物件を希望するファミリーの入居者が
 多いようです。

 また、昨今のコロナ禍で在宅勤務をする際のワーキングスペース
 としてウォークインクローゼットが使用される例もあるようです。

 

ファミリー向け物件
「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まる」
 ランキング

 

 <ランキング>

 順位(前年順位) 設備名
 1位(1位) インターネット無料
 2位(6位) 宅配ボックス
 3位(3位) エントランスのオートロック
 4位(2位) 追い焚き機能
 5位(5位) システムキッチン
 6位(4位) ホームセキュリティ
 7位(7位) 浴室換気乾燥機
 8位(13位) 防犯カメラ
 9位(10位) ウォークインクローゼット
 10位(8位) 24時間利用可能ゴミ置き場
 11位(12位) エレベータ
 12位(11位) 床暖房
 13位(16位) TVモニター付きインターフォン
 14位(初) 遮音性の高い窓
 15位(9位) ガレージ

 

 <考察>

 2位の「宅配ボックス」(前年6位)は前年から順位を上げました。
 背景にはインターネット通販が浸透したことがあります。
 コロナ禍によりインターネット通販の利用はさらに増加しました。

 8位の「防犯カメラ」(前年13位)、
 13位の「TVモニター付きインターフォン」(前年16位)も
 前年から順位を上げました。
 これらは防犯意識の高まりが背景にあると考えられます。

 14位に今年初めて選択肢に入った項目の「遮音性の高い窓」も、
 子どもによる騒音を気にするファミリー世帯に人気があるようです。

 さて、今回は人気の設備ランキングについて考察しました。
 物件の空室が続く場合や、家賃水準を高く設定したい場合は、
 このランキングを参考に、設備の導入を検討してはいかがでしょうか。

 

 【参考】

 ・全国賃貸住宅新聞 2020年10月19日
  2020 人気設備ランキング発表 
  https://www.zenchin.com/news/post-5540.php
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この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2020年12月14日発行分の転載です。