
2025年7月1日に国税庁が今年1月1日時点の路線価を発表しました。
令和7年の路線価について、今回は東京圏と大阪圏の動向を解説します。
次回は、東海3県(愛知・岐阜・三重)および、
地方主要4都市がある4道県(北海道・宮城県・広島県・福岡県)
の動向を解説します。
路線価とは
路線価は、主要な道路に面する宅地1平方メートルあたりの標準価格で、
国税庁が毎年1月1日時点の価格を7月はじめに発表しています。
路線価は相続税や贈与税の課税評価の基準になるほか、
金融機関の担保評価などにも活用されます。
調査地点は全国約32万カ所です。
全国の動向
令和7年の全国平均は前年比+2.7%と、4年連続の上昇となりました。
背景には、観光需要の回復、都市部の再開発、住宅市場の活況があります。
全体的に、大都市中心部の地価の上昇幅は鈍化・頭打ちとなり、
周辺部で条件のよいエリアが上昇する傾向がみられました。
都道府県別の路線価平均変動率の上昇率上位5位までは次の通りです。
1位 東京都 +8.1%
2位 沖縄県 +6.3%
3位 福岡県 +6.0%
4位 大阪府 +4.4%
4位 宮城県 +4.4%
全国の税務署別最高路線価の上昇率上位5地点は次の通りです。
1位 長野県北安曇郡白馬村大字北城(村道和田野線):+32.4%
2位 北海道富良野市北の峰町(道道北の峰線通り):+30.2%
3位 東京都台東区浅草1丁目(雷門通り):+29.0%
4位 高山市上三之町(古い町並み):+28.3%
5位 足立区千住3丁目(北千住駅西口):+26.0%
海外資本の投資が旺盛なリゾート地と、
インバウンド観光客が増加した観光地が大幅に上昇しました。
東京都(上昇率:+8.1%)
東京都は観光需要の回復に加え、都心のオフィス需要の高まりや
海外資本の流入が地価を押し上げました。
昨年は都内で上昇率が20%を超えた地点はありませんでしたが、
今年は5地点あり、上げ幅が拡大しました。
都心部は頭打ち感があり、都心以外の利便性が高い地域での
マンション需要の増加を受けた値上がりが目立ちました。
東京国税局 東京都内の各税務署管内における最高路線価の
上昇率上位5地点は次の通りです。
1位 台東区浅草1丁目(雷門通り):+29.0%
…インバウンド観光客の増加に伴い上昇しました。
2位 足立区千住3丁目(北千住駅西口):+26.0%
…北千住駅は鉄道・地下鉄の5路線が乗り入れて利便性が高く、
周囲には6つの大学のキャンパスがあります。
都心に比べて割安感があり、商業・住居需要が拡大しました。
3位 中野区中野5丁目(中野駅北口):+24.7%
…中野駅および駅前で再開発が進行しています。
なお、中野サンプラザ跡地の再開発は、事業費高騰により
計画の見直しが行われています。
4位 杉並区上萩1丁目(青梅街道):+21.6%
…都心へのアクセスが良く、戸建てやマンション需要が堅調です。
5位 杉並区高円寺北3丁目(高円寺駅北口商店街通り):+20.1%
…都心へのアクセスが良く、戸建てやマンション需要が堅調です。
同じく、多摩地区の上昇率上位3地点は次の通りです。
1位 調布市小島町1丁目(調布駅北口駅前広場):+14.0%
2位 多摩市一ノ宮2丁目(聖蹟Uロード):+11.7%
3位 西東京市田無町2丁目(田無駅北口ロータリー):+10.7%
東京都および全国の最高路線価は、昭和61年から40年連続で首位となる
東京都中央区銀座5丁目(銀座中央通り・鳩居堂前)で、
1平米あたり4,808万円(+8.7%)の過去最高額となりました。
埼玉県(上昇率:+2.1%)
埼玉県は東京のベッドタウンとして堅調に推移し、
再開発が進むさいたま市中心市街地では大幅に上昇しています。
大宮駅、浦和駅、川口駅前といった京浜東北線沿線の上昇が目立ちました。
関東信越国税局 埼玉県内の各税務署管内における最高路線価の
上昇率上位5地点は次の通りです。
1位 さいたま市大宮区桜木町2丁目(大宮駅西口駅前):+11.9%
…再開発と企業立地により地価が持続的に上昇しています。
2位 さいたま市浦和区高砂町1丁目(浦和駅西口駅前):+10.8%
…文教地区としての人気に加え、居住ニーズが高まっています。
3位 川口市栄町3丁目(駅前産業道路):+8.8%
…都心へのアクセスが優れ、生活利便性が高く、住宅需要が堅調です。
3位 川口市川口1丁目(川口駅東口駅前):+8.8%
…都心へのアクセスが優れ、生活利便性が高く、住宅需要が堅調です。
5位 東松山市箭弓町1丁目(市道23号線):+7.1%
…東武東上線東松山駅に近い住宅地で、人口増加に伴い上昇しました。
埼玉県の最高路線価は、さいたま市大宮区桜木町1丁目(大宮駅前通り)の
1平米あたり334万円(+5.0%)です。
千葉県(上昇率:+4.3%)
千葉県は東京外縁部としての通勤需要と、
再開発による駅周辺整備が地価を押し上げました。
東京都心にアクセスがよい県北西部が大幅に上昇しています。
東京国税局 千葉県内の各税務署管内における最高路線価の
上昇率上位5地点は次の通りです。
1位 習志野市津田沼1丁目(津田沼駅北口):+18.3%
…駅前の再開発計画の決定により需要が高まりました。
2位 千葉市中央区皆実町2丁目(蘇我駅東口):+11.4%
…周辺でマンション開発が進んでおり上昇しました。
3位 市川市八幡2丁目(本八幡駅前通り):+11.3%
…都心への通勤アクセスが良くマンション需要が堅調です。
4位 千葉市中央区富士見2丁目(千葉駅東口前広場):+11.2%
…千葉駅東西口での再開発事業が進行しています。
5位 松戸市本町(松戸駅前西口バスターミナル側通り):+10.8%
…都心への通勤アクセスが良くマンション需要が堅調です。
千葉県の最高路線価は、千葉市中央区富士見2丁目(千葉駅前大通り)の
1平米あたり263万円(+5.6%)です。
神奈川県(上昇率:+4.4%)
神奈川県は都心への通勤利便性に加え、
観光地としての再評価が地価を下支えしました。
東京国税局 神奈川県内の各税務署管内における最高路線価の
上昇率上位5地点は次の通りです。
1位 鎌倉市小町1丁目(鎌倉駅東口駅前通り):+19.0%
…インバウンド観光客の増加により商業需要が高まりました。
2位 相模原市南区相模大野(相模大野駅北口駅前広場通り):+16.3%
…駅周辺再開発による住居・商業複合施設の整備が評価されています。
3位 横浜市旭区二俣川2丁目(二俣川駅南口駅前通り):+15.1%
…新横浜線の開通で利便性が向上し、駅周辺の再整備が進みました。
4位 川崎市高津区溝口1丁目(溝口駅前広場通り):+12.1%
…都内や横浜・川崎方面へのアクセスの良さから住居需要が堅調です。
5位 横浜市港南区上大岡西1丁目(鎌倉街道):+12.0%
…上大岡駅周辺で複数の再開発事業が進められています。
神奈川県の最高路線価は、
横浜市西区南幸1丁目(横浜駅西口バスターミナル前通り)の
1平米あたり1,720万円(+1.4%)です。
大阪府(上昇率:+4.4%)
大阪府はインバウンド観光客の増加と万博・IR関連の再開発、
堅調なオフィスとマンション需要が上昇を支えました。
大阪国税局 大阪府内の各税務署管内における最高路線価の
上昇率上位5地点は次の通りです。
1位 大阪市淀川区宮原3丁目(市道歌島豊里線):+18.5%
…新大阪駅前。ビジネス需要が増加し、空室率が低下しています。
2位 大阪市浪速区難波中2丁目(市道浪速区第9033号線):+17.9%
…なんば駅前。インバウンド観光客増加により宿泊施設の需要が拡大。
3位 大阪市西区江戸堀1丁目(四つ橋筋):+17.6%
…肥後橋駅前。大阪駅に近く、オフィスとマンション需要が堅調。
4位 大阪市福島区福島5丁目(なにわ筋):+15.9%
…JR福島駅前。大阪駅に近く、オフィスとマンション需要が堅調。
5位 大阪市城東区森之宮1丁目(中央大通):+15.0%
…大阪城公園駅前。インバウンド観光客需要の増加により上昇。
大阪府の最高路線価は、大阪市北区角田町(御堂筋)の
1平米あたり2,088万円(+3.2%)です。
京都府(上昇率:+3.1%)
インバウンド需要の本格回復が進み、
祇園や四条通、嵐山などの観光地で地価が上昇しました。
また、宿泊施設の整備や商業施設のリニューアルも評価されています。
大阪国税局 京都府内の各税務署管内における最高路線価の
上昇率上位5地点は次の通りです。
1位 京都市東山区四条通大和大路西入中之町(四条通):+15.0%
…京阪本線の祇園四条駅前、南座付近。観光需要拡大を受けて上昇。
2位 京都市右京区西院高山寺町(四条通):+13.3%
…阪急京都線と京福電鉄の西院駅前。マンション需要が旺盛。
3位 京都市中京区河原町通四条上る米屋町(河原町通):+10.5%
…阪急京都線の京都河原町駅前。観光需要拡大を受けて上昇。
祇園や先斗町にも近い京都市内有数の繁華街。
4位 京都市左京区川端通三条上る法林寺門前町(川端通):+10.3%
…京阪本線と地下鉄東西線の三条駅前。高級ホテルや飲食店が入る
複合商業施設の再開発が計画されています。
5位 京都市上京区烏丸通丸太町上る春日町(烏丸通):+10.1%
…烏丸丸太町駅前。京都御所の最寄りで観光需要拡大を受けて上昇。
京都府の最高路線価は下京区四条通寺町東入2丁目御旅町(四条通)の
1平米あたり832万円(+10.6%)です。
兵庫県(上昇率:+1.9%)
城崎町の観光需要による上昇、三宮を中心とした神戸市の再開発、
大阪都心へのアクセスが良い阪神地域の住宅需要が上昇の要因となりました。
大阪国税局 兵庫県内の各税務署管内における最高路線価の
上昇率上位5地点は次の通りです。
1位 豊岡市城崎町湯島(豊岡竹野線):+24.2%
…JR城崎温泉駅前。地価が割安で観光客向けの商業需要が増加。
2位 芦屋市船戸町(JR芦屋駅前):+10.1%
…高所得層による住宅需要が根強く、資産価値が安定しており、
駅南側で再開発事業が進んでいます。
3位 神戸市中央区三宮町1丁目(三宮センター街):+9.8%
…外国人を含めた人流が増加しており、再開発の期待もあります。
4位 西宮市高松町(阪急西宮北口駅南側):+9.5%
…2023年に駅周辺の再開発が完了し、住宅需要が旺盛です。
5位 尼崎市潮江1丁目(JR尼崎駅前):+9.2%
…大阪都心へのアクセスがよく住宅需要が旺盛です。
兵庫県の最高路線価は、神戸市中央区三宮町1丁目「三宮センター街」の
1平米あたり584万円(+9.8%)です。
次回は、東海3県(愛知・岐阜・三重)および、地方主要4都市がある
4道県(北海道・宮城県・広島県・福岡県)の路線価の動向を解説します。
【参考】
・日本経済新聞 2025年7月2日
・朝日新聞 2025年7月2日
・東京国税局 https://x.gd/fQxOO
・関東甲信国税局 https://x.gd/rHiBi
・大阪国税局 https://x.gd/LWXSx