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名古屋・東海収益不動産ガイド

2019年基準地価(1)全国編

博多駅前

 国土交通省は9月19日に2019年の地価調査
 (7月1日現在の基準地価)を発表しました。
 そこで本メルマガでは、主に商業地と住宅地の概要について、
 「(1)全国編」「(2)東海三県編」の2回に分けて解説します。
 今回は「(1)全国編」です。

 

全体の傾向

 全国では、商業地は1.7%上昇、住宅地は0.1%下落でした。
 大都市圏だけでなく、後述のように、
 地方の政令指定都市でも大幅な上昇がみられたことがポイントです。

 全国の商業地・住宅地の上昇率上位の地点をご紹介します。

 

 <商業地の上昇率上位地点(全国)>

 1位 北海道虻田郡倶知安町北1条西2丁目18番(66.7%上昇)
 2位 沖縄県那覇市松山1丁目14番11外(50.3%上昇)
 3位 大阪市中央区宗右衛門町46番1外(45.2%上昇)
 4位 沖縄県那覇市久茂地3丁目9番14(42.7%上昇)
 5位 大阪市淀川区宮原3丁目5番7外(42.3%上昇)

 

 <住宅地の上昇率上位地点(全国)>

 1位 北海道虻田郡倶知安町字樺山65番132外(66.7%上昇)
 2位 北海道虻田郡倶知安町南8条西1丁目3番22(62.5%上昇)
 3位 北海道虻田郡倶知安町南4条5丁目1番67(35%上昇)
 4位 那覇市壺川2丁目11番1(27.2%上昇)
 5位 那覇市松尾1丁目245番9(25.7%上昇)
 なお、6位は愛知県名古屋市中区錦1丁目324番1(25.4%上昇)
 でした。

 商業地、住宅地とも、
 北海道の倶知安町と沖縄県那覇市の上昇が目立ちます。

 北海道の倶知安町はスキーリゾート客の需要が多く、
 外資によるコンドミニアム建設が続き、
 ニセコアンヌプリの山麓からJR倶知安駅周辺の市街地にまで
 地価上昇は波及しています。

 沖縄県は観光客増加と人口増加により景気は好調で、
 大型商業施設やホテルの開業が相次いでおり、
 雇用情勢の改善や低金利によって住宅需要も高まっています。

 

大都市圏

 三大都市圏の商業地は5.2%上昇、住宅地は0.9%上昇です。
 都市圏別では次の通りです。
  東京圏  商業地 4.9%上昇、住宅地 1.1%上昇。
  大阪圏  商業地 6.8%上昇、住宅地 0.3%上昇。
  名古屋圏 商業地 3.8%上昇、住宅地 1.0%上昇。

 東京都の商業地は23区全てで5%以上上昇しました。
 多摩地域でも5%以上上昇したエリアがあります。
 川崎市は4.8%上昇、横浜市は3.8%上昇、相模原市は1.4%上昇、
 さいたま市は4.5%上昇、千葉市は3.6%上昇と、
 一都三県の政令指定都市はいずれも上昇しています。

 大阪圏は三大都市圏の中でも大幅に上昇しました。
 大阪市はオフィス需給は近郊にも拡大し8.7%上昇。
 京都市は観光地の需要が旺盛で11.5%上昇。
 神戸市は三宮の再開発などを背景に5.5%上昇しました。

 名古屋圏の商業地は3.8%上昇、住宅地は1.0%上昇でした。
 名古屋市は全体で7.5%上昇し、名古屋市内全16区で上昇しました。

 名古屋市中心部ではオフィスや商業施設、高層マンションの
 建設が相次いでいます。
 都心部の需要の高まりが、市内の周辺部にも波及しています。
 愛知県、岐阜県、三重県の詳細は次号で紹介します。

 

地方の4つの政令指定都市では三大都市圏を上回る上昇

 地方圏の商業地は0.3%上昇、住宅地は0.5%下落でした。

 地方の政令指定都市では、次の4都市が
 商業地の伸び率が三大都市圏(5.2%)を上回りました。
  福岡市(12.8%上昇)、札幌市(11.0%上昇)
  仙台市(10.5%上昇)、広島市(5.7%上昇)

 福岡市では「博多コネクティッド」という容積率を緩和する
 再開発促進策で再開発を後押ししています。

 外国人観光客の増加に向けてホテル開発が相次いでおり、
 天神では2024年末までの再開発が進んでいます。
 2022年度には地下鉄七隈(ななくま)線の天神南〜博多間が
 開通する計画もあります。
 アイランドシティでも複数の高層マンション、複合施設、ホテル
 などの建設が予定されています。

 札幌市では外国人観光客の増加を背景に
 中心部に複合施設、高層マンション、ホテルの建設が続いています。

 仙台市は仙台駅東口の再開発が2021年まで進行中で、
 東北大学農学部(雨宮キャンパス)跡地では
 イオンモールや集合住宅などの再開発が進んでおり、
 それら周辺の需要にも影響を与えています。

 広島県では外国人観光客の増加を背景に
 ホテルなどの需要が高まっています。
 広島駅ビルの建て替えや広島駅南口の再開発も予定されています。

 

二極化する地方

 地方では、政令指定都市や観光地のように大幅に上昇した地点と、
 下落する地点の二極化が見られます。

 人口減少基調の中、すべての調査地点(20,734地点)のうち
 約半数の地点(9,946地点)が下落しました。

 次の25県は商業地と住宅地がともに下落しました。
  青森県、岩手県、秋田県、山形県、茨城県、栃木県、群馬県、
  新潟県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、三重県、
  和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、山口県、徳島県、
  愛媛県、高知県、佐賀県、宮城県、鹿児島県

 さて、今回は2019年の地価調査の全国の概要を解説しました。
 次回は東海三県の概要を解説します。

 

 【出典】

 ・日本経済新聞 2019年9月20日
 ・日本経済新聞 2019年9月20日第二部
 ・日本経済新聞電子版 2019年3月19日
  「北海道の公示地価 住宅地が上昇、商業地も堅」
  https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42648750Z10C19A3L41000/
 ・日本経済新聞電子版 2019年9月19日
  「福岡の基準地価2.3%上昇、沖縄 観光好調7.9%」
  https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49980750Z10C19A9LX0000/
 ・日本経済新聞電子版 2019年9月19日
  「中国5県基準地価、商業地28年ぶり上昇」
  https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49985350Z10C19A9LC0000/
 ・都市レポ https://downtownreport.net/city/%E6%9C%AD%E5%B9%8C/
 ・都市レポ https://downtownreport.net/city/%E4%BB%99%E5%8F%B0/
 ・都市レポ https://downtownreport.net/city/%E5%BA%83%E5%B3%B6/
 ・都市レポ https://downtownreport.net/city/fukuoka/

 

この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2019年10月21日発行分の転載です。