名古屋市・愛知県・岐阜県・三重県の
不動産投資・不動産の収益化に役立つ情報を提供

名古屋・東海収益不動産ガイド

2019年基準地価(2)東海三県編

名古屋高速東別院インターチェンジ

 国土交通省は9月19日に2019年の地価調査
 (7月1日現在の基準地価)を発表しました。
 前回の「(1)全国編」に続き、今回は「(2)東海三県編」
 として、東海三県の住宅地と商業地の概要を解説します。

 

愛知県

 愛知県全体では商業地、住宅地とも7年連続で上昇しました。

 名古屋市の商業地は7.5%上昇、住宅地は2.1%上昇でした。
 名古屋市では市内全ての商業地で価格が上昇しました。

 名古屋市中心部の栄では、丸栄百貨店跡地の商業施設や
 市有地栄広場と隣接地の複合商業施設の開発を控えており、
 中区の商業地の上昇率は17.4%と、大幅に上昇しています。
 名古屋市都心部の地価上昇は周辺部にも波及しています。

 また西三河地域でも上昇した地点が目立ちます。
 一方、知多半島や東三河地域は下落傾向が続いています。

 愛知県内の商業地と住宅地の上昇率上位の地点を見てみます。

 

 <商業地の上昇率上位地点(愛知県)>

 1位 名古屋市中区富士見町512番(27.3%上昇)
 2位 名古屋市中村区名駅南3丁目3-44(26.6%上昇)
 3位 名古屋市中区栄5丁目16-14(25.7%上昇)

 1位の中区富士見町は上前津駅や東別院駅に近く、
 低層マンションが立ち並ぶエリアで、
 ここが上昇率トップになるのは初めてです。

 

 <住宅地の上昇率上位地点(愛知県)>

 1位 名古屋市中区錦1丁目324番1(25.4%上昇)
 2位 名古屋市中村区松原町1丁目46番1(8.9%上昇)
 3位 名古屋市中村区則武2丁目2201番(8.6%上昇)

 1位の中区錦1丁目の地点は全国でも6番目の上昇率でした。
 2位、3位は名古屋駅西側にあたり、
 リニア新駅建設に伴う用地買収や再開発が見込まれています。

 続いて、商業地と住宅地の上昇率上位の市町村を見てみます。

 

 <商業地の上昇率上位の市町村(愛知県)>

 1位 名古屋市(7.5%上昇)
 2位 豊田市(3.7%上昇)
 3位 刈谷市(3.6%)

 

 <住宅地の上昇率上位の市町村(愛知県)>

 1位 知立市(3.6%上昇)
 2位 刈谷市(3.4%上昇)
 3位 安城市(3.0%上昇)

 商業地、住宅地とも、西三河地域の市が目立ちます。
 西三河に立地する自動車関連企業に通勤する人の
 住宅需要が旺盛なためです。

 

岐阜県

 岐阜県は人口減少の影響により、
 全用途で継続調査地点の前年比が27年連続で下落しました。
 その中で、観光客増加やリニア新駅建設の影響で
 地価が上昇している地点もあり、二極化が見られます。

 岐阜県の商業地と住宅地の上昇率上位地点を見てみます。

 

 <商業地の上昇率上位地点(岐阜県)>

 1位 高山市本町1丁目45番(4.5%上昇)。
 2位 同市昭和町1丁目321番(2.9%上昇)。
 3位 岐阜市玉宮町2丁目9番2(2.5%上昇)。

 1位、2位の地点は外国人観光客の増加を受けて
 ホテル開発が相次いでおり、地価が上昇しています。

 

 <住宅地の上昇率上位地点(岐阜県)>

 1位 多治見市音羽町1丁目16番4(4.1%上昇)。
 2位 同市上野町4丁目15番1(3.0%上昇)。
 3位 岐阜市今嶺2丁目1番4(2.9%上昇)。

 1番、2番の多治見市については、
 多治見駅はJR中央線で名古屋駅に直結し、
 また東海環状自動車道で西三河地区も通勤圏となるため、
 両方の地域の住宅需要が波及していると言えます。
 2022年には多治見駅前に29階建ての高層マンションが建設予定です。

 

三重県

 三重県は商業地は28年連続下落、住宅地は27年連続下落です。
 名古屋市への通勤圏である県北部や津市で上昇した地点もありますが、
 県南部は全体的に下落傾向が続いています。

 三重県の商業地と住宅地の上昇率上位地点を見てみます。

 

 <商業地の上昇率上位地点(三重県)>

 1位 四日市市安島1丁目124番(2.9%上昇)。
 2位 四日市市鵜の森2丁目943番(2.3%上昇)。
 3位 桑名市寿町2丁目10番外(2.2%上昇)。

 1番、2番は近鉄四日市駅付近で高い集客力があり
 建物の中高層化が進んでいます。

 

 <住宅地の上昇率上位地点(三重県)>

 1位 津市南が丘3丁目10番12(2.0%上昇)。
 2位 津市大谷町97番49(2.0%上昇)。
 3位 桑名市松並町2丁目6番19(2.0%上昇)。

 県北部の住宅地の地価上昇に牽引され、
 津市にも上昇が見られました。

 なお、参拝客が増えている伊勢神宮の内宮前の商業地の
 伊勢市宇治浦田1丁目119番14(1.3%上昇)は
 10年連続で上昇しています。

 

まとめ

 東海三県の基準地価の状況をまとめると、
 商業地は、名古屋市都心部は旺盛な需要があり、
 周辺にも波及しています。
 また、地方では外国人観光客が多い地域は上昇しています。

 住宅地は名古屋市や西三河への通勤アクセスのよい地点
 を中心に上昇しています。
 それ以外の地域は、人口減少基調の中で下落傾向です。

 東海エリアで不動産投資を検討する際には、
 このような全体の動きを踏まえておくことも重要です。

 

 【出典】

 ・日本経済新聞 2019年9月20日
 ・中日新聞 2019年9月20日
 ・読売新聞 2019年9月20日
 ・中部経済新聞 2019年9月20日
 ・愛知県 愛知県地価情報(地価調査・地価公示)
  https://www.pref.aichi.jp/soshiki/toshi/0000029550.html
 ・岐阜県 令和元年地価調査の結果 https://tinyurl.com/y2wkyl6j
 ・三重県 三重県の土地価格〔令和元年三重県地価調査〕
  http://www.pref.mie.lg.jp/SHIGEN/HP/000230690.htm

 

この原稿は名城企画株式会社が発行する「名古屋・東海収益不動産NAVIメールマガジン」の
2019年11月5日発行分の転載です。